
記憶の扉のドアボーイ・山下メロです。記憶の底に埋没しがちな平成時代の遺産を今週も掘り返していきましょう。
さて、平成の始まり、平成元年(1989年)4月に発売されたのが任天堂のゲームボーイです。携帯型ゲーム機には同社のゲーム&ウオッチがありましたが、ゲームボーイはファミコン同様カートリッジ式でいろいろなゲームを遊べるのが画期的でした。
ファミコンなど据え置き型ゲーム機と違うのは、単に外で遊べるというだけではありません。リビングのテレビを占有せずに自室などで遊べるのも重要な要素でした。
夢のようなアイテムすぎてみんなが欲しがったゲームボーイ。定価はファミコンより安かったものの「もうファミコンがあるでしょ!」と言われて買ってもらえない家庭が多数でした。
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翌90年(平成2年)にはファミコンの後継機であるスーパーファミコンが発売され、そちらを買ってしまうと、よけいに遠ざかっていくのがゲームボーイです。
そんな中、95年10月に欲しいけど買ってもらえない子供たちの希望の星になれそうな商品がタカラ(現タカラトミー)から発売。それがゲームボーイシャンプーです。
見た目やサイズはほぼゲームボーイで、少し厚みのあるシャンプーボトル。上のフタを開けるとシャンプーが出るので浴室に置かれていました。なんと画面部分に水が入っており、ボタンを押して水中輪投げゲームが楽しめるものでした。
ゲームボーイを買ってもらえない子供が、代わりに買ってもらう安いシャンプー。しかも、遊べるのは1種類だけ......どころかアナログゲームなのです。
買ってもらえない子供がお風呂で、まるでゲームボーイしてる気分と思い込まされて、輪投げをさせられる。むしろむなしさが漂うのでは!? これで満足すれば本物は遠ざかる......希望の星というより絶望の始まりでした。
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そんな驚きの商品が公式ライセンスで発売されたのも平成初期ならではです。ニンテンドーDSのシャンプーの存在は知りませんが、今こそスイッチシャンプーを出してほしい!
撮影/榊 智朗