歌手デビュー60周年の加藤登紀子が、「歌は自分を語ること」だと教わった出来事とは?

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2025年03月10日 18:20  J-WAVE NEWS

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シンガーソングライターの加藤登紀子が、人からの学びについて語り、おすすめの楽曲を紹介した。

加藤が登場したのは、J-WAVE『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、ノイハウス萌菜)のコーナー「Expedia LISTEN AND LEARN」。週替わりのゲストを招き、人生で得た学びや気づきを教えてもらうコーナーだ。ここでは、3月3日(月)のオンエア内容をテキストで紹介する。

【radikoで聴く】
3日(月)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20250303093301
4日(火)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20250304093623
5日(水)OA分:https://radiko.jp/share/?sid=FMJ&t=20250305093530
※それぞれ再生期限はオンエアの1週間後まで

歌は「自分を語ること」だと、教えてくれた人物

歌手デビュー60周年を迎えた加藤。昨年の秋には、『「さかさ」の学校: マイナスをプラスに変える20のヒント』も刊行した。

加藤は1965年に、東京大学在学中に第2回日本アマチュアシャンソンコンクールに優勝し歌手デビュー。1966年、東京大学在学中に『誰も誰も知らない』でレコードデビューし、その後、1969年に『ひとり寝の子守唄』、1971年には森繁久弥作詞・作曲の『知床旅情』で、2度のレコード大賞歌唱賞を受賞している。また、中森明菜の『難破船』の作詞・作曲、石原裕次郎の『わが人生に悔いなし』の作曲を手がけるなど、自身の歌以外にもヒット曲を生み出した。1992年にはスタジオジブリ作品『紅の豚』の主題歌・エンディングテーマを担当し、作中では主人公の憧れるマドンナ、マダム・ジーナの声優も務めるなど、長年、第一線で活躍中だ。

そんな加藤の人生に影響を与えたのは、俳優・森繁久弥との出会いだという。

加藤:私と森繁さんの出会いはもちろん『知床旅情』という歌です。森繁さんが1960年に作られたこの歌を、私は(もともと)まったく知りませんでした。羅臼(らうす)で海難事故があったときに、その漁師たちの物語を込めて極寒の地で働いている人たちを映画にし、そのときに『知床旅情』という曲を置き土産として知床の人にプレゼントしたのだそう。それから約8年後に、この『知床旅情』が大好きだった藤本敏夫という人が、夜空の下で私にこの歌を歌ってくれて、本当にぶっ飛ぶくらい感動しました。ひとりの男が自分の人生をかけて歌う、そういう歌がこの世にあるのだということを知り、とても衝撃を受けて。それから1年後にやっと辿り着いたのが『ひとり寝の子守唄』という歌でした。(そのあと)なんとも奇遇で、私がたったひとりで『ひとり寝の子守唄』を弾き語りしているのを聴いたのが、森繁久弥さんだったの。それが彼との初対面だった。そのとき森繁さんが「あんたは赤ん坊だったから、きっと何も覚えていないだろう。でも、あんたの声はツンドラの風の冷たさ、ハルビンの極寒を知っているね」と言ってくれたんですよね。

森繁との出会いを「思いもよらなかった」と振り返る加藤。彼女が森繁からよく言われていた、「あること」とは……?

加藤:森繁さんがよくおっしゃっていたのが、「歌は歌うな。歌は語れ」ということです。森繁さんは、私が「何も思っていなくても、それを表現できていることがある」と言ってくださいましたが、「語りたいことを語る」というのは、いちばん大事なんだということを学んだ気がします。私が、「歌う」ということはすごく派手なステージを作るとか、美しい姿で歌うとか、スポットライトを浴びるということではなくて、「自分を語ること」だと思えたのは、森繁さんのおかげだと思います。

加藤の話を聞いたサッシャは……。

サッシャ:加藤さんはハルビンの極寒を知っているという話でしたが、実は加藤さんは満州国のハルビン生まれで、終戦を迎えたときは赤ちゃんでしたが、引き揚げてきた経歴があるんですね。だから「覚えていないだろうけど、体のなかに染みこんでいるね」という。当時、森繁久弥さんもNHKのアナウンサーとして満州国に赴任されていて、終戦を迎えて日本に戻ってきました。そのあと、喜劇俳優や歌手として活躍されることになるわけですが、森繁さんはよくハルビンのことも知っているし、引き揚げの大変さも経験したうえで、加藤さんには「声」で同じものを感じたという……。きっと、その風景を経験した人でないと見えないものがあって、それが加藤さんのご活躍につながっていくというのは、すごい話ですね。

飛躍のきっかけとなった、大切な1曲

加藤には月曜から木曜の4日間、毎日選曲もしてもらう。この日、選んだのは1969年に自身がリリースした『ひとり寝の子守唄』。彼女はこの曲について「作詞・作曲が初めて成功した曲と言ってもいいかもしれません」と紹介した。

【ひとり寝の子守唄】加藤登紀子 55th Anniversary

サッシャ:素敵ですね。最初の大きなヒットになって、森繁久弥さんとの出会いもつないだ、思い出の曲ということになるわけですね。

ノイハウス:今日のお話の「語っている」というところを伺ってから聴くと、あらためて「どんなことを伝えたいんだろう?」という、奥深いところまで考えて聴いてしまいますね。

そんな加藤は、2024年11月14日に、エッセイ『「さ・か・さ」の学校 〜マイナスをプラスに変える20のヒント〜』(時事通信社)を発売した。

加藤:「マイナスをプラスに変える20のヒント」ということで、すべてとっても役に立つのですが(笑)。滑り出しは、「困った時はまず笑ってしまおう」。ぜひお読みになってください。

サッシャ:加藤さんが人生で得た学びが、20のテーマごとに綴られています。

ノイハウス:いま教えていただいた、「困った時はまず笑ってしまおう」以外にも、「さっき言ったことと反対のことを平気で言おう」など、「どういうことなんだろう?」という、じっくり読んでみたい学びがたくさん詰まっている1冊になっています。

加藤登紀子の最新情報は公式ホームページから。

J-WAVE『STEP ONE』のコーナー「Expedia LISTEN AND LEARN」では、さまざまな業界のトップランナーが、これまでの経験から得た学びをシェアする。放送は月曜〜木曜の9時35分ごろから。

番組情報

STEP ONE


月・火・水・木曜
9:00-13:00




サッシャ、ノイハウス萌菜



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