
連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合ほか)、「理想と現実って何なん?」と週タイトルがついた第22週では、結(橋本環奈)が幼なじみの菜摘(田畑志真)を手伝い、高齢者向けコンビニ弁当の開発に携わった。一方で、さくら通り商店街のテーラー職人・要蔵(内場勝則)は妻の介護のため仕事を引退して老人ホームに入るといい、聖人(北村有起哉)、愛子(麻生久美子)、美佐江(キムラ緑子)ら親世代が老後に思いを馳せるシークエンスとなった。「世代交代」が描かれた今週を、制作統括の宇佐川隆史さんと真鍋斎さんにふり返ってもらった。
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アラサーの結と菜摘が次の段階にステップアップしていくターン
真鍋さんは第22週の作劇について、
「『おむすび』という作品はこれまでずっと、平成という時代を生きた登場人物たちの人生の歩みを描いてきました。幼なじみ同士の結と菜摘は今、30歳前後。そろそろ仕事の上で結果が求められる時期に差し掛かっています。そんな彼女たちがどんなことで悩み、解決していくのかを描きたいと思いました」
「自分では『だいぶ仕事ができるようになってきた』と思っていても、全く違う視点からの発想が助けになることがある。商品開発部長の豊岡(隈本晃俊)や、製造を委託されている会社の管理栄養士・土屋(森優作)が、コストや見た目を鑑みた上での生産ラインの確保など、現実的な『ダメ出し』をしていました。そこで菜摘と結が気づきを得る、そして吸収してステップアップしていくという狙いでした」
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と説明する。
不特定多数に向けた「支え」は今後の展開にもつながる
また宇佐川さんは「これまで結は病院の管理栄養士として、患者と個別に向き合ってきましたが、この週で高齢者向けのお弁当の開発に携わることで、不特定多数に向けた『支え』という、新たな視点が出てきます。結が病院で培ってきた管理栄養士としての知識を、また違ったかたちで伝えていくのも見どころのひとつでした。また『家族の変化』も重要な要素です。歩(仲里依紗)はファッションブランドを立ち上げ、花(宮崎莉里沙)はサッカーで大阪代表に選ばれて翔也(佐野勇斗)が野球で叶えられなかった夢を実現しようとします。永吉(松平健)の死を経て次の世代へとバトンが渡され、米田家の家族がそれぞれ新たな道を歩み始める姿に、温かさと成長の余韻を残せるのではないかなと思っています」と、今後の展開も匂わせつつ語った。
次週、第23週「離れとってもつながっとうけん」では、コロナ禍での医療スタッフの奮闘と、家族の絆のかたちが描かれる。
(まいどなニュース特約・佐野 華英)
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