兵庫県稲美町で4年前、自宅に放火して同居する小学生の兄弟を殺害したとして、殺人と現住建造物等放火の罪に問われた伯父の無職、松尾留与(とめよ)被告(54)の控訴審判決で、大阪高裁は14日、懲役30年とした1審・神戸地裁姫路支部判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。検察側は死刑を求刑していたが、伊藤寿裁判長は「量刑が軽すぎて不当とまではいえない」とした。
1、2審判決によると、被告は2021年11月19日深夜、妹夫婦ら4人と暮らす木造2階建て住宅で、混合ガソリンをまいて放火。小学6年の侑城(ゆうき)さん(当時12歳)と1年の眞輝(まさき)さん(同7歳)を急性一酸化炭素中毒で殺害した。
高裁判決は1審判決と同じく、兄弟の親に当たる妹夫婦から嫌がらせを受けていた被告が恨みを抱き、精神的に追い込まれていたと認定。「妹夫婦に苦痛を与えられると考えて兄弟の殺害を決意し、動機は身勝手だ」と述べた。
そのうえで、裁判員裁判で審理された1審判決の量刑について「尊重されなければならない」と言及した。被告を取り巻く事情を考慮したうえで「無理からぬ面もある」とした1審の認定は不合理ではないと指摘。兄弟の両親が厳しい処罰感情を持っていることを踏まえても、死刑を回避した判断は追認できると結論付けた。
判決後の記者会見で、兄弟の父親(61)は「子供たちには何の落ち度もなく、悲しみと苦しみしかない」と語った。【土田暁彦】
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