アストンマーティンTHORチームの23号車アストンマーティン・ヴァルキリー 2025年IMSA第2戦セブリング12時間 3月13〜15日、アメリカのフロリダ州に位置するセブリング・インターナショナル・レースウェイでは、『第73回モービル1セブリング12時間レース』が行われる。デイトナ24時間に続く、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の2025シーズン第2戦として開催される伝統の一戦では、最高峰GTPクラスに初のル・マン・ハイパーカー規定マシン『アストンマーティン・ヴァルキリー』がデビューを果たすほか、日本の太田格之進がEraモータースポーツの18号車オレカ07・ギブソンでLMP2クラスに参戦するなど、話題の多い一戦となる。
12時間の決勝レースは土曜日に開催、走行初日は木曜日となる。走行初日、木曜のセブリングのパドックから、各種トピックスをお届けする。
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■分割リスタートに懸念
ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)の45号車ランボルギーニ・ウラカンGT3エボ2は、モービル1セブリング12時間レースのオープニング・プラクティスでダニー・フォーマルが事故を起こした後、修理のため2回目のプラクティスを欠席した。
トレント・ハインドマンはSportscar365に対し、WTRは車両の修復を急がないために意図的にプラクティス2をスキップすることを選んだと語った。このクルマは今夜のナイトプラクティスに復帰する予定だ。
このGTDエントリーは金曜日にさらなる後退に直面することになる。赤旗の原因車両となったため予選で最速ラップを失うためだ。
IMSAのジョン・ドゥーナン代表は、木曜日に発表された2026年のスケジュールの中でザ・グレン6時間レースを、従来の日程である6月最終週に戻したのは、ネットワークTVの都合によるものだと語った。
ワトンキンス・グレンで開催される同レースの移動は、SROモータースポーツ・グループの目玉イベントが近年と同じ日程で開催される場合、来年のクラウドストライク・スパ24時間とバッティングする可能性がある。ドゥーナンは、ザ・グレンをスパ24時間の週末に移動させたのは、NBCネットワークの枠が空いているためだと話した。
ドゥーナンは次のように述べている。「全員が計画を立てられるだけの充分な余裕を与え、できるだけ多くの衝突を避けられるようにしたいと考えている。このスケジュールは一夜にして実現するものではない。私たちのスタッフは契約をまとめ、パートナーと協力して徹夜で作業することも多い」
コルベット・レーシング・バイ・プラット・ミラー・モータースポーツのニッキー・キャツバーグは、2025年にIMSAが新たに導入したGTDプロクラスとGTDクラスの分割リスタート手順について懸念を示した。この新しい形式は1月のデイトナ24時間レースでデビューし、レースの最後は接触が多発する結果となった。
キャツバーグは次のように語った。「GTDプロが全員集まると大混乱が予想される。IMSAが今のようなコントロールを続ければ、人々が互いにぶつかり合うことになるかもしれない。そうならないことを心から願っている。11時間も生き延びて、最後にはただ打ちのめされるのを待っているだけなんて、そんなことはあっていいはずがない。もう少し厳しくジャッジをするか、ドライバーズブリーフィングでのトーンをもっと強めるようにしてほしい。あたなたちは素晴らしいショーを望んでいるが、僕はフェアなレースも望んでいる」
■チームのリソースを圧迫
ハート・オブ・レーシング・チームは、来週セブリングでアストンマーティン・ヴァルキリーの24時間シミュレーションテストを実施し、ル・マン24時間レースでのデビューに備える予定だ。チームはテストカーを現場に用意しているが、このクルマはまだカモフラージュ風のテストカラーリングが施されている。
チーム代表のイアン・ジェームスは、ル・マン・ハイパーカー(LMH)ベースのクルマはIMSA仕様とWEC仕様の間にわずかな違いしかないことを確認した。「私の知る限り、エアロには若干の違いがある。しかし99%は同じだ」とジェームスはSportscar365に語った。
ヴァルキリーは、ウェザーテック選手権に参戦するためにFIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブのLMH規定に合わせて製造された初のプロトタイプであり、このプラットフォームがGTPクラスで参加資格を得てから2年以上経ってから登場する。
ジェームスは次のように語っている。「正直に言ってIMSAは素晴らしい。彼らは私たちを温かく迎え入れ、スムーズな移行ができるように全力を尽くしている。もちろん、彼らにとっても私たちにとっても、少し学ぶことはある。しかし、それはポジティブ以外のなにものでもない。私はIMSAとともに成長してきたし、そこは間違いなくチームのホームでもあるんだ。LMH規定のヴァルキリーをそこに持ち込むことを非常に誇りに思っている。セブリングの観客もきっと気に入ってくれると思う」
V12自然吸気エンジンを搭載するアストンマーティンのレースカーは非ハイブリッド車だが、ドライバーのロス・ガンは、共通ハイブリッドシステムを積むLMDhカーと同様にヴァルキリーがe-ドライブでピットから発進する能力があることを明らかにした。「ハイブリッドとは異なるが、これまでのところ機能的な問題はない。より迅速な発進ができるよう、パフォーマンスの向上に引き続き取り組んでいく」とガンは語った。
また彼は、2月中旬にセブリングで行われた2日間のIMSA公認テストに、公表していない怪我のため参加しなかったと明らかにした。その一方で28歳のアストンマーティン・ファクトリードライバーは、カタールで2月27日から3月1日にかけて行われたWEC世界耐久選手権のシーズン開幕戦では、アストンマーティンTHORチームのハイパーカーをドライブしていた。
ジェームスは、今シーズン後半にウェザーテック選手権で2台目のヴァルキリーを目にすることはないとし、今年のWECのハイパーカークラスでの2台制によりリソースが逼迫していることを示唆した。「WECが2台体制を強いたことは、我々に少し負担をかけた」彼は述べた。「現段階では、ウェザーテック選手権のクルマが2台になることは絶対にないだろう」
■アキュラMSRは追悼のレースに
オペレーション・モータースポーツは今年、アメリカの退役軍人をメイヤー・シャンク・レーシング(MSR)に派遣した。生涯のIMSAファンであるノーラン・ユークは、米軍所属時にイラクとアフガニスタンに計4回派遣され、高官の運転手を務めたほか、戦闘中に補給路の安全を確保する任務を担っていた。オペレーション・モータースポーツは、ミシュラン・パイロット・チャレンジチームのKohRモータースポーツおよびチャボク・シンプソン・モータースポーツとの協力も続けている。
北米初開催となるクラウドストライク・ベテラン・レース・オブ・リメンバーズのエントリー受付が3月1日から開始された。GT4やTCRをはじめ、数多くのスポーツカーやツーリングカー・プラットフォームが参加できるこのエンデューロは、退役軍人の日を含む11月7〜9日の週末にバージニア・インターナショナル・レースウェイで開催される。
MSRのNTTインディカー・シリーズとウェザーテック選手権の両方のプログラムに携わっていたダンパー技術者のケイシー・ゲワーツが今月初めに亡くなった。チームは今週末、2台のアキュラARX-06に追悼ステッカーを貼ってレースに臨む。
https://twitter.com/MeyerShankRac/status/1897283027035689098
[オートスポーツweb 2025年03月14日]