躍進続く吉柳咲良、舞台「リンス・リピート」で難役に挑戦「飽きない人間でいられたら」

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2025年03月02日 18:00  日刊スポーツ

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日刊スポーツ

舞台「リンス・リピート」に出演する吉柳咲良

女優吉柳咲良(20)が活躍の場を広げている。


放送中のTBS系日曜劇場「御上先生」では、責任感が強い高校生の椎葉春乃を演じている。生理の貧困、ヤングケアラーという現代社会の問題を抱えた役で、2日放送の第7話でスポットがあたる。「助けてほしいと思っているのに声を上げることができないしんどさとか、気持ちが制御しにくくなる状況が描かれていて。共感が台本にちりばめられていました。小手先で芝居するのはやめよう、ただ正直に演じようと思いました」と振り返る。


当初は別役でオーディションを受けたが、決まったのが椎葉だった。「ちょうどその時の自分にとって、あまり触れてほしくなかったことにつながるせりふがたくさんあって驚きました。役を通して自分と向き合わなければいけないタイミングなんだと、役に教えてもらったみたいな感覚です」と縁を感じたという。


3月20日公開のディズニー映画「白雪姫」では、白雪姫役で実写の吹き替えに初挑戦した。ミュージカル「ピーター・パン」でピーター・パン役を約6年間務めるなど、俳優としてキャリアを積んできた。俳優にはない「お手本」が、声優にはあった。「吹き替えはそもそも演じられている方がいらっしゃるので、そのニュアンスを崩してはいけない。自分が役と向き合うよりも、役を通して演じた方と向き合っていくという作業になる」と新たなやりがいがあった。


白雪姫役を射止めた喜びがわいてきたのは、収録後に予告映像が出てからだという。「いろいろなところで歌を褒めていただけたり、おめでとうとたくさん言ってもらった時に『私、本当にプリンセスを演じたんだな』と実感してすごくうれしかったです」と明かした。


ドラマ放送、映画の公開をへて、4月には舞台「リンス・リピート −そして、再び繰り返す−」への出演が決まっている。


現代に潜む家族問題を扱い、2019年にオフ・ブロードウェーの話題をさらった。「今の時代に見たい作品だと思いました。家族が本当の意味でわかり合えることなんてないのかもしれない。でも家族という特別な関係値だからこそ生まれる、いざこざのようなぐちゃぐちゃな感情に気付いていくことができる舞台です」と話す。


務めるのは寺島しのぶ(52)が演じるジョーンの娘レイチェル役。摂食障害をわずらいながらも、愛する家族と生きようとするという役どころだ。「心の奥底で思っていることを、必死にもう1人の自分が止めているみたいな感覚が私にもあって。他人を気にしてしまうからこそ、自分のことが正しいと思えないというか、自分の意思に自信を持っていないタイプだと思っています」と役に共感している。


1歩踏み出せなかった時に募る自分への「黒い気持ち」を、大切に演じたいという。「立ち上がれなかった瞬間とか、でも立ち上がりたくないわけではなくてただその瞬間だけうまく立ち上がれなかったという葛藤は、絶対に一番届けなきゃいけないと思うんです」と、レイチェルの苦しさと向き合う日々だ。


公演は4月17日から5月6日まで東京・紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演され、5月10、11日には京都公演も控える。「重圧と鎖につながれたような状態のレイチェルが、闇から抜け出すことができるようになるまでの話でもあります。細かな心情を、等身大で演じることでお伝えできれば」。


どんな役も、常にその時の「100%」で応えることを心がけている。「何をきっかけに知っていただいたかで、その人が持つ私のイメージがそれぞれ違うと思うんです。まだ知られていない部分もきっとたくさんあるので、飽きない人間でいられたらいいなと思っています」と今後を描いた。

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