【サッカー日本代表】冨安健洋が戦力として計算できないセンターバックが心配でならない

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2025年03月13日 07:30  webスポルティーバ

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 かつての日本代表において、センターバック(CB)は、長らく悩みの種と言っていいポジションだった。

 サイズを重視すれば、足元の技術やフットワークに欠け、ならばと技術やフットワークを重視すれば、サイズ不足の選手を使うしかなくなってしまう。

 あちらを立てれば、こちらが立たず――。そもそも欧米諸国の選手に比べて、体格で見劣る日本人選手のなかから、理想的なCBを見つける(育てる)のは容易なことではなかったからである。

 実際、ヨーロッパへ渡る日本人選手も、以前は比較的小柄な、俊敏性に優れたタイプのMFやサイドバック(SB)が多かった。

 だからこそ、2022年ワールドカップでの日本代表メンバーは、画期的だったのだ。

 CBとして(SBとの兼用も含めて)名を連ねていたのは、いずれもヨーロッパで活躍する吉田麻也、板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝。これに、ベテランらしい安定したパフォーマンスを見せる国内組(当時)の谷口彰悟を加えた5人は、全員が身長185cm以上にして、ボランチもこなせるほどの器用さを備えていた。

 それは、日本代表史上最高と言ってもいいCBの陣容だった。

 ワールドカップ本番では、ケガを抱える冨安がフル稼働はできなかったが、それでも穴埋めに苦労せず、しかも4バックと3バックを併用できたのは、特定のメンバーに頼らない充実のCB陣を擁していたからに他ならない。

 かつての日本サッカーがCBに苦しんだことを思うと、隔世の感を覚えずにはいられない頼もしさが、そこにはあった。

 ところが、である。

 あれから2年余りが経過した現在、少々雲行きが怪しくなってきている。何より心配なのは、冨安のコンディションだ。

 前回のワールドカップ時点で、すでにイングランドの名門、アーセナルに所属していた冨安は、充実の日本代表CB陣のなかでも頭ひとつ抜けた存在だった。しかも当時、まだ24歳。これから先、どんなキャリアを歩んでいくのか、大いに期待は高まった。

 しかし、そんな特別な才能も度重なるケガに悩まされ、まともにプレーできない状態が長らく続いている。

 最近も2度目の右ヒザ手術が報じられたばかりで、復帰までにかなりの時間を要するのはもちろんのこと、選手生命の危機さえ心配されるほどだ。

 加えて、吉田は年齢的な理由からか、すでに代表から遠ざかって久しく、谷口は負傷により、長期戦線離脱中。伊藤はようやく負傷が癒え、戦線復帰したものの、まだ様子を探りながらの試合出場が続く状態にある。

 とはいえ、前回のワールドカップ時点で34歳だった吉田と、同じく31歳の谷口については、当然後任探しを考えておかなければならなかった。要するに、想定内の事態だったはずである。

 しかしながら、充実の陣容もすっかり屋台骨が揺らいでしまった一方で、次世代の登用は進んでいない。パリ五輪世代を見ても、高井幸大がようやくA代表に選ばれるようになった程度で、前回ワールドカップ後に台頭してきたCBは、町田浩樹くらいのものである。

 その町田にしても、現在所属するのはベルギーのサンジロワーズ。最近は日本人選手のヨーロッパ進出が急速に進んでいるにもかかわらず、イングランド・プレミアリーグやドイツ・ブンデスリーガでプレーするようなCBは出てきていないのだから、冨安どころか、ベテランの穴を埋めるのも容易なことではない。

 前回のワールドカップ当時、「アーセナルの冨安」は、間違いなく日本代表の看板選手だった。決して万全な状態ではなかったが、それでもピッチに立ったときの存在感は抜群だった。粒ぞろいに見えた充実のCB陣も、実は大看板がいてこその印象だったのだと、今さらながら思い知らされる。

 冨安不在が一時的なものではなくなりそうな今、CBは再び日本代表の悩みの種になり始めている。

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