取材に応じる立憲民主党の酒井菜摘衆院議員=2月27日、国会内 今年は日本で女性参政権が認められてから80年となる節目の年。2024年の前回衆院選で女性議員は過去最高の73人、女性比は15.7%まで増えたものの、世界的には低い水準から抜け出せない。「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」も女性の政治参加を阻む壁となり、政界での男女平等は道半ばだ。
◇子育て中の街頭演説
「選挙の固定概念を押しつけられると苦しくなった」。立憲民主党の酒井菜摘衆院議員(東京15区、当選2回)は7歳の長女の子育てと政治活動の両立に苦慮している。
初当選は24年4月の補欠選挙で、長女の小学校入学と重なった。選挙期間中の街頭演説は午前8時〜午後8時に認められているが、子育てを優先し、午後6時台で切り上げることもあった。「子どもや体力のことを考えると、『ここまではできない』と言う勇気も必要だった」。
会食の場では「きょう、お子さんは」と毎回のように尋ねられるという。「心配してくれているのかもしれないが、男性には言わないはずだ」と取材に語った。
◇与野党、女性増を目指す
自民党は歴代総裁と幹事長が全て男性で、現在の党4役も男性が占める。23年には女性国会議員の割合を今後10年で12%から30%に増やす目標を設定。だが、同年9月に発足した岸田改造内閣の副大臣・政務官が「女性ゼロ」だったことが批判を浴び、「永田町は男性社会」を印象付けた。
自民は前回衆院選で女性55人を擁立(女性比16.1%)。現行の選挙制度下で最多となった。本田顕子女性局長は「都道府県連をはじめ、公認に関する意志決定の場に1人以上の女性が入ることが大事だ」と指摘した。
公明党は党全体で女性議員の割合を50%とすることを目指す。竹谷とし子代表代行は候補者の一定割合を女性にする「クオータ制」などを挙げ、「後押しをする法律的な枠組みが必要だ」と主張する。
立民は、前回衆院選で各党比で最多となる30人の女性が当選。政界全体で女性が増えない中、野田佳彦代表は「全体的な遅れを立民がカバーしていく」と意気込む。昨年の代表選では男性3候補に、衆院当選1回の女性議員が挑んだ。
日本維新の会は国会のオンライン出席を提案。岩谷良平幹事長は「男女を問わず、子育て中で東京に来られないということもある」と話す。参院選での女性擁立に力を入れるが、「そもそも応募してもらえる数自体が少ない」とこぼした。
国民民主党は女性候補者比率35%が目標。円より子・男女共同参画推進本部長は「他党では当選しそうもないところ(選挙区)にしか女性は立ててもらえない、というハンデも結構ある」と指摘し、国民民主は違うとアピール。「男性の方が政治家に向いていると思う有権者も多いのがネックだ」とも述べ、偏見解消が必要と訴えた。
共産党は結党後初の女性党首が24年に誕生。田村智子委員長は「ジェンダー平等社会の実現には、国会の場に女性が半数必要だというのは当たり前」と話す。夏の参院選で女性候補者割合を50%以上にする方針だ。