俳優・窪塚愛流「自分はどんなときでも等身大」ありのままに語った、家族と友人へのリスペクト

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2025年03月23日 13:00  リアルサウンド

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窪塚愛流、家族や現在への思いを聞く

 現在放送中のドラマ『御上先生』に出演中の俳優・窪塚愛流。彼にとって初となる写真集『Lila』(小学館)が、3月5日に発売された。本書は、初主演映画『ハピネス』の公開、舞台『ボクの穴、彼の穴。W』への挑戦など、俳優として大きく前進した20歳の1年間に撮影された写真集だ。


【画像】窪塚愛流、撮り下ろし&写真集収録カット


 生まれ育った横須賀や地元・大阪でのロケ、182cmの長身を生かしたファッショナブルなカット、父・窪塚洋介が撮影した家族旅行写真など、多彩な表情を掲載。単なる写真集にとどまらず、彼の20年間の歩みが詰まった、物語性を感じる一冊となっている。「この撮影を通して、今の自分がいる」──そう語る彼に、写真集や家族のこと、現在の思いについて聞いた。


◾️写真集は「出さない」と思ってた


ーー 写真集のお話がきた時の心境を教えてください。


窪塚愛流(以下、窪塚): 俳優を始めてからこれまで、自分が写真集を出すなんてことは全く考えていませんでした。…というか、「出さない」とすら思っていました。


 僕にとって「写真集」というものはキラキラしたイメージ。「自分はそういうタイプではないな」と思っていたので、写真集のお話をいただいたときは「ついに自分も写真集デビューか!」と素直に嬉しかったです。ただ自分がせっかく写真集を出させていただくなら表情を作り込んだカットばかりで構成されたものではなく、等身大の自分を撮ってもらいたい、と思いました。


ーー 等身大、ですか。


窪塚: こういった取材の場でもそうなのですが、僕はカッコつけることがすごく苦手で、いつも飾らずに自然体でいるようにしています。だからこそ、写真集でもありのままの僕を刻みたかった。それも、いわゆる「写真集」という枠には収まらないような、自分の伝記のような、「20歳」という瞬間を切り取った短編小説のようなものが作れたらいいな、と思いました。


ーーそういう想いは企画段階からお伝えされたのでしょうか?


窪塚:はい。他にもロゴやフォントのような細かいところまで自分の意見をたくさん伝えさせていただいたのですが、ひとつひとつ親身に向き合ってくれて、写真集にはそんな自分の妥協しない気持ちまで表現されています。写真集を一緒に作ってくださったチームの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいですし、こんなにも自分にとって大切な写真集になるとは思っていませんでした。


◾️人生で一番楽しかった家族とのハロウィン


ーー写真集には友人との写真も掲載されていますよね。


窪塚:写真集に一緒に写っているのは、小五から大阪で一緒に過ごした友人です。彼らはアーティストとして活動をしていることもあって、写真集にも出てもらえました。


ーー窪塚さんの大切なものが記録されている、という写真集のコンセプトにおいて、友人の存在は欠かせなかったんですね。


窪塚:友人たちは僕の人生においてとても大切な存在で、彼らがいたから今の僕がいるし、僕もまた彼らにとって大切な存在だと思っています。「仲が良いから写りたい」というだけではなくて、今の僕がいるのは彼らのおかげなので、僕の人生の大事なものが詰まった写真集に一緒に載ってもらうことはとても重要でした。


ーー また写真集には、窪塚ファミリーで『呪術廻戦』のコスプレをしたときの写真も収録されています。


窪塚: 今までハロウィンでコスプレをした中でも一番クオリティの高い撮影ができて、家族もテンションがすごく上がっていました。自分はこれまで、家族にしてもらうことばかりで、僕から何かをしてあげる機会はほとんどなかったのですが、今回は皆さんの協力もあり、家族が今まで見たことがないくらい楽しそうに笑っている姿を見ることができました。


ーー愛流さんは「狗巻棘」のコスプレをされていますね。棘を選んだ理由は?


窪塚: いや〜、これは「ついに」なんです(笑)!


ーー ついに?


窪塚: この恒例のハロウィンイベントって、家族の中でも僕には意見を言う権利がほとんどなくて(笑)。もともと母が「ハロウィン好き」なのがきっかけで始まったのですが、妹が乗り気じゃないと撮影が進まないので、妹の好きな作品が優先されるようになっていて。だからこれまでのハロウィンでは、『アンパンマン』や『セーラームーン』『魔女の宅急便』など、妹の希望した作品が選ばれて。主要キャラも、妹が担当することが多かったんです。


僕も「好きなキャラクターのコスプレがしたい!」と思ってはいたのですが、僕が好きな『ONE PIECE』とかは家族がよく知らなくて、なかなか実現できませんでした。


ーー なるほど。


窪塚: そんな想いを抱えながら過ごしていたのですが、僕が高校生のときに『呪術廻戦』にハマって。AirDropに表示されるスマホの名前を「しゃけ」に変えたんです。


ーー 棘が返事をするときのセリフですね。


窪塚: そうです(笑)。すると、家族から「この『しゃけ』って何?」と聞かれて、『呪術廻戦』の話をするようになり…そこから1年後くらいに家族もハマってくれて、妹も気に入ったことで、ついに「今年のハロウィンは『呪術廻戦』にしよう!」と決まりました。だから、このハロウィンは今までで一番楽しかった(笑)!


ーー ついに愛流さんの希望が実現したんですね(笑)。


窪塚: しかも、コスプレするキャラも「『しゃけ』にしてたから、棘ね」という流れで、僕が狗巻棘のコスプレをすることに決まって。父も、これまではサブキャラを任されることが多かったのですが、このときは人気キャラの五条悟をやることになって、家族全員がめちゃくちゃノリノリ(笑)。家族全員が本当に良い顔をしている写真が撮れて、それが写真集に収められたことがすごく嬉しいです。


ーー改めて完成した写真集を見て、いかがでしょうか?


窪塚: 今見てみると横須賀で撮影した写真は、舞台に出演する前に撮影していて、比べてみるとどこか幼さも感じます。舞台中の写真では役もあってやつれたようなシャープな印象ですが、表情もどこか違っていて。20歳の1年間を撮影していただきましたが、体感では3ヶ月くらい、濃厚な時間だったし、常に考え続けた一年でした。


 それくらい濃い経験をした20歳というこの年に撮れてよかったと思います。そんな濃い瞬間を切り取りつつ、今までの人生で大切な場所を巡らせていただきました。衣装も私服を着ているカットも多くて。だから、この写真集は僕の人生を覗き見しているような一冊になったと思ってます。


 この写真集を撮影したことで、自分も新たに変わったと思います。単に写真集を撮ったわけではなく、この撮影を通して今の自分がいる。自分にとって大切なストーリーが詰まっているような写真集になるように作っていましたが、今になってみると、この撮影自体が自分にとって大切なものになりました。


◾️注目を集める現在の心境は?


ーー今クールで最も注目を集めているドラマ『御上先生』に出演し、知名度も上がっていますが、現在の心境はいかがですか。


窪塚: 最近、自分自身を見てくれる方が増えてきたと感じています。以前よりもそう感じる瞬間が増えたことが嬉しいです。


ーー自分自身を見てくれる、ですか。


窪塚:はい。俳優活動を始める前から、僕自身よりも「(父・窪塚洋介の)息子」として見られることが多くて、「窪塚愛流」という僕自身を見てくれるのは友人しかいませんでした。もちろん、父とは見た目も似ていますし、僕自身も父をリスペクトしているので、そのこと自体が嫌だというわけではないのですが、ただやっぱり僕自身を見てもらえないことが寂しかった。


 俳優活動を始めてからは「二世」としての立場を受け入れ、むしろその肩書きを背負うつもりでいました。でも、作品を重ねる中で、少しずつ「窪塚愛流」という一人の人間として見てくれる方が増えている。そう実感できる機会が増えてきて、それが嬉しいです。


ーー大きな注目を集めると、仕事の向き合い方にも変化が起きるものなのかと思いますが、変化したことはありますか?


窪塚: 自分はどんなときでも等身大で、その瞬間に感じたことを正直に表現することを大切にしていて。もちろん経験を重ねる中で培ったことはたくさんありますが、今も昔も自分の根幹は生まれた時から変わっていません。仰っていただいたような認知されていることも自分では実感はなくて、活動を始めてから仕事に向き合う気持ちは変わっていないです。


 この前も久しぶりに友達と電話で話して、その友人から「最近、全然話してこやんな〜」と言われたのですが、全くそんなことはなくて。その電話も僕からかけているんです(笑)。みんなが僕を遠い存在にしようとするんです(笑)。それは僕が仕事で忙しいと思ってくれていて、彼らなりの優しさだと思うのですが、それにしてもあまりにも話しかけてこなくなって(笑)。だけど、僕は何も変わっていないんです。


ーー環境が変化しても窪塚さんが大切にしている根っこの部分は変わらない。


窪塚: 「自分ができることをやる」というのがモットーで、活動を始めた当初から俳優としての根幹は何も変わっていません。今後俳優として作品にたくさん出演させていただいても、僕は決して「置きに行く」ことはしたくなくて。作品ごとに新たな自分を生み出したいし、僕自身もまだ知らない自分がたくさんいると思うので、常にワクワクしながら挑戦し続けたいです。


色んな作品に出演させていただいて、こうやって取材をしていただいて、日に日に楽しくなってます。


(文=リアルサウンドブック編集部)



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