自公、安定財源の検討先送り=選挙にらみ党利優先―予算案修正
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2025年03月01日 09:01 時事通信社
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自民、公明両党は28日、2025年度予算の修正案を衆院に提出した。一般会計総額は115兆1978億円と、政府案から3437億円減額。少数与党の自公は予算案の賛成取り付けを目指し、主要野党の看板政策を受け入れた。ただ、与野党協議は夏の参院選をにらんだ成果争いの様相を呈し、安定的な財源確保策は先送りされた。
当初予算案の「国会修正」による減額修正は1955年度以来70年ぶり。協議が4月以降にずれ込み、予算成立までのつなぎとして「暫定予算」を編成する事態は回避した。減額しても歳出規模はなお過去最大だが、赤字国債の追加発行はせず、財政規律に一定の配慮も見せた。
修正案には、日本維新の会が求めた高校授業料無償化や、国民民主党が主張した所得税の「年収103万円の壁」見直しを反映。立憲民主党の意見も踏まえ、医療費負担を一定に抑える「高額療養費制度」の負担上限額引き上げを一部修正した。
衆院事務局によると、過去に当初予算案の国会修正で一般会計総額を増やした例はない。自公は今回、野党に譲歩し、生じる追加経費について、予備費や基金から一時的な財源を捻出し、総額では減額修正に持ち込んだ。増額すれば「国会が政府の予算編成権を侵害するように受け止められる」(同事務局)ためだ。
だが、中長期の財源は不透明だ。高校無償化に必要な経費は25年度で1064億円にとどまるが、26年度以降は年約6000億円に跳ね上がる。103万円の壁見直しも、年収200万円以下の非課税枠引き上げ部分は「恒久措置」のため、財源が不可欠だ。石破茂首相は「行財政改革を行い安定財源を確保する」と繰り返すだけで、具体策は棚上げした。
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