iPhone一体型キーボードケース「Clicks」で快適なキー操作を実現! しかし、あと一歩と感じる部分も……

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2025年03月13日 12:11  ITmedia PC USER

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いつでも操作できる物理キーボードが常に手元にあります!

 筆者のメインスマホはiPhoneです。大抵は一番大きなサイズを選択しており、今は「iPhone 16 Pro Max」を使用しています。


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 仕事の連絡もたくさんスマホに来ますが、本体サイズが大きいということもあり、文字入力が結構なストレスです。なるべくiPhoneで文字入力はしないようにしています。Microsoft TeamsやSlack、(Facebook)Messengerなど、基本はPCでも使えるサービスの利用が多いので、入力はPCを開いて行うことも多いです。連絡すると返信リレーが始まりがちなので、わざわざPCを開く価値はあると思っています。


 ただ、外出時などにもっと身軽な状態で、iPhoneでも快適に返信したいと誰もが考えると思います。筆者も小型のBluetoothキーボードや、小さいスタンドなどを一緒に持ち運び、ちょっとした場所で入力できるようにしたこともあります。


 しかし、Bluetooth接続してまでiPhoneでキーボードを使うかというとそんなことはなく、結局は頑張ってソフトウェアキーボードで入力するか、何も考えずにノートPCを持ち運んだ方が楽だ、となってしまいます。


 ということで、iPhoneで物理キーボードを使うという考えはなくなったのですが、先日、たまたま良さそうなキーボードを発見しました。ケースと一体型の物理キーボード「Clicks」です。「本当に使えるのか?」と悩みましたが、結局使ってみないと分からないと思い、購入を決断しました。


 購入してから1カ月ほど経過しましたが、ずっと装着して使い続けられています。慣れるのに多少時間はかかりましたが、今は物理キーボードがあるのが普通な感覚になってしまいました。


 PCと比べるとイマイチな点はありますが、iPhoneとして考えると、ある程度の長文入力も苦にならないくらい手になじみました。高速なフリック入力ができる方には不要かもしれませんが、「物理キーボードが断然快適」という方はぜひとも使ってみていただきたい逸品です。


●要するにケースと一体型の外部キーボード


 Clicksは、iPhoneケースと物理キーボードが一体となったケースです。iPhoneの機種ごとにケースが用意されています。現在はiPhone16、15、14シリーズ用が発売されていて、本記事ではiPhone16 Pro Max用のClicksを使用しています。色は飽きがこなさそうな「オニキス」を選択しました。他に「サーフ」「スパイス」が用意されています。


 キーボードの接続は、iPhone本体のUSB Type-Cコネクターと接続します。コネクター経由で給電できるので、キーボード側にバッテリーはありません。


 Bluetooth接続でもないため、再接続のためのストレスもありません。装着していればいつでも使えるので、この点は非常に利便性が高く、使うためのハードルは相当低いです。


 ケース自体の品質にもこだわられているようで、裏地はマイクロファイバーを採用しており安っぽい感じはありません。ケースにバッテリーを載せる必要がないためか、思ったより軽量で、実測で80gでした。


 ガラスフィルムを装着したiPhone 16 Pro Maxの重量はトータルで約320gなので、ずっしりと来るのは仕方ないとしても、許容範囲ではないでしょうか。しかし、やや重量バランスが悪くなる点は注意が必要です。


 iPhone16シリーズ用はMagSafeにも対応しています。ケース下部にもUSB Type-Cコネクターがあるので、そちらから有線充電することも可能です。充電だけではなくPCとの接続も可能ですが、相性問題などもあるようで、iPhone本体のUSB Type-C端子のように全ては動作しないようです。ご注意ください。


 MagSafe充電器も形によっては使えないでしょう。充電のためにケースを外すというのは、手間なのでまずやらないでしょうね。


 大きいとはいえ、私としてはズボンのポケットにも今まで通り収まるので特に不便さは感じていません。ポケットに入れて自転車も乗っています。このあたりはiPhoneの持ち運び方によりますので、個人差がありそうです。


 ちなみに、このユニークな見た目のせいか、会う人会う人に“変態”と呼ばれます。変わり者であることを楽しめる人には、むしろ褒め言葉かもしれません。私、ガジェッターとしては、全く気になりません。


●キーボード入力はかなり快適


 Clicks最大の魅力は、やはり物理キーボードが使えることです。というより、それ以外にメリットはありません。


 キー配列や数字/記号入力に少し癖があるので、初めは少し慣れが必要です。しかし、ボタン自体が押しづらいということはなく、この小さなサイズでもしっかりと狙ったタイピングができるというのは素晴らしいと感じました。オンスクリーンキーボードとは雲泥の差です。


 この手の製品は、日本語入力の使い勝手がイマイチなこともあります。しかし、ややクセはあるものの、「、」(読点)/「。」(句点)/「―」(長音) ?なども「123」キーを併用することで入力可能です。思っていた以上に、普通に日本語入力ができました。


 物理キーボードの利点は他にもあります。オンスクリーンキーボードを表示せずとも入力できるため、アプリ画面が常にフルに表示されます。また、オンスクリーンキーボードが表示される際に起こる表示画面の移動がなく、「画面がピョコピョコ動かないだけでもストレスが軽減されるものなんだ」と改めて感じました。


 キータイプ音は「カチカチ」というイメージで、個人的には心地いいです。しかし、それなりに音がするので、図書館や静かなカフェなどでは使いづらいです。電車などでは問題ありません。


 サイズが大きいこともあって、片手で入力するのは無理です。両手持ちが基本のスタイルとなります。ただし、オンスクリーンキーボードも引き続き使えるので、フリック入力なども可能です。Clicksを装着することで、あくまで物理キーボードが純粋に追加されると考えればよいでしょう。


●意外と、カメラのシャッターが使いやすくなった


 Clicksを使っていて気づいたのが、カメラのシャッター操作が意外と使いやすくなったという点です。シャッター自体は画面上のシャッターを押しますが、物理キーボードによって支えとなる部分が増えたため、縦向きでも横向きでも、手ブレせずに安定してシャッターを切れるようなりました。


 逆に、iPhone16 Proで搭載されたカメラコントロールボタンは、壊滅的に使いづらくなります。位置、ボタンの操作共に扱いにくくなります。もっとも、元からあまり活用できていなかったので、筆者はデメリットだと感じてはいませんが……。


●ショートカットが使えるのは、やはり良い


 物理キーボードならではのメリットとして、ショートカット操作が挙げられます。iOSでは外部キーボードを接続すると、Command+Cで「コピー」といったショートカット操作をできますが、要するにそれです。


 どれくらいショートカットキーがあるのかは詳しくは知らないのですが、以下のキーはよく使っています。


・コピー/Command+C


・ペースト/Command+V


・カット/Command+X


・取り消し/Command+Z


・ホーム画面に戻る/Command+H


・Spotlight検索画面/Command+スペース


・ブラウザでアドレスバーにフォーカスを当てる/Command+L


・ページを下にスクロール/スペース


・逆スクロール/Shift+スペース


・ページ内検索/Command+F


・タブを閉じる/Command+W


 Kindleでのページ送りもスペースキーで可能です。画面ロックの解除も、何かキーを押せばFace ID認証が始まるので、画面へのタップは不要です。


 慣れてしまうと、やはり「物理キーボードはあると便利だ」と感じてしまいます。


●完璧まで、もう一歩


 しかし、個人的に大きく残念な点があります。それは、専用のカーソルキーがないことです。物理キーボードのメリットとして、画面タップでは超操作しづらいカーソル移動を物理的なボタンで操作できる点があります。


 しかし……Clicksには、物理カーソルキーがないのです。


 カーソルモードという、WASDやIJKLをカーソルキーとして見立てるモードがあります。ただ、「123」キーと「コマンド」キーを同時に押してモードを切り替える必要があるので、利便性は低いです。


 iOSの標準IME(オンスクリーンキーボード)にカーソルキーがないのは非常にストレスで、私はテキストを打ちやすいようにとカーソルキーが使えるアプリを作ったほどです。


→・「Simple Memo-Ultimate-」


 PCのように、サッとカーソル移動できるようにしたいものですね。


 その他、ESCキーがないとか、「_」(アンダースコア)や「・」(中黒)のような記号の一部が入力できない(対応するキーがない)、といった問題もあります。やはり若干キーの数が足りない気がします。


 アンダースコアのような記号は辞書登録して変換するという方法で多少は逃げられますが、せっかくの物理キーなので簡単に入力したいところですね。


 既に大きいケースに、物理的に一段キーを増やしても大きな影響はないと思います。是非、今後のバージョンでカーソルキーを追加してほしいところです。


 使い勝手の面では、もう1点気になるところがありました。それは今、どの入力モード(English/日本語かな)になっているのか一目で分からないため、文字を入力してみないと判断できない点です。


 オンスクリーンキーボードの場合は表示されたキーボードで判断できますが、物理キーボードなので情報がありません。Dynamic Island(上部ノッチの部分)に入力モードが表示されるといったことが実現できたら面白いと感じました。


●「ショートカットアプリ」との連携は、人によってはキラー操作に


 iPhoneの「ショートカット」アプリとの連携も可能です。事前に設定しておくことで、Clicksの任意のキーからショートカットが直接呼び出せます。これは工夫次第で大きな利便性が見いだせます。単純なところで、「特定のアプリを起動する」といった使い方もできるでしょう。


 私はそこまでショートカットは使っていないのでほぼ未検証ですが、IoT家電の照明のコントロールや音楽操作などもできるのではないでしょうか。


 なお、これらはClicksだからできるというわけではなく、iOSのフルキーボードアクセスの機能を使っています。そのため、別の外部キーボードでも実現は可能です。


●使うことで、慣れてしまうのも問題か?


 文字入力のストレスが減ることで、仕事の効率も上がるでしょう。キーボードが必要だからiPad+キーボードカバーを持ち運んでいる方は、もしかしたらこのClicksで代替できるかもしれません。


 また、Clicksを装着したからといってオンスクリーンキーボードが使えなくなるわけではないので、デメリットは本体が大きくなることくらいだと思います。私は大きさは許容できましたので、ずっと装着した状態で使っています。


 しかし、最後に、大きな難点をお伝えします。今使っているiPhone専用サイズのケースとなるため、iPhoneを買い換えたら再度購入が必要ということで、コスパはかなり悪いです(iPhone 16 Pro Max向けは公式サイトで2万4800円)。


 さらに、新機種が出てからいつClicksが発売されるか分からないので、毎年iPhoneを新機種に買い替えているようなヘビーユーザーは、発売してからしばらく物理キーボードがない状態で使うことになります。あまりに慣れすぎると困ってしまいそうです。


 とはいえ、刺さる人には刺さる、上質な物理キーボードケース──慣れると手放せなくなります。



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