米、防衛費の目標値明記要求=28年度増額、首脳声明の調整時―日本難色で見送り

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2025年03月06日 07:31  時事通信社

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ホワイトハウスで会談する石破茂首相(左)とトランプ米大統領=2月7日、ワシントン
 2027年度に防衛費を国内総生産(GDP)比2%とする日本の計画を巡り、トランプ米政権が28年度以降に一段と積み増す方向で目標値を設定するよう要求していたことが分かった。先月の日米首脳会談の共同声明に明記するよう求めていた。日本側が難色を示したため見送られたが、今後も増額圧力が強まる可能性があり、石破政権は難しい対応を迫られそうだ。

 複数の日本政府関係者が5日、明らかにした。トランプ政権側には、日本は防衛費をGDP比3%程度に引き上げるべきだとする声があり、共同声明の文言調整段階でもそうした具体的な数値を盛り込むことを求めた。

 これに対して日本側は、2%目標の着実な実施を優先する必要があると反論。最終的に「米国は27年度より後も抜本的に防衛力を強化していくことに対する日本のコミットメントを歓迎した」との記述に落ち着いた。

 米ワシントンのホワイトハウスで2月7日(日本時間同8日)に行われた首脳会談で、石破茂首相は23〜27年度で防衛費を倍増させる現行計画を説明。トランプ大統領はこれを評価し、共同記者会見で「抑止力をフルに発揮し、同盟国を100%防衛する」と表明した。

 目標値を書き込むことに日本側が反対したのは、計画2年目の段階で増額に触れれば「あれだけ丁寧に2%と決めたのは何だったのか、という反発が起きる」(政府関係者)と判断したためだ。少数与党の政治状況下、防衛増税の開始時期を決定し切れていない事情もある。

 米国防次官(政策担当)に指名されたエルブリッジ・コルビー氏は4日、上院軍事委員会に提出した書面で日本の防衛費について「3%以上」へ増額すべきだと主張した。トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、国防支出の目標を現行のGDP比2%から同5%へ引き上げるよう要求するなど既に圧力を強めている。

 首相は5日の参院予算委員会で防衛費について「積み上げの結果決まっていくものだ。最初から何%ありきの粗雑な議論をするつもりはない」と強調。中谷元防衛相も「米国に言われてやるものではない」と語った。 

米ホワイトハウスでの首脳会談で握手する石破茂首相(左)とトランプ大統領=2月7日、ワシントン
米ホワイトハウスでの首脳会談で握手する石破茂首相(左)とトランプ大統領=2月7日、ワシントン

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