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斧や電動ノコギリを振り回し、次から次へと若者を血祭りに上げるのは…あの世界的人気キャラクター!?
【写真】ミッキーマウスが殺人鬼に!罪作りな作品を撮ってしまい恐縮する脚本&製作&出演のサイモンとジェイミー監督
ミッキーマウスの短編映画シリーズとして初めて公開された『蒸気船ウィリー』(1928年)の知的財産権が消滅したことを機に、カナダで爆誕したのがホラー映画『マッド・マウス ミッキーとミニー』(3月7日公開)だ。
愛らしい笑顔を浮かべたミッキーが、アトラクションハウスを舞台に殺戮マシーンと化す。こんな罰当たり映画、一体誰が作ったのか!?親の顔が見てみたい!
ということで、緊急来日中のジェイミー・ベイリー監督と脚本&製作&出演のサイモン・フィリップスに話を聞いてみた。
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48時間以内に世界中で大バズリ
──予告編公開の段階で“ミッキー史上初のホラー映画”として話題になりました。その反響についての受け止めを。
ジェイミー監督:あれは忘れもしない、パブリックドメイン当日の2024年1月1日。予告編を流した途端、爆発的にバズッて世界中のありとあらゆるニュースに取り上げられました。そういった宣伝というのは本来超メジャースタジオが大金をかけて行うものです。我らカナダの弱小映像作家には到底まねできません。それが本作ではみんなが勝手に話題に取り上げてくれて。予告編公開の48時間以内に世界中でニュースになった時は腰が抜けました。
サイモン:ホント、あれはハンパなかった…。
ジェイミー監督:僕らは日本文化が大好きだから、こうして来日することが叶って、大きなスクリーンで作品が上映されるなんて光栄です。ぜひとも大ヒットしてほしい!北米、ヨーロッパ、そして日本と、この映画が上映されていないエリアはないくらい、各国から反響があることにも感謝感激です。
サイモン:滞在期間中、東京ディズニーランドにも行く!楽しみ!
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──ミッキーマウスを殺人鬼にするというアイデアは、いつどんな時に閃いたのですか?
サイモン:やはり『プー あくまのくまさん』の大ヒットに刺激を受けました。そっちがその手なら、僕たちは『蒸気船ウィリー』の初代ミッキーでやったろか!と…。だってミッキーとスプラッターホラーのコラボって誰が考えます?バカウケ必至でしょう?僕はいつもアイデアが湧くとジェイミーに話を持ち掛けますが、今回だけは『マジだ!いつものバカげたアイデアとは格が違うゾ!』と伝えたほどです。
ジェイミー監督:そうそう。僕のところにやって来て「おいジェイミー!『蒸気船ウィリー』の著作権が切れんぞ!いつやるの?今でしょ!?」って。まあ、僕は子供の頃からミッキーを血塗れにする欲望はあったけれども…。
サイモン:おい、落ち着け!ジェイミー、それ以上言うな!変な奴だと思われるゾ!
日本版ポスターを見てビックリ
──原題は『MOUSE TRAP』と控えめですが、「ミッキー、ミニー」というストレートな名前が入った日本公開タイトルについてはどう思いますか?
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ジェイミー監督:日本版ポスターを見てビックリしました。ディズニー風の字体にお城までデザインされていて…ニッポン最高!アメリカでは絶対無理ですからね。北米公開時、原題に『Mickey』という文字を入れようとしたけれど、弁護士から「それをやったら訴えらえる」と脅されたので泣く泣く諦めました。そういう経緯があるからこそ、日本公開タイトルで本来の理想を具現化してもらえてマジでうれしいです。
サイモン:この映画を作るにあたっては、たくさんの弁護士に相談して助言を得ました。ちなみに完成した映画を本国のディズニーに送ったところ、残念ながらガン無視。寂しいなあ。法務部の人間の中には「クールだな」と笑ってくれる人もいるのではないかと期待してはいますけどね。
ジェイミー監督:絶対にいるさ。けれど上司の前ではそんなこと言えないから、咳払いでごまかしているだろうね。
…和気あいあいとしたおしゃべりな二人から漂う、なんともいえない憎めない感。ミッキーをスプラッターにした不謹慎さよりも、自分たちの作ったものが多くの人々の目に触れて話題に上ることへの喜びが勝っているようだ。目くじらを立てず、ジョークとして楽しむのが本作の正しい鑑賞の仕方なのかも。
(まいどなニュース特約・石井 隼人)