「ドッキリにしては脚本が面白すぎるけど…」空気階段・水川かたまりが“初の主演映画”に半信半疑だったワケ

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2025年02月28日 16:31  日刊SPA!

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水川かたまり
キングオブコント2021優勝など、お笑いコンビ「空気階段」としても高い人気と評価を得る水川かたまりが、主演を務めた映画『死に損なった男』が公開になった。
ドラマ『妻、小学生になる。』(TBS)などで俳優としての力量も見せてきたかたまりだが、映画主演は初。そこで、「カメラ、でっけ〜!」と興奮した現場入りから、「達成感がすごかった」というクランクアップまで、もろもろ聞いた。

◆ドッキリだろう。でもこんな面白い脚本をわざわざ?

――初主演映画です。オファーを受けたときはいかがでしたか?

水川かたまり(以下、水川):ドッキリだと思ってたんです。僕らの仕事のスケジュールの入っているカレンダーアプリがあって、そこにあるとき、「かたまり映画主演」みたいなのが書き込まれていました。

そういうざっくりした書き方のやつは、だいたいドッキリなんですよ。だからそう思っていて。そこから後日、マネージャーから話を聞いて、「これ、脚本です」と渡されたんです。

――脚本まであれば。

水川:いえ、その時点では「まだ何かのドッキリだろう」と半信半疑でした。でも読んでみると面白いし、「ドッキリのためにこんなに面白い脚本をわざわざ作るかな。本当なのかなぁ」となって、そこからクランクインにまでなって。

現場に行ったらどう考えてもドッキリの規模を超えていたので、そこでやっと100%認識しました。

◆とりあえず人に迷惑をかけないように、一生懸命やるしかない

――相方の鈴木もぐらさんの反応は?

水川:世に情報が出て、キービジュアルや書いてある文言、映画のタイトルとかから、いろいろ考察を始めてきて、迷惑でした。

――かたまりさんの主演が嬉しかったんでしょうか。

水川:分からないです。とにかく考察が好きなんですよ。「こうなるだろう」とか、いろいろ全然違うことを言ってました。

――最初に「こんなに面白い脚本」とお話されましたが、お笑いの構成作家の関谷一平を演じました。自ら命を断とうとしたもののタイミング悪く死に損なった一平は、現れた幽霊(正名僕蔵)にある殺しの依頼を受けることになります。

水川:すごくいい設定だなと思いました。自分がコントを考えていて、この設定を思いついたとしても絶対にやると思います。引き付ける設定の強さがあるなと。

構成作家というキャラクターは、普段から接する人たちなので、「これだったらやれるかも」と思いました。「麻酔医師の役です」とか言われたら、まったくイメージがわかないので困りますけど、身近な職業なので。

――逆にプレッシャーになりませんでしたか?

水川:正直、映画のことが何も分かっていないので、プレッシャーもなにもなかったんです。「とりあえず人に迷惑をかけないように、一生懸命やるしかない」と、それしか考えてませんでした。

◆みんな「何も、分かってねえな」と察してくれた

――水川さんはドラマのお芝居でも評価されていますし、コントをされている芸人さんには「芝居が上手い」というイメージがあるので、そこから映画初主演となるとプレッシャーを感じそうですが。

水川:今考えるとそうなのかもしれないですけど、そこまで頭が回っていなかったんです。映画の現場に入らせてもらって、「わー、カメラでけえ! 人が多い!」というところからだったので。

――クランクインのときのことを、もう少し聞かせてください。

水川:ドラマとは違って、全く知らない現場なので、もちろんすごく緊張はしていました。たぶんそれが全面に出てたんじゃないですかね。

周りのスタッフさんも演者さんも「何も、分かってねえな」というのを察してくれて、本当にみなさん最初から優しくしてくださったんですよ。ありがたかったです。

◆ふわふわしていた状態にファーストシーンから喝!

――クランクインはどのシーンからだったのでしょう。

水川:最初に一平の部屋に、正名さん演じる幽霊の森口さんが出てくるところです。僕がビックリして、森口さんに冷蔵庫に叩きつけられる。

――最初から感情的にも大きいですし、アクションもあるシーンだったんですね。ベテランの正名さんからのお芝居も真正面から受けて。

水川:そうなんです。でもそこで「カメラ、でっけ〜」とかってちょっとふわふわしていた状態をガッと喝を入れていただいた感覚がありました。

――テストと本番では全然違うといったことはありました?

水川:いえ、正名さんはテストのときから100でした。それも分からなくて、僕らは結構テストとかって結構力を抜いているようなこともあるんですけど、正名さんさんはテストも本番の感じだったので、それも勉強になりました。

――おふたりでのシーンが多かったですが、カメラの外では。

水川:ずっと喋ってました。どうやって役者を始めたとか、僕は芸人を始めた話とか。お互いの家族の話とか、すけべな話とか(笑)。めっちゃ話しやすくて。本当にありがたかったです。

◆別日にアクション部からアクションを習う経験も

――本作ではアクション披露もありましたね。

水川:あぁ、それもめちゃくちゃ楽しかったです。まさか芸人をやっていて、あんなアクションシーンをやることがあるとは思ってもみませんでした。

アクションに関しては、別に稽古日があって、アクション部の方にいろいろ教えていただいたんですけど、本当に楽しかったです。

――詳しくは言えませんが、“血のり”を使ったシーンも登場します。

水川:いやぁ、血のりなんて、日常生活では絶対に使わないじゃないですか。それができるなんて、これも超楽しかったです。

血のりって、一度失敗すると、もう一回やるのが本当に大変でプレッシャーでしたけど、いい意味で緊張感もあって、ホント楽しかったです。

◆クランクアップ時には恒例の主演俳優としての挨拶を

――充実の映画初主演期間だったようですね。クランクアップのときは、「これで、かたまりさんオールアップでーす!」といったことは、やはりあったのですか?

水川:ありましたね。

――花束をもらって、主演俳優として挨拶をしてと。「今日はオールアップだ。挨拶するのかな?」とは。

水川:思ってました。さすがにあるだろうと。たしか「この花束が爆発して、“全部ドッキリでした”とかないですよね」とか、「何も分かってないのに、みなさんいろいろ教えてくれて、ありがとうございました。公開までなんとか不祥事を起こさないようにします」みたいなことを言っていたと思います。

――実際、映画の撮影を完走してみて、どんな思いになりましたか?

水川:達成感がすごかったです。高校の時の文化祭が終わった感覚に近いというか。それが大人のすごい規模で、大人のクオリティで、すごい熱量で、みんなで力を合わせてやった撮影が終わったんだなと。

――完成作でご自身の名前が主演俳優としてパッと最初に出てくるのを見たときは?

水川:そこはあまり感動とかなかったんです。現実味がないというか。あまりワケがわかってないのかもしれません。

◆今度はバリバリのアクションで、銃を撃ちたい

――ちなみに、水川さんはいろんなイケメン俳優さんに似ていると比較されて来ています。今回はご自身に近い世界の役柄でしたが、今後、「恋愛系でがっつり主演をやろう」といった思いは。

水川:それはないです。バリバリに決めたアクションとかはやってみたいです。銃を撃ちたくなりました。あとは馬に乗るとか。そういう、映画じゃないとできないようなことをやりたくなりました。

――時代劇で殺陣をやるとか、スパイになって銃撃戦をするとか。

水川:いいですね! やってみたいです。

――お笑い業はもちろん、お芝居も楽しみにしています。まずは今作をみなさんに。プライベートでこっそり客席で観る予定は?

水川:どうだろう。自分がずっと映っているというのは、やっぱり照れそうです(笑)。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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