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総務省は3月11日、誹謗中傷などへの対応を迅速化する「情報流通プラットフォーム対処法」(情プラ法)を一部改正し、4月1日に施行すると閣議決定した。併せて総務省は関連省令の改正と事業者向けのガイドラインを公開。しかし第三者からの削除要請も受け付けるという内容がネットで物議を醸しているようだ。
今回の改正により、月間平均アクティブユーザー数が1000万を超える事業者(大規模特定電気通信役務提供者)は、ガイドラインに沿って具体的な投稿の削除基準を「できる限り具体的に」決め、公表することが求められる。
また日本の法令や文化などの知識を持つ「侵害情報調査専門員」を選任して対応にあたること、削除要請やそれに対する返答(通知)の数を毎年公表することなども求めた。
●通知までの期間を14日間→7日以内に短縮
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情プラ法では、事業者は削除要請を受けた日から「14日以内の“総務省令で定める期間内”」に対応を決め、申告者に通知することになっていた。総務省令改正では、これを「7日以内」とした。
事前の意見募集では、迅速な対応を歓迎する意見が多かったものの、一方で「事業者の負担が過大で拙速な判断を招きかねない」(弁護士)、「改めて事業者側からも実務・実態を聴取した上で、慎重に検討すべき」(新経済連盟)といった慎重論も出ていた。
事業者は、投稿を削除する場合には投稿者へも通知する。連絡先が分からない時などは、削除された投稿があった場所に削除したことと理由を掲載するなどの措置を講じる。ただし発信者がストーカーであるなど、通知が二次被害を引き起こすおそれがある場合を除く。
削除しない場合は、理由も合わせて削除要請をした人へ通知する。これは申告者が再び申し出る時の参考にするためだ。
●第三者による削除要請はSNS規制か
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ガイドラインでは、誹謗中傷などを受けた本人以外──つまり第三者からの削除要請についても「速やかに対応を行うことが望ましい」としている。X(旧Twitter)などでは、これが単に都合の悪い投稿を削除させる「SNS規制」につながりかねないとして問題視する声も上がっている。
事前の意見募集では「法務省の人権擁護機関や警察庁の委託事業であるインターネット・ホットラインセンター等の公的機関等から違法・有害情報の削除要請が行われている」(弁護士)など、事例を挙げて対応が迅速になることが望ましいとする賛同意見が複数あった。これは現状を追認し、対応を強化するという見方だ。一方、LINEヤフーなどは「発信者の表現の自由に対する萎縮効果へ繋がりかねない」として記述の削除を求めていた。
こうした意見に対し、総務省は「被害者救済の観点から、被侵害者以外の者による削除申し出であっても、権利侵害情報について迅速に対応されることが望ましいという趣旨で記載されているもの」と説明。記述は残し、趣旨をガイドラインに追記した。
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