春とヒコーキのミステリアスボーイ、土岡との出会い。“寡黙で笑顔を見せない男”は落研で全国2位になった

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2025年03月26日 16:01  日刊SPA!

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大学4年生の時の土岡
―[振り返れば青学落研]―
YouTubeチャンネル登録者数180万人を突破した「バキ童チャンネル」。

唯一無二の企画とキャラクターを活かした動画が支持される一方で、中心メンバーのお笑いコンビ、春とヒコーキが出会った青山学院大学・落語研究会についてのエピソード動画も劣らない人気を集める。

そんな「青学落研の話」を、チャンネル出演者であり、青学落研出身者であり、春とヒコーキの学生時代からの友人でもある芸人・町田が振り返る。第2回はぐんぴぃの相方である春とヒコーキのミステリアスボーイ、土岡について。

◆春とヒコーキ・土岡との出会い

土岡とは去年まで4年間一緒にルームシェアをしていたが、4年間で一度も土岡のこと嫌だなあと思わされることがなく、とても楽しい暮らしだった。明日からまた土岡と住めと言われれば余裕で住めるくらいに私は土岡を親しく思っている(土岡は夜中に“猿のような奇声”をあげることがあるが、それは私もなので問題なし)。

土岡と自分は同じ年に青山学院大学に入学した。青山学院大学落語研究会に入部したのも同じ年である。

土岡とは入学してすぐの青学落研の定例の部会で出会った。(青学落研は月1回の部会にちょこちょこ顔を出しておけばれっきとした部員として認められるので、部活動としてはだいぶ緩い)

入学当初の土岡はどこか異国の香り漂う、大変に寡黙な男であった。自分から喋ることはまずなく、他人に笑顔を見せるということなどもってのほかであった。

その点でいうと、今の土岡は本当に明るくなったなあとしみじみ感じる。動画内でもとても素敵な顔で笑っていますね。

正直、土岡と初めて会った時に最初に何の会話をしたかはあまりよく覚えていない。

土岡との最初の思い出で強く印象に残っているのは、落研に入って初めて土岡の落語を見たときだ。

◆落語初心者の土岡から受けた衝撃

青学落研では新入部員が落語を披露する会が6月にある。もちろんぶっつけで客前でやるわけではなく、事前に練習の成果を空き教室で先輩に見てもらうネタ見せ会なども行う。

新入部員達にとっては人前で落語を披露する初めての機会。

自分達の年の新入部員はだいたい7人くらい、全員が落語初心者であった。順々にそれぞれが覚えてきた落語の演目を先輩達の前で見せていく。

人前で正座で15分も話すという経験をしている人間は当然いないので、上手くいかなくても仕方ないよという空気感であった。

何人かして番が回ってきたので、自分も人前で初めて落語をした。ちゃんと噺の内容も暗記してきたし、それなりになんとかなるんじゃないかとたかをくくっていたが、ぜんぜん上手くやることが出来なかった。噛むわつっかえるわ、散々な出来であった。

それでも新入生最初の落語である。先輩達は優しく「なかなかいいんじゃない」と褒めてくれる。ぐんぴぃなんかは意外にも、こういう時にすごく繊細にアドバイスを言ってくれる先輩だった。

そのまま順番は回り、土岡の番になった。土岡は緊張してるんだか何だかよくわからない顔をしていた。眉毛が濃くて鼻が高かった。

ただ、話しはじめるとなれば、土岡は一文字も淀みなく表情豊かに話を進めていき、何なら笑いも普通に取っていた。あぁ、俺とぜんぜん違う…とかなり衝撃を受けた。

土岡は後に、大学落研の全国大会で準優勝している。最初からものすごく落語がうまかったのだ。

◆なぜ最初から落語が上手だったのか

そういえば、この時に土岡の落語を最初に見たときから、今の今まで土岡が噛んだり、言い間違えたりするところを見た記憶がない。ぐんぴぃのはありえないぐらいある。

土岡は高校時代、数える程度しか声を発することがなかったそうだ。ではなぜ、あんなにも流暢に土岡は話すことができるのか?

私が思うに、高校時代に全く喋らなかったことで、土岡の脳と口の連携の精度が恐ろしく高まったのだろう。(ずっといいかげんに喋っているやつが、いいかげんにしか喋れなくなることの逆)

そして、授業が終わるとすぐに帰宅してラーメンズやバナナマンのDVDを見漁っていたそうだ。ずっと面白いことしたいなあと思っていたんだろうなあ。

そこからの4年間、土岡が落語に真剣に取り組んでいく姿ははたから見ていてとても楽しそうであった。

◆「落語家・土岡」も見たかった

芸人が向いていないということではもちろんないが、土岡が落語家になった姿を見てみたかったなあと思うときがある。

落語がうまいとか面白いとかはもちろんのこと土岡には昭和の名人のような風格、気品があるなあと思う。三代目の桂三木助師匠とか鼻が高くて雰囲気が似ている。シュッとした都会的な雰囲気もあれば、逆に朴訥とした雰囲気も持ち合わせているし。

普段の土岡は何を考えてるかあんましよくわからないが、落語を通すと土岡の持つ茶目っ気や毒のある人間性が浮かび上がってくるのもとても素晴らしい。

でも、こんだけ面白いやつなので、落語家になってたとしても、芸人になった姿も見たかったなあと思わされたんだろうなあ。

<文/町田>

―[振り返れば青学落研]―

【町田】
ぐんぴぃの友人。芸人としての活動もしている。@saisaisai4126

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