宗教法人法で定められた質問権に基づく調査への回答を拒んだとして、文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側に過料を科すよう求めた裁判で、最高裁第1小法廷(中村慎裁判長)は3日付で決定を出し、「民法上の不法行為は解散命令の要件に含まれる」との初判断を示した。教団を巡っては別に解散命令請求を巡る裁判が進んでいるが、教団側は「民法上の不法行為は解散命令の要件に含まれない」と訴えている。最高裁の決定は教団側の主張を退ける内容で、解散命令の判断に影響を与える可能性がある。
その上で小法廷は、田中富広会長に過料10万円を科した東京高裁決定(2024年8月)を支持し、教団側の不服申し立てを退けた。裁判官5人全員一致の意見。
宗教法人法は、解散命令の要件として「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」と定め、「法令違反」の疑いのある宗教団体を調査するための質問権を認めている。
文科省は過去22件あった教団や信者らの民法上の不法行為を認めた民事判決を根拠に質問権による調査を始め、民法上の不法行為を理由に解散命令を東京地裁に請求した。その過程で教団側に質問権への回答を一部拒まれたとして23年9月、東京地裁に過料を科すよう求めていた。
過去に解散命令が確定した宗教団体は幹部らが刑事責任を問われており、教団側は「民法上の不法行為は解散命令の要件である『法令違反』には含まれず、質問権の行使自体が違法」と反論していた。
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これに対し、小法廷は、民法上の不法行為は他人の権利や利益を侵害するもので、不法行為を理由に宗教法人として不適切となることも十分あり得るとして教団側に過料10万円を科すことを認めた東京地裁、東京高裁決定を支持した。
教団側は、東京地裁で続いてきた解散命令請求の審理でも、民法上の不法行為は解散命令要件には含まれないと主張している。審理は25年1月に終結し、今後判断が出される見通し。【巽賢司】
阿部文科相「不報告事項へ回答求める」
阿部俊子文部科学相は「(文科相による質問権の)行使が適法であり、旧統一教会が報告しなかったことについての司法判断が確定したものと承知している。旧統一教会に対しては不報告事項に回答するよう引き続き求めていく」とコメントした。
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