スタバやiPhone、下着...ユニークな「●●指数」だけど、インチキに注意!?

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2025年03月17日 11:40  週プレNEWS

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色が薄いほうの折れ線グラフは、各年の日本の実質GDP(国内総生産)。濃いほうのグラフは、Google検索で「終電」というワードがどれだけ上位にいたかを各月ごとに指数化したもの。「相関しているように見える」よね?


あらゆるメディアから日々、洪水のように流れてくる経済関連ニュース。その背景にはどんな狙い、どんな事情があるのか? 『週刊プレイボーイ』で連載中の「経済ニュースのバックヤード」では、調達・購買コンサルタントの坂口孝則氏が解説。得意のデータ収集・分析をもとに経済の今を解き明かす。今回は「●●指数」について。

*  *  *

勃起した回数を調べる。

有名コラムニストの若き日の文章を読んで驚愕(きょうがく)した。その人は東京のあらゆる街に行き、女性とすれ違って勃起した回数をカウント。ランキング化し、街の魅力度を独自に調査「報道」していた。

もはや現在では時効だ。ユニークな尺度に感心した(笑)。

経済指標でもユニークなものは多い。有名なのはビッグマック指数だろう。各国のビッグマック価格を割り算して購買力平価、為替レートを示すもの。たとえば日本が360円、米国が3ドルなら、1ドル=120円(360÷3)が為替レートの水準ではないか、とする。近年は「安すぎる」日本の貧しさの説明にも使われる。

その他、スターバックスのラテ指数、iPhone指数、イケアのビリー(本棚)指数、ケンタッキーフライドチキン指数なんてのもある。どれもグローバル企業が世界で提供する同一商品の価格を比較分析するものだ。

段ボール指数というのもある。これはEC企業の倉庫周辺で段ボールの生産・出荷量の増減を見るものだ。増えていたら好業績で株価が上昇する可能性が高く、減っていたら株価は下落する可能性があるとされる。

冒頭の某氏が考案したような、変わった指標も紹介したい。まずは「男性下着の買い替え指数」。元米国FRB(連邦準備制度理事会)議長のアラン・グリーンスパンが冗談でコメントしたものだ。不景気に突入すると、節約のため男性が下着の買い替えを延ばす。その販売量を見れば景気判断の目安になる、というのだ(笑)。

なお私は「日本の男性は下着を買わない」説を唱えている。学生時代は母親に買ってもらい、実家を出てもコメとともに段ボールで送られてきて、結婚したら今度は配偶者に買ってもらう。いずれにせよ不景気になったら減りそうだが。

次に「職場の冷蔵庫満杯指数」。不景気になるほど社員がランチ時に外食をしなくなるし、自販機で飲料を買わなくなる。自宅から持参する。だから職場の冷蔵庫は一杯になる、というわけ。

わはは。ただ、職場で毎日、冷蔵庫を開ければ景況感が判断できるとしても、そんなマクロデータは入手できないだろう。だからこれは冗談の指標だ......と思ったら、最近では冷蔵庫がIoT化しネットにつながっている。数年後には実現している指標かもしれない。

さらに強引なのが「美容室指数」だ。不景気だと行く回数を減らすと思ったあなた、半分は正解。実際は、行く頻度を減らすために女性がショートカットになるというもの。だから街角に立ち、髪の長さをランダムサンプリングすれば景気の先行指数になるのだ!って。マジかよ(笑)。

ほかにも、不景気では高額な化粧品が買えないから口紅が売れるとか、せめてエロ本は明るい女性の表紙が売れるとか、さまざまある。

そこで私も考えた。「終電」の検索回数が実質GDPと連動するという指数はどうか。企業活動が活発になり、接待や会食が盛んになれば、終電近くまで飲み歩くだろう。「終電」と検索するはずだ。調べたら完全に一致した! 冒頭のグラフを見よ! 深酒がGDPを成長させるんだ! 

......ってこれ、実は、軸と最大値と最小値を調整して、さも同じ動きであるかのように見せたもの。「気をつけよう インチキ指数と ごまかしグラフ」(字余り)。

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