2025年度予算案修正を巡る合意文書に署名し、撮影に応じる自民党総裁の石破茂首相(中央)、公明党の斉藤鉄夫代表(右)、日本維新の会の吉村洋文代表=25日午後、国会内 自民、公明両党と日本維新の会の3党首は25日夜、国会内で会談し、2025年度予算案の修正に関する合意文書に署名した。維新の主張を踏まえ、私立高校生向けの就学支援金を45万7000円に引き上げることなどを明記。予算案は維新の賛成を得て、成立が確実となった。与党は憲法の規定に基づいて年度内の自然成立が確定する3月2日までの衆院通過は断念した。
会談には石破茂首相(自民総裁)、公明の斉藤鉄夫代表、維新の吉村洋文代表(大阪府知事)が出席し、3党幹事長らが同席した。署名後、首相は記者団に「合意の実現に向け、責任と誠意をもって対応していく」と強調。吉村氏は「公約を実現できるという意味で大きく前進した」と語った。
合意文書は3党政調会長がまとめたもので、維新が予算賛成の条件として求めた教育無償化と社会保障改革が柱。高校無償化では(1)公立・私立高校生向けの就学支援金を25年度から年収を問わず年11万8800円支給(2)私立向けに加算する支援金も26年度から年収要件を撤廃し、上限を45万7000円に増額―すると明記した。小中学校の給食無償化も盛り込んだ。
社保改革は3党の協議体を設置し、26年度から順次実行する。その際、国民医療費を4兆円削減し、現役世代の社会保険料を年間6万円引き下げるとの維新の主張を「念頭に置く」と記した。
維新は25日、合意文書の是非を両院議員総会で断続的に議論。出席者からは「社保改革はほぼゼロ回答だ」などとして与党と再交渉を求める声が相次いだ。最後は執行部が賛成多数で押し切った。
維新との合意を受け、与党は「年収103万円の壁」見直しやガソリン税の暫定税率廃止に関する国民民主党との協議の決着を急ぐ。「高額療養費制度」で患者負担上限引き上げの凍結を求める立憲民主党とも26日に政調会長会談を行う。
一方、予算案の審議日程は窮屈さを増している。自民の坂本哲志国対委員長は与党幹部の会合で「月をまたいで(予算案と立民修正案の)並行審査に入っていく」と述べ、3月2日までの衆院通過を断念する考えを示した。