ライトアップされた高田松原津波復興祈念公園の防潮堤。スイセンの花が浮かび上がった=11日午後、岩手県陸前高田市 東日本大震災から14年となった岩手、宮城、福島各県の被災地では11日夜、竹あかりやキャンドルがともされ、犠牲者を追悼する行事が行われた。
岩手県陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園の防潮堤には、希望を象徴する「スイセン」の花が発光ダイオード(LED)で描かれた。
中学1年生の孫(13)と訪れた同市の無職菅野悦子さん(65)は、震災で夫や義理の母、妹夫婦を亡くした。「何でいないのかなと今でも思う」といい、孫には「自分の命が一番大事だ」と言い聞かせている。
津波で児童と教職員計84人が犠牲となった宮城県石巻市の震災遺構「大川小学校」では、当時在籍した児童数と同じ108本の「竹あかり」が、子供たちを抱きしめるイメージで円状に並べられ、優しい光が周囲を照らした。
当時小学5年生だった次女を亡くした紫桃隆洋さん(60)がデザインを考案。紫桃さんは「娘をもう一度だけ強く抱きしめたい」と語った。
福島県いわき市では、メッセージが書かれたキャンドルが「3.11みらいへのあかり」という文字の形に並べられた。同市の小学5年生所心愛さん(11)は、「これからも災害に負けない福島へ!」と書いた。母親の佐緒利さん(36)は、「(避難先から福島に)帰りたくても帰れない人もいる。福島のことを忘れないでほしい」と話した。
同市の「いわき震災伝承みらい館」では、「希望」「絆」などと書かれた黄色いハンカチ約300枚が建物の外ではためき、ライトアップされた。息子と訪れた40代男性は、津波で父親を失った。震災について「特別な日。あんなに衝撃的なことはない」と振り返り、「震災のテレビ番組もあえて録画して残している。もう少し大きくなったら(息子に)見せたい」と語った。

震災遺構「大川小学校」でともされた竹あかり=11日午後、宮城県石巻市

「いわき震災伝承みらい館」の外に飾られた黄色いハンカチ=11日午後、福島県いわき市