「CP+2025」出展各社の“推し”を総ざらい 今年は往年の賑わいを取り戻しそう?

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2025年02月28日 15:11  ITmedia NEWS

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カメラの祭典「CP+2025」が、パシフィコ横浜で開幕

 カメラの祭典「CP+2025」が、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)で2月27日に開幕した。昨年とはちょっと雰囲気が違う。


【その他の画像】


 かつてCP+はカメラ各社の春モデル新製品が一堂に介する一大イベントだったが、ここ数年、新製品自体が減っていることやコロナ禍を挟んだこと、そして各社ともグローバルな展開を行うためCP+に合わせる必然性もなくなった……のでいまひとつ目玉となる製品がなかったのだが、今年は状況が違う。


 CP+開幕直前、つまり2月になってからOM SYSTEMの「OM-3」、キヤノンの「PowerShot V1」、シグマの「BF」、パナソニックの「S1R II」と興味深い新製品が続々発表されたのである。


 CP+会場で各メーカーの中の人に尋ねると「うちだけだと思ってました」とか「他社さんがこんなに出すとは思っていませんでした」という声が聞こえる。つまり示し合わせたわけでもなんでもないわけで、カメラ市場がいい感じに動き始めたかと思ってしまう。


 というわけで、今年は何はともあれ、注目の新製品を見て聞いて触ってみるべし、という観点であそこから行きます。


●もくじ


・常識を越えたカメラ、シグマBFは一見の価値有り


・キヤノンから久々の高級コンデジが出た


・OMシリーズに新しいラインアップ「OM-3」誕生


・フラッグシップ機がモデルチェンジしたLUMIX


・富士フイルムは「愛おしさという哲学」


・ニコンはZシリーズ体験中心だけどREDにも注目


・ソニーブースは広いスペースで豊富な撮影体験


・ケンコー・トキナーの超かわいいトイコンデジ


●シグマのBFは一見の価値有り


 今回、一番の目玉はシグマ。初日の会場でも最後まで行列が絶えなかったのがシグマブースだ。


 昨年までは四角く囲われていたが、今回は開放的で、一ヶ所だけカーテンに囲まれた円筒形のスペースがある。


 その中の丸テーブルに目的の新製品があった。


 突然発表された「SIGMA BF」である。極限までそぎ落とされたアルミ削り出しのボディというそのデザインや質感が目立つところだが、こんな四角くて小さなボディは持ちやすいの? カメラとしての使い勝手はどうなの? と気になるではないか。


 結論をいえば、常識を越えたカメラなのだった。


 フルサイズセンサーのLマウントのミラーレス一眼ですごくコンパクト。ボディはアルミの削り出しで、見ての通りロゴもなにもない。


 そしてさらによく見ると、ファインダーも内蔵フラッシュもないし、それらを外付けするための「アクセサリシュー」もない。


 ついでにいえば、メディアスロットもない(約230GBの内蔵ストレージオンリー)のである。


 上から見ると、台形のボディに大きなシャッターボタンがあるだけ。


 背面も究極のシンプルさ。


 拡張性は左側面にあるUSB Type-C端子(データの転送と充電を行う)のみ。


 本当にギリギリまでそぎ落としたミニマムなボディなのが分かる。そして手にしてみると……意外に持ちやすいのである。これはびっくり。


 金属製なので角が手にあたって痛いとかないのかなと思いきや、指が当たる角はしっかり丸くなっているし、親指を置く場所も(これも削り出しだ)ある。


 常識を越えたというよりは、そもそも違う常識で設計されたといって過言じゃないかもしれない。買う買わないは別にして、一度実物を手に取ってみてほしいとも思う。


 もちろん、カメラの常識として必要とされるものもそぎ落としているので汎用性はなく得手不得手がはっきりしているけれども、スナップ用として1台持っておきたくなる、モノとしての魅力がある製品なのだ。


●キヤノンから久々の高級コンデジが出た


 次の注目新製品はキヤノンだ。


 キヤノンは当然ながらEOS推しで、会場内にスポーツシーンを作りだして撮影体験コーナーをメインに展開しているのだが、その片隅にしれっと置かれていたのが新製品の「Powershot V1」である。


 「これひとつ。それでいい。」というコピーが気になる16-50mm相当の広角系カメラで、イメージセンサーはなんと新開発の1.4型。ほぼマイクロフォーサーズサイズだが、アスペクト比が4:3ではなく3:2だ。


 V1という名が示すとおり(たぶんVideo、あるいはVlogのVだ)、モフモフまで付属する動画重視モデルだが、その大きなセンサーやAF性能を考えると、スチルカメラとしても十分活躍しそうだ。


 ボディもコンパクトなのでイマドキのハイエンドコンデジ(あるいはハイエンドVlogカメラ)として要注目である。


●OMシリーズに新しいラインアップ「OM-3」誕生


 3番目の注目新製品はOM SYSTEMのOM-3。


 フラッグシップのOM-1シリーズと、ミドルレンジのOM-5シリーズの間に新しく誕生したのがOM-3だ。


 その特徴は写真を見ると一目瞭然。


 懐かしのフィルム一眼レフ風トラディショナルボディを持ちながら、中身はOM-1に非常に近い高性能というのが特徴だ。OM-1シリーズと同じ高速なセンサーを搭載しているのである。


 会場にはデザインが決まるまでのモックアップも一緒に展示されている。


 同時に発売された3本のレンズ……どれも既存のレンズのリニューアル版だけど、そちらも一緒にチェックしておきたい。


●フラッグシップ機がモデルチェンジしたLUMIX


 新製品シリーズ4番目はパナソニック。パナソニックのブースは全体に「色」推し。リアルタイムLUTで画作りを楽しもうというコンセプトで、会場には名前が付いた様々な色の組み合わせが掲げられているのだ。


 これらの色はLUMIX Color Labで後悔されているアーティストが作ったリアルタイムLUTのカラーイメージと名前なのだ。


 リアルタイムLUT推しなのである。


 その中、注目の新製品がフラッグシップ機のLUMIX S1R II。非常にゴツくて大きかった初代機に比べると、ぎゅっとコンパクトになり、性能も上がっている。何しろ、初のLマウント機「S1」がフルモデルチェンジしたのだ。センサーも像面位相差AF対応になり、AF回りも最新のものに。


 基本デザインはS5 IIやG9 Pro IIとほぼ同じ。ただデザインやサイズ感が踏襲されているだけで、ボディとしては新しく設計したものだそうな。


 静止画にも動画にも力を入れたフラッグシップ機であり、背面モニターもチルト+バリアングルを組み合わせたものになっている。


 ちなみに、S1R IIやG9 Pro IIを見た後に、同社のS9やG100を見ると「この大きさの差はなんだ?」と脳がちょっと混乱して面白いので両方チェックしたい。


●富士フイルムは「愛おしさという哲学」


 富士フイルムの推しは新しいブランドタグライン「愛おしさという哲学」推し。CP+の前日に発表された新しいブランディングである。


 Xシリーズの新製品こそないが、撮影体験コーナーが充実しており、各カメラを体験できる。


 富士フイルムはXシリーズ以外に強力なラインアップがもう一つある。instaxシリーズ、つまりチェキだ。


 特に1月に登場したばかりのハイブリッドカメラ「instax WIDE Evo」は注目。豊富なエフェクトと大きなWIDEプリントは非常に魅力的で、実際にその場で撮影して、プリントしてみることができる。


●ニコンはZシリーズ体験中心だけどREDにも注目


 ニコンブースは、Zシリーズの体験会が中心だ。


 先日発表されたばかりの超高倍率超望遠ズームコンデジはどこかな、と探したら、望遠撮影体験コーナーの片隅に少しだけ用意されていた。


 まあレンズもセンサーも前モデルと変わらないので大々的には展開してないのかも。


 そして、一般のユーザーには関係ないといっていいのだけど、一つ注目の新製品が登場した。


 ニコンは、2024年4月に米国の業務用シネマカメラメーカー、REDを買収し、完全子会社化を完了した。そしてこの2月、Zマウントのシネマカメラ「Z CINEMA」シリーズがREDから発表されたのだ。


 Zマウントレンズを装着したZ CINEMAが何気なくブースに展示されているので、興味のある方はぜひ。


●ソニーブースは広いスペースで豊富な撮影体験コーナーを展開


 超大手なのに、今回はボディの新製品がないので最後に回してしまったソニーブース。Vlogカメラとして人気のVlogCAMのコーナーは特になく、ほぼ「α」一色だったのが印象的だ。


 スポーツなど多くの撮影体験コーナーでの体験がメインで、昨秋に登場したフラッグシップ機α1 IIは触ってみたい人も多かろう。あれはなかなかすごいからね。


 その中で新製品はレンズが二つ。一つは16mm F1.8の超広角単焦点レンズ(これがなかなかコンパクトでよかった)。


 もう一つはなんと400-800mmの超望遠ズーム。こちらは体験コーナーで体験させてもらった。遠くから超望遠を試せる。


 さすがに大きくて重いけれども、この超望遠はすごい。超望遠すぎて、ブース内だと何を撮ってもアップになっちゃうレベルなのだった。


●周辺機器メーカーも見逃すな


 今回、目玉となる新製品がいくつも登場したのでそれを体験しに行こう、手で触れてサイズや質感を味わおう、的な内容にしてみたのだけど、例年通り、メーカーの中の人とあれこれ相談しながら実機やレンズを体験できるのが一番の良さ。


 さらにアクションカメラやドローン系、天体望遠鏡、ライティング機材、レンズメーカーや三脚やバッグといった周辺機器ブランドも多くでており、なぜかGoogleが「Pixel 9 Pro」のブースを出していたりもするけれども、最後に会場で目に付いた可愛いヤツを紹介して終わりたい。


 ケンコー・トキナーが販売するトイコンデジ「PIENI」シリーズの新作「PIENIFLEX」である。これ、二眼レフカメラをトイコンデジにした超小型カメラ。


 二眼レフを摸して、上部をパカンとあけて上から覗き込むと正方形の液晶モニターがあるという寸法で、ウエストレベルで構え、上から覗き込んで撮影するという面白いトイコンデジなのだ。


 そして撮れる写真は正方形。画質は“トイコンデジなもの”であるが、遊べそうだ。


 また、大学の写真部や写真サークルのコーナーや猫写真展、巨大プラレール模型コーナー(これがまた撮ってみたくなるのだ)などちょっと息抜きできるスペースもある。


 と、初日を見ただけであるが、今回のCP+はかなり盛り上がりそうで、来場者も昨年より増えるんじゃないかと思う。


 特にシグマのBFを見て触りたいという人は、行列を覚悟するように。初日も夕刻まで行列が途絶えなかったくらいだから。


 ぜひみなさま、天気も良さそうなので横浜までお出かけあれ。



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