鈴木馨祐法相(中央左)に要望書を手渡す地下鉄サリン事件遺族の高橋シズヱさん(同右)=12日午後、東京都千代田区 オウム真理教による一連の事件の遺族らは12日、東京・霞が関で鈴木馨祐法相や田野尻猛公安調査庁長官と面会し、教団の後継団体「Aleph(アレフ)」が被害者らに負う賠償問題の早期解決などを求めた要望書を提出した。
1995年3月の地下鉄サリン事件で夫を亡くした高橋シズヱさん(78)は、面会後に記者会見し、「事件から30年がたつと(被害者も)高齢化してくる。被害賠償を果たしてもらいたい」と訴えた。
アレフを巡っては2020年11月、被害者らへの賠償金約10億2500万円の支払い命令が最高裁で確定した。しかし、債権者の「オウム真理教犯罪被害者支援機構」によると、アレフは賠償命令後、一切の支払いに応じていないという。
面会で高橋さんらは、差し押さえ手続きを進めるため、国が保有するアレフの財産情報を提供するよう要望。国が機構からアレフの債権を買い取って回収に当たることも求めた。ほかに、3年ごとに更新されている観察処分の恒久化や、事件に関する資料保存なども申し入れた。