『セサミストリート』キャラクターの生みの親。市川紗椰が語るジム・ヘンソンの深き世界

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2025年03月14日 06:50  週プレNEWS

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『タモリ倶楽部』の最終回でも着た、ジム・ヘンソンのヘビメタ風パロディTシャツ

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、市川紗椰が愛するジム・ヘンソンの深き世界について語る。

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子供の頃から大好きなジム・ヘンソン。アメリカで長年愛されている、知名度抜群な監督・プロデューサー・人形使いで、最近「ディズニープラス」でも新しいドキュメンタリーが公開されました。彼なくしてはアメリカのテレビを語れないほど、ポップカルチャーにおける重要人物だと思います。

日本では名前を聞いてもピンとくる人は少ないかもしれませんが、彼の世界に触れてきた人は多いはず。例えば、日本でも放送されていた『セサミストリート』のキャラクターも、彼が生み出したもの。

私としては、『マペット・ショー』をはじめとする「マペッツ」という大型フランチャイズや、デヴィッド・ボウイ主演の映画『ラビリンス/魔王の迷宮』、ファンタジーの金字塔『ダーククリスタル』、NHKでも放送されていた『フラグルロック』など、思い入れのある作品が多すぎます。今回は、ジム・ヘンソンの深き世界の入門を。

ジム・ヘンソンの代名詞は、なんといっても「マペット」と呼ばれる操り人形たち。『セサミ...』のエルモやクッキーモンスター、『マペット・ショー』の司会のカエルのカーミットに代表される、ふにゃふにゃした動きやコミカルな動きでおなじみのあいつらです。

「マペット」は「パペット」と「マリオネット」を組み合わせたヘンソンの造語。表情は人間の手指で操作し、手足は糸や棒で動かします。人形を操作する人が声優を担当するので、発声と人形の口の動きが一致することも特徴(ヘンソン自身はカエルのカーミットを担当)。

ストレートにかわいいものもいれば、「いるいる!」と思わせる癖のあるおじさんを模したシュールな人間型マペット、ゴブリンやクリーチャーをイメージした不気味なマペットなど、とにかくモチーフが多岐にわたっています。私にとっては結局どれもかわいくて仕方ないですけどね。影響を受けすぎて、今でも街中や仕事現場で理不尽や意地悪な人に出会ってしまったとき、脳内でその人をマペットに変換して、自分の負の感情を鎮静しています。世の中のマペット化、オススメです。

ジム・ヘンソンの世界はマペットだけで構成されていないのも大きな特徴です。番組に人間の役者さんが登場して、マペットと普通にやりとりします。しかも多くの作品は舞台が「現在」で、旬な人や話題が違和感なく登場します。

特にスケッチコメディというジャンルの『マペット・ショー』は、時事コントやパロディがメインの生放送番組。エルトン・ジョンやダイアナ・ロス、プリンスなどのアーティストや、ジーン・ケリーなど大物の役者さんがマペットと一緒にコントをする、今思えば画期的な内容です。人形とはいえ、決して子供向けに作ってないのが"ジム・ヘンソンワールド"です。

ちなみに、完全に子供向けに作った作品が『セサミストリート』。「教育を意識した内容であればなんでもいい」という約束で引き受けたので、初期セサミはヘンソンやりたい放題の実験映像の宝庫。新しい撮影法や技術で遊びまくっているので、今見ても楽しいです。

技術はもちろん、作品の深さについても、いつか語らねば!

●市川紗椰
1987年2月14日生まれ。米デトロイト育ち。父はアメリカ人、母は日本人。モデルとして活動するほか、テレビやラジオにも出演。著書『鉄道について話した。』が好評発売中。一時期、ラジオネームが「寺務変村」(ジムヘンソン)だった。公式Instagram【@sayaichikawa.official】

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