「報告書が出たからといって民意を否定してまで知事はやめるべきだとか、すぐに辞任すべきと言う風には思わない。それぐらい選挙って重いんですよ。重い選挙をした以上、兵庫県が一体となって県政を変えていかないといけないんじゃないかなと思う」
3月27日放送の『めざまし8』(フジテレビ系)でこう述べたのは、社会学者の古市憲寿氏(40)。前日に兵庫県の斎藤元彦知事(47)が、定例会見で自身の“パワハラ”疑惑などを調査した第三者委員会の報告書に関する見解を述べたことについて言及した。
県が設置した第三者委員会は3月19日に調査報告書を公表。昨年3月に明るみになった告発文書で記された7つの疑惑のうち、パワハラを事実と認定した。調査対象となった16件項目のうち、出張先で20メートル歩かされ出迎えた職員を叱責したこと、業務時間外チャットなど10件がパワハラに該当するとしている。
告発文書をめぐっては、昨年3月に作成者である元県民局長の男性が報道機関に配布したが、斎藤氏の支持を受けた元副知事らが“告発者探し”を行った。斎藤氏は昨年3月27日の会見で、男性が作成した告発文書を「嘘八百」「事実無根」などと否定し、男性は公益通報制度を利用し通報したが、5月に県から停職3カ月の懲戒処分を受け、7月に死去した。
第三者委員会の報告書では、斎藤氏が告発文書を公益通報に該当するかを判断せず、告発者探しを指示したことについて“違法”と指摘。男性に対する処分も「裁量権の乱用で無効」としている。
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斎藤氏は26日の会見冒頭、7つの疑惑のうち6つが認定されなかったことに言及し、唯一認定されたパワハラについては「真摯に受け止めたい」と述べたうえで職員に謝罪。後の質疑応答で、“真摯に受け止める”ことはすなわち“パワハラを認める”ことかを問われると、斎藤氏は「認めていきたい」と応じた。
いっぽう、報告書で公益通報保護法に照らして違法と指摘されていた“告発者探し”や元県民局長の男性への処分は「やむをえない」「適切だった」と従来通りの主張を展開。告発文書は“誹謗中傷性が高い”というこれまでの見解も崩さず、自身に進退については、「襟を正してしっかり仕事をしていく」と述べた。
会見の内容が各メディアでもしきりに報じられるなか、27日朝に放送された『めざまし8』で、古市氏は、「疑惑とされた7個の疑惑中6個は事実認定されなかったことを切り取るか、パワハラ10件認定かを切り取るかによって印象が変わってくる。ただ、7個の項目のうち贈収賄とか、刑事罰に問われかねないものに関しては否定的だということは大きい」と述べた。
そのうえで、「特に大きいのは、斎藤知事が現時点で民主主義的に選ばれてしまったということですよね。選挙があった時点では、7個の疑惑をすべて本当だと信じてる人も多かった。そのなかで選挙が行われた以上、いま以上に疑惑を信じかねない状況で(選挙で)受かってしまった」とし、冒頭のように続けたのだった。
そのほか、コメンテーターで法政大学教授の白鳥浩氏は、「パワハラを認めたのは一歩前進かなという気はするんですけど。ただ、言葉だけを受け入れてるって感じですよね。パワハラって一体何なのか、あまりわかっていないのではないか。人権の問題なので。最大のパワハラって告発者潰しだったんじゃないか。それを適切だと言ってるところで、ちゃんとパワハラが何かをわかっているのかなという気はします」とコメント。
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元フジテレビ解説員の風間晋氏は、「認めていきたいって、何なんですかね?」と投げかけながら、「最近、政治家の方に多いですけど、“重く受け止めなければいけない”という言い方。素直に重く受け止めていますって言えないんですか?重く受け止めると言いながら、その後何もしないのが頻繁にみられる」と指摘した。
また、ジャーナリストの岩田明子氏は、「“真摯に”という言葉をよく使っていらっしゃるけど、何も響いてこないですね、正直なところ。真摯に受け止めたいとか、具体的にどう改めるか、というところが伝わってこない」などと切り出し、「県政を前に進めていくためには、県民の信頼が本当に大切になってきますから、今後どうするのかを具体的に県民にわかりやすく発信してほしい」と提言した。
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