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【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、中島健人主演映画『知らないカノジョ』(2025年2月28日公開)。
本作はタイムリープ映画なのですが、突然違う世界に放り込まれて戸惑う主人公を演じる中島健人さんことケンティがかっこよく、かつ、かわいく&元の世界で主人公の妻だったヒロインを務めるmiletさんが素晴らしかったです。では、物語からいってみましょう!
【物語】
大学時代にひとめぼれをして結婚したリク(中島健人さん)とミナミ(miletさん)。
歌手を目指していたミナミですが、作家になるというリクを支えるために音楽をやめて結婚。しかし、人気作家になったリクの無神経なひと言をきっかけに、ふたりは大喧嘩してしまいます。
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翌朝、リクが目覚めるとミナミはいません。そしてリクが打ち合わせに行くと、人気作家だったはずなのに、なぜか出版社の編集者になっていました。「なんで?」と焦りまくるリク。そしてミナミはなんと世界的な人気シンガーになっており、リクのことを知らなかったのです!
【名声を得て、愛を失う主人公】
ある日突然、違う世界に放り込まれて人生がガラリと変わってしまう!
そりゃ焦りますよ。仕事が違うどころか結婚して妻がいたはずなのに、その妻に自分のことを知らないと言われるんですから。大ショックです。
「超有名な人気作家だったのに〜、みんな俺にペコペコしていたのに〜」と思うリク。でもその傲慢さがこの事態を生んだのかなと思いました。
人気作家時代の彼は俺様モードで自己中。完全に周囲への感謝とやさしさを失っていましたからね。ずっと支えてきた妻のミナミに対しても「愛してもらって支えてもらって当たり前!」だったのでしょう。
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ミナミとラブラブだった大学時代は一生懸命夢を語るかわいい青年だったリク。名声を得たけれど、愛することを失ってしまったのです。
【もう1回愛してもらおうとがんばるリク】
さて、有名作家から出版社に勤めるフツーの編集者になったリクは有名作家をサポートする立場。最初は気づかず「俺を誰だと思っているんだ!」的に大いばりなのですが、上司から「お前何言ってんの?」とツッコまれるわ、妻のミナミは人気シンガーになっているわ、夫である自分のことを知らないわ……。
これまで築き上げてきた人生がゼロになっちゃうんですよ。
でもそうなったことで自分を俯瞰で見られるようになり、改めてミナミへの愛を確認したリク。彼女に認められ、愛を取り戻そうとするようになります。その姿は大学生時代、ミナミを恋する瞳で見つめていたリクが戻ってきたようで、次第に「がんばれリク!」と心の中でエールを送っちゃいました。
そんなリクを演じるケンティー、良かったですよ。この映画では俺様ケンティー、妻に「知らない人」扱いされて戸惑うケンティー、大学の先輩(桐谷健太さん)に甘えるケンティー、愛を取り戻そうと必死のケンティーなど、いろんな姿をみせてくれてファン必見ですし、芝居の幅を広げた感がありました。
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【演技が初めてとは思えないヒロイン】
しかし、本作で何より私がびっくりしたのはmiletさんで。アイドルオーラが強烈な中島健人さんに負けない存在感!
miletさんはミナミのシンガーとしての葛藤や、恋することで生まれてくる感情を音楽に乗せて表現することへの理解が深いとは思いつつ、音楽好きの大学生から世界的な人気シンガーまでミナミのパーソナリティをしっかり維持しながら変化していく様を美しく見せてくれました。本当に素敵だった〜。
歌手だから声がキレイだし、品があるし。この映画を見て、miletさんのファンになる人、絶対に多いと思います!
リクとミナミの2度目の恋の行方がどうなるのか、ぜひ映画館で確かめてくださいね!
執筆:斎藤 香(C)Pouch
Photo:©2025『知らないカノジョ』製作委員会
『知らないカノジョ』
2025年2月28日(金)より全国ロードショー
監督:三木孝浩
出演:中島健人 milet 桐谷健太 中村ゆりか 八嶋智人 円井わん 坂ノ上茜 小手伸也(友情出演)野間口徹 眞島秀和 風吹ジュン
主 題 歌 : 『I still』 milet(ソニー・ミュージックレーベルズ)
原作:『ラブ・セカンド・サイト“はじまりは初恋のおわりから』(原題:Mon“Inconnue)(ユーゴ・ジェラン監督/2021年)