写真会社に巣食う問題社員によって同僚は疲弊し、職場は大混乱。時には退職者まで出し、業績を悪化させる。そんな「危険社員」を7種類の野生生物にたとえて、生態に迫った!今回は「マダニ型」危険社員について。
◆「若害」ウイルスが同僚に感染
マダニは日本全国に生息し、哺乳類に取りつき血液を吸う。吸血されたヒトにはさまざまな病原体が伝播し、感染症を発症。重篤化すると致死率は27%にも達する危険生物だ。
20代のZ世代に目立つマダニ型危険社員も「若害」をまき散らして職場を混乱の渦に巻き込んでいるという。「電話に出ない」「無断欠勤の常習」「オンライン会議に寝間着で参加する」……全国の企業から悲鳴にも似た被害報告が寄せられた。
だが、マダニ型社員がバラまくウイルスの害毒の影響はその先にある。
「昨今、若手社員に強く注意できないのを知ってか、ウチの部署の若手は書類は提出しないし、報連相なんて全スルー。そのくせ人事考課には『評価が低い』と不満を漏らす。こんな振る舞いが徐々に別の若手社員にも伝染してしまい、今やウチの部署は社内で“問題児クラス”って呼ばれてます」(製造・38歳・男性)
◆傍若無人な振る舞いの理由は…
傍若無人な振る舞いの理由を臨床心理士の杉山崇氏が説明する。
「自分らしくと育てられ、SNSでは“いいね”をもらうことに慣れており、仕事の成果より承認欲求を優先する」
マダニ型社員の中には、オフィスカジュアルと称して「白T・チノパン・クロックス」で出勤する者もいるという。弁護士の西川暢春氏は対策をこう話した。
「人事考課で服装を理由にマイナス査定をすると、権利濫用になる恐れがあります。合理的な身だしなみの基準を就業規則に定めるといい」
効果的対策で駆除すべし。
◆「マダニ型」の特徴
マダニは日本全国に生息。外見はどこにでもいる「ムシ」だが、まき散らす害毒は深刻だ。平凡だが一癖も二癖もあるZ世代社員と重なる。
「融通が利かず、自分を否定する人は仲間と思わない」(杉山氏)。一方、同世代にはウイルスの感染力が強く、影響されたマダニ社員が増殖!?
マダニを媒介とする重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の致死率は27%に達する。マダニ社員によるウイルス感染も、職場の被害は重篤だ
対策:新たに就業規則を設け若害行動を取り締まる
【臨床心理士 杉山 崇氏】
心理学者。神奈川大学教授。同大学心理相談センター所長。著書に『心理学的に正しいモンスター社員の取扱説明書』(双葉社)など
【弁護士 西川暢春氏】
弁護士法人咲くやこの花法律事務所代表。問題社員対応や労務・労働事件などの企業法務に定評がある。顧問先は560社超
・企業法務に強い弁護士への法律相談サービス
・実績豊富な顧問弁護士サービス(法律顧問)【大阪をはじめ全国対応可】
取材・文/齊藤武宏 取材/谷口伸仁 山本和幸 綾部まと イラスト/神林ゆう
―[職場を壊す[危険社員]図鑑]―