ロニー・クインタレッリがスーパー耐久で『STMOエグゼクティブドライビングアンバサダー』に就任

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2025年03月02日 14:40  AUTOSPORT web

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スーパー耐久で『STMOエグゼクティブドライビングアンバサダー』に就任したロニー・クインタレッリ
 3月2日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで、ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONEの公式テストがスタートした。シーズン最初のテストだが、シリーズを運営するスーパー耐久未来機構(STMO)に新たな役職を得たスタッフが加わった。スーパーGT GT500クラスで4回のチャンピオンを誇り、2024年限りで引退したロニー・クインタレッリだ。

■安全性向上とともに外国人ドライバーへのサポートも
 クインタレッリはスーパーGT GT500クラスで最多となる4回のチャンピオンを誇り、2024年まで現役トップのひとりとして活躍してきたドライバーだ。そんなクインタレッリは2025年、すでにスーパーGTではNISMOアンバサダー兼アドバイザーに就任することが決まっているが、3月2日から、スーパー耐久でも新たなポストに就くことになった。

 今回、スーパー耐久でクインタレッリが務めるのは『STMOエグゼクティブドライビングアンバサダー』というもの。実は、STMOの桑山晴美副理事長、高谷克実スーパーバイザーによれば、これまでもクインタレッリのSTMO入りを願っていたのだという。

「僕はスーパーGTで競技長をやらせていただいているのですが、ロニーさんには一度もペナルティを課したことがないんです。レース展開を観ていてもクレバーですし、ものすごく綺麗なレースをされています。ドライバーとしてのスキルも高いし、人間性も良いので、ロニーさんのような方にスーパー耐久を手伝って欲しいと話していたんです」というのは高谷スーパーバイザー。

 ただ、クインタレッリは2024年まで現役としてスーパーGTに集中しており、なかなか声をかけるタイミングがなかった。しかし11月にクインタレッリが引退を発表。そこでSTMOはすぐにクインタレッリに声をかけ、今回のSTMOエグゼクティブドライビングアンバサダー就任が決まった。

「僕は3年前に初めて富士SUPER TEC 24時間レースに参戦して、その後2年前に鈴鹿での開幕戦で、(松田)次生さんの代わりに三重テレビのレポーターをやらせてもらいました。そこで感じたスーパー耐久の雰囲気がすごく良かったですし、参戦していても楽しかったんです」とクインタレッリ。

「またスーパー耐久はここ数年すごく知名度も上がってきましたし、ファンの皆さんにも良さがどんどん伝わってきていました。そのタイミングでこうして仕事のオファーをいただいたので、すごく嬉しかったです」

 すでにスーパー耐久では、福山英朗STMO認定アドバイザリードライバーの努力で大きな安全性向上が成されているが、クインタレッリは今後、福山STMO認定アドバイザリードライバーの補助に加え、近年増えている外国人ドライバーへのフォローが期待されるという。

「今まではドライバーとしてレースに出ていて、高谷さんからペナルティを受けていないとはいえ、昔は(コントロールタワーへの)呼び出しとかもたまにありました(笑)。僕も最初日本に来たときは、速いクルマに乗ると『どけどけ』という雰囲気になってしまったと思うんです。でも、スーパー耐久はみんな持っているバックグラウンドが違うので、お互いがリスペクトしないといけない。高谷さんたちと一緒に観て、外国人ドライバーにも日本のレースの文化などを説明するようなこともメインの仕事になると思います」

■スーパー耐久への外国人ドライバーの橋渡しにも
 また、今季からTEAM IMPULにジュール・トレルイエが加わったり、今回のテストにはHitotsuyama Racingにはクインタレッリと同じイタリア人ドライバーも乗り込んでいるなど、スーパー耐久には外国人ドライバーも増えている。クインタレッリは、安全性向上への寄与とともにスーパー耐久というシリーズの良さを通じて、外国人ドライバーたちのステップアップの橋渡しもしたいと語った。

「今はスーパーGTも、スーパーフォーミュラもどんどんレベルが上がり、プロフェッショナルになっています。FIA F2やWECに出ているようなドライバーならいきなりGT500にも乗れるかもしれませんが、ヨーロッパでまだ経験が浅いドライバーでも、スーパー耐久は日本のレースへのアクセスとしてはすごく良いプラットフォームだと思います」とクインタレッリは言う。

「アットホームな雰囲気で日本のモータースポーツを学んでもらって、スーパー耐久で頑張ることができれば、スーパーGTにも繋がると思います。こういうタイミングでスーパー耐久に僕が関わることができるのは、恵まれていると思いますね」

 クインタレッリがSTMOに加わることについて、桑山副理事長は「スーパー耐久は参加型レースとして裾野を拡大させていく使命があります。そのためには単に人気があるレースというだけでなく、安全に走行してもらうことが大切になります。近年はこれまでも大きな事故なくやっていますが、海外ドライバーが増えていくなかで、昨年までプロとして活躍されていたロニーさんに手伝ってもらい、その声を聞くことができるのは大変素晴らしいことだと思います」と語った。

「また、スーパー耐久では近年、海外ドライバーだけを集めてレース以外の場所で講習会をやっています。食事をしながら安全について学んでもらう講習会なのですが、日本のレースの理念や文化を理解していただく場として、すごく安全性に結びついています。その場にもロニーさんに来てもらう予定になっているのですが、すごく大きな意味があると思います」

 またSTMOの加藤俊行専務理事も「ヨーロッパではモータースポーツが文化として定着していますが、ロニーさんから『日本でレースをしたがっているヨーロッパのドライバーが多い』という声を聞いて、嬉しい驚きでした」と語った。

「スーパー耐久は、カーボンニュートラルへの挑戦、モータースポーツの裾野を広げる、そしてアジアを中心に海外と繋がっていくという三本柱を立てていますが、ロニーさんが言うように、海外のドライバーに参加してもらう環境作りを考えるときに、ヨーロッパでプロを目指す人たちが、スーパー耐久を足がかりに日本でのステップアップに寄与できるというのは、スーパー耐久にとっても、日本のモータースポーツにとっても素晴らしいことだと思います」

 これまで日本のトップドライバーのひとりとして、ニッサンを代表するドライバーとして活躍してきたクインタレッリだが、スーパー耐久で得た新たな仕事を通じて、さらなる安全性向上、そして外国人ドライバーとの新たな繋がりに貢献してくれることになりそう。

「海外のファンにとっては、スーパーGTは放映もあって知名度がありますが、スーパー耐久のことはまだまだ知らないファンも多いので、海外でもしっかりスーパー耐久の知名度をもっと増やしていきたいですね」とクインタレッリはSTMOのウェアに身を包み、新たな役職に向け笑顔をみせた。

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