早川千絵監督最新作『ルノワール』6月20日公開決定(左)鈴木唯(上段左から)石田ひかり、リリー・フランキー(下段左から)中島歩、河合優実、坂東龍汰が出演 長編初監督作品『PLAN 75』(2022年)が「第75回カンヌ国際映画祭」でカメラドール特別賞を受賞し、一躍注目を浴びた早川千絵監督の最新作『ルノワール』が、6月20日に公開されることが発表された(配給:ハピネットファントム・スタジオ)
【画像】磯村勇斗とカンヌのレッドカーペットを歩いた早川千絵監督 前作『PLAN 75』では、高齢化社会が深刻化した近い将来の日本を舞台に、75歳以上の高齢者に生死の選択を迫る衝撃的な物語を描き、現代人に激しい警鐘を鳴らした早川監督。同作では主演を名優・倍賞千恵子が務めたが、最新作『ルノワール』の主演は、撮影時11歳の新人だ。
『ルノワール』は、日本がバブル経済真っ只中だった80年代後半の夏、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女・フキの物語。マイペースで想像力豊かなフキは、空想にふけりながら、それぞれに事情を抱えた大人たちと触れ合う。子ども特有の感情を細やかに描写すると共に、フキが関わる大人たちの人生のままならなさや、人間関係の哀感を温かなまなざしとユーモアを持って描き出す。
主人公・フキを演じるのは鈴木唯。『ふれる』(24年、高田恭輔監督)で映画初出演にして初主演を果たし、『ここで吸っちゃダメ!』(24年、山口景伍監督※短編)、『3月11日』(24年、遠藤百華監督)に出演、待機作に『少年と犬』(3月20日公開、瀬々敬久監督)がある。
本作の撮影時、役柄と同じ11歳だった彼女は、多数の候補者の中からオーディションで主演に抜てきされた。真っ直ぐに大人を見つめる視線、この年齢ならではの自然な躍動感、時折見せる寂しげな表情など、彼女の瑞々しい姿がスクリーンいっぱいに映し出される。
フキの母・詩子役に石田ひかり、父・圭司役にリリー・フランキー。フキが出会う大人たちを、中島歩、『PLAN 75』に続き河合優実、坂東龍汰らが演じる。
早川監督は「うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。そこに『哀しい』が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています」とメッセージを寄せている。
本作は、24年7月〜9月に国内にて撮影、11月には海外で撮影が行われ、現在ポストプロダクション中。日本・フランス・シンガポール・フィリピン・インドネシアの国際共同製作作品でもあり、再び各国の映画祭・映画人の注目を集めそうだ。
■早川千絵(監督・脚本)のコメント
うれしい、楽しい、寂しい、怖い。子どもの小さな体に、はちきれんばかりに宿る感情。そこに「哀しい」が加わる時、人は初めて大人になるのかもしれません。子どもと大人の淡い境目をたゆたう少女の、複雑怪奇な感受性と豊かな孤独が親密さをともなって、この映画を観た人の心に触れることを願っています。
■鈴木唯(沖田フキ役)のコメント
映画『ルノワール』でフキを演じた鈴木唯です。映画の主演が決まったときは、「え?!本当!」と、とても驚きました。フキは不思議な感じの子で、演じることは大変でしたが、撮影はとても楽しかったです。早川監督とみんなで一緒に作った映画『ルノワール』に、少しでも興味を持ってもらえたらとてもうれしいです。
■石田ひかり(沖田詩子役)のコメント
ずっと楽しみにしていた『PLAN 75』を、初日の初回で観ました。あの時の衝撃は、今でもいくらでも話すことができるほど、くっきりと心に残っています。監督に直接、その想いを伝えることが出来ただけで満足でしたが、「早川組」の一員として過ごした日々は、本当に夢のようでした。
日本語と英語、フランス語とジョークが飛び交う、楽しくおしゃれで刺激的な現場でした。娘役の唯ちゃんは、どの瞬間も純粋でなに色でもなく、教えられることがたくさんありました。夫役のリリーさんは、減量を続けながらの撮影で本当に大変だったと思いますが、控え室でも現場でもとびきり楽しい話をして、私たちをいつも笑わせてくださいました。夢のような気持ちで撮影した作品が、いよいよ皆様の元へ巣立っていきます。多くの方の心に、届きますように。
■リリー・フランキー(沖田圭司役)のコメント
この少女の一瞬に、美しさと儚さ、生活と時間、脆さと希望。さまざまな星屑がきらめいていて、撮影をしながらも、名作の誕生に携わっている名誉を感じていました。
■中島歩(御前崎透役)のコメント
昨年の恐ろしく暑い夏の撮影を振り返ると、はじめに早川さんの姿や声が思い浮かびます。僕は彼女が感じている世界の一部であったように思えてくるのです。懐かしく寂しく美しい世界に、潜るような映画体験になるでしょう。ぜひ劇場でご覧ください。
■河合優実(北久理子役)のコメント
1日だけの参加でしたが、早川千絵監督の人柄が滲み出ているような、あたたかく、純粋で、細やかな仕事の集まった現場だなと感じました。その中で慎重に、自分にできることをしました。この映画にお力添えできて嬉しいです。まだ完成を観られていないのですが、早川監督の内にあるものから生まれた新たな世界と、鈴木唯さんのまだ何にも縛られない自由な魂がきっと映っていることと信じています。
■坂東龍汰(濱野薫役)のコメント
早川組に初めて参加させていただき、とてもうれしかったです。今まで経験した現場とは少し違い、いろんな国のスタッフの方々との現場づくりはとても新鮮で刺激的でした。僕は唯さんとのシーンが多かったのですが彼女の持つ不思議な魅力にちゃんと反応できるように、そして現場での状態を柔らかく保てるように心がけました。これからこの映画を見てくださる方々にどのように受け取っていただけるのかとても楽しみです。
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