伊藤淳史 大河ドラマ「べらぼう」で盛大な吉原の祭りに挑戦!「踊りの練習が大変でした」【「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

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2025年03月16日 20:50  エンタメOVO

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(C)NHK

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。3月23日放送予定の第12回「俄なる、『明月余情』」では、吉原で盛大な“俄祭り”が開かれ、女郎屋の大文字屋と若木屋が“雀踊り”で対決することに。大規模な撮影が行われたこの“俄祭り”は、大河ドラマおなじみの合戦シーンに匹敵する大きな見どころとなる。大文字屋の主人・大文字屋市兵衛を演じる伊藤淳史が、その舞台裏を語ってくれた。




−第12回では大文字屋が活躍するようですが、まず大文字屋を演じる上で意識していることを教えてください。

 ほかの親父衆よりも若い大文字屋は、一代で成り上がったという設定なので、強い気持ちを持つ人物で、特にお金に対する執着は強く、非常にケチです。だから、いろんなことに先頭を切って突っ込んでいく。ほかの忘八たちが無言で静かに怒るようなときも、大文字屋は怒鳴り、叫びます。ただ、忘八たちが集まる場面はまとめて撮影することが多いので、常に叫んでいると、最後は声が枯れてしまって(苦笑)。でも、大文字屋を演じる上ではそれが正解だと思っているので、全力で体を張って演じています。

−第12回の俄祭りでは、大文字屋が披露する“雀踊り”が見せ場になるそうですが、かなり練習を積まれたとか。

 踊りの練習は、とにかく大変でした。元々、僕は踊りが苦手で、送っていただいた参考映像を最初に見た時、「これは無理!」と、即止めてしまったほどで(笑)。かなり長い踊りですし、身体の動きだけでなく、扇子も扱うので、見よう見まねでできるとは思えなくて。先生の指導を何度も受けて、一カ月くらい稽古したおかげで、少しずつできるようになりましたが…。

−それは大変そうですね。

 ようやく自分の踊りができるようになった後、全体練習をしましたが、ほかの皆さんと息を合わせるのも大変で。後ろの位置ならちょっと間違えてもごまかせそうだし、左右の人を見ながら合わせることもできますが、先頭に立つ僕はそれも不可能。さらに、目の前にいるのは、対決相手の若木屋です。全く別の音楽に合わせて踊っているので、その音につられてはいけない。そんな緊張感もあり、しっかり表現するのが大変でした。

−ご苦労をお察しします。

 その上、自宅のリビングで練習していたら、子どもたちが面白がって邪魔してくるんです。僕が真剣にやっているのに、勝手にアレンジして踊り始めて。僕が頑張れば頑張るほど爆笑するので、子どもたちとの戦いも大変でした(笑)。







−本番は総勢100名を優に越える規模で撮影に臨まれたとか。

 劇中で吉原の大通りに使われた大きなスタジオで、「べらぼう」全体でも、上位に入るだろうという大規模な撮影でした。そういう撮影で大文字屋隊の先頭を任せていただけたことが、うれしかったです。実際の俄祭りは30日間続くので、日によって踊る速さが異なったり、扮装が変わったりと、何パターンも撮る必要があり、真夏の暑い時期にみんなで水分補給しながら何十回と踊りました。先生からは、「正しく踊ろうと思わず、気持ちでいけば、多少リズムがずれてもそれが味になるから」とアドバイスをいただいて。だから、思い切り自分の気持ちに乗せて踊っていたら、途中で「さすがに今のはずれ過ぎです」と注意されてしまいました(笑)。

−大文字屋と踊りで対決する若木屋与八役の本宮泰風さんとはどんなやりとりをしましたか。

 お芝居とはいえ、戦う相手なので「絶対に負けないぞ!」と強い気持ちを持って踊りました。それでも、次第に疲れてくると、お互いに「頑張ろうね」と声をかけあうようになって。最後は一緒に「いいものが作れた」という達成感を得て撮影を終えました。

−俄祭りでは、普段役に立たない次郎兵衛(中村蒼)も活躍するようですね。

 大文字屋と若木屋が火花を散らして戦っている緊張感を、次郎兵衛が相変わらずの調子でいい具合に中和してくれます。そこは、蒼くんの人柄と次郎兵衛の役柄の賜物ですね。撮影のときも蒼くんは、みんなが疲れている中でもニコニコ笑っていて、現場の空気を和ませてくれました。ただ、踊りの練習のとき、蒼くんは「難しい。全然できない」と言っていたのに、本番は完璧に仕上げてきたんです。彼はきっと、みんなの前で「勉強してない」と言いながら、テストで100点を取るタイプですね(笑)。

−合戦のないこの作品で、今回の俄祭りは合戦に匹敵する名場面になりそうですね。

 歴史上の有名な合戦はこれまで大河ドラマで何度も描かれてきましたが、今回のように吉原の俄祭りがこれほどのスケールで描かれるのは、めったにない貴重な機会ではないでしょうか。だから、今までにない形で盛り上がってくれることを期待しています。

ーところで、第11回では大文字屋が蔦重と一緒に鳥山検校(市原隼人)の屋敷を尋ねる一幕もありました。第12回でも俄祭りを開催する過程で2人のやりとりがあるそうで、大文字屋は蔦重との絡みも多いですが、横浜流星さんとの共演はいかがですか。

 クランクインの頃は流星くんとも初対面で距離がありましたが、撮影が進んだ今は、すっかり打ち解け、仲良くやっています。

ーそれでは最後に、第12回を楽しみに待つ視聴者に向けてお言葉をお願いします。

 女郎の現実はつらく悲しいことばかりで、お世辞にも吉原は「最高だ」と言える世界ではありません。でも、そんな世界でもときには手放しで「気持ちいい!」と感じる瞬間があってもいいんじゃないかなと。第12回はそういう物語になっているので、視聴者の皆さんにも全力で楽しんでいただけたらうれしいです。

(取材・文/井上健一)




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