大阪高裁=大阪市北区 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者に頼まれ殺害したとして、嘱託殺人などの罪に問われた元医師山本直樹被告(47)の控訴審判決が13日、大阪高裁であった。坪井祐子裁判長は「黙示の共謀が成立した」と述べ、懲役2年6月とした一審京都地裁判決を支持し、控訴を棄却した。
控訴審で弁護側は、医師大久保愉一被告(46)=殺人と嘱託殺人事件で一、二審懲役18年、上告中=との共謀を改めて否定。一方、証人として出廷した大久保被告は、山本被告について「協力的だった」などと証言した。
坪井裁判長は、大久保被告から女性患者の家への同行を求められた際、格別な説明を受けず、殺害計画を察知した点を指摘。「事前共謀の成立を認めた(一審判決の)結論は正当」と結論付けた。
判決によると、山本被告は2019年11月、大久保被告と共謀し、ALS患者の女性=当時(51)=の依頼を受け京都市内の自宅で薬物を投与し、急性薬物中毒で死亡させた。
山本被告は、大久保被告らと共謀した自身の父=同(77)=に対する殺人事件で、懲役13年が確定している。