人に害なす怪人が現れる世界で頼りにされているのが、怪人を抹殺する「商業ヒーロー」。そんななか怪人を「お調教」することで怪人との共存を目指すお嬢様の奮闘を描いた漫画『怪人をビンタでお調教しますわ!』がSNSに投稿された。
怪人のことを可愛いと言うお嬢様であるが、周りからはお嬢様の考えは受け入れてもらえない。そんなお嬢様は人気者の商業ヒーロー・スウィングマンと対峙することとなりーー。
作者・てぃーえーさん(@taworkstyle)に本作を創作したきっかけ、個性豊かなキャラクターたちを描くなかで意識したことなど、話を聞いた。(あんどうまこと)
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
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てぃーえー:お嬢様のキャラクターを、作品のモチーフとして使ってみたいと思ったからです。商業媒体で連載するための企画としてお嬢様が登場する作品の案を制作したのですが、その企画は通らず。そのあと漫画講座・コルクマンガ専科に参加し、課題としてお嬢様が登場する本作を描きました。
コルクマンガ専科の課題として「キャラクターのギャップをつくる」というものがあり、お嬢様でありつつも、たくましく腕っぷしが強いキャラならギャップがあり面白いかと考えながら犬吼崎お嬢様の雰囲気や容姿を考えました。
ーーギャップのあるお嬢様を描くなかで意識したことは?
てぃーえー:フリフリとした高級な洋服を着たりなど、ぱっと見てわかりやすいお嬢様キャラにすることを意識しました。また「キャラクター性を立たせる」ために、自分の主義を持っているキャラを描くことも意識しましたね。
ーー怪人を倒すのではなく「お調教する」点にお嬢様の主義が表れていたかと思います。
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てぃーえー:お嬢様の動機や行動を考えるなか、接触した相手をコントロールしたり、自分の味方になってくれたら心強いんじゃないか、お話の可能性や夢がありそうだなと思い「お調教する」キャラクターとして描きました。
また、お調教していくなかで多様性を表現できたりするのかなと思いながら、お話をつくっていきました。
ーー「お調教」、インパクトがありつつも柔らかな言葉だと感じました。
てぃーえー:怪人が登場する作品として「怪人を『倒す』以外の選択肢はいかがですか」と提示できたのでよかったです。「調教」に“お”をつけることでお嬢様らしさや可笑しさも出たかと思います。
ーー「お調教」を執事・烏丸につかわなかったシーンが印象に残っています。
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てぃーえー:烏丸さんはお嬢様の行動を浅はかだと感じていたり、お嬢様も烏丸に抵抗することがあったかと思いますが、2人はたしかな信頼関係であったと考えています。
ーー烏丸やスウィングマンを描くなかで意識したことは?
てぃーえー:烏丸もぱっと見て執事だとわかりやすい見た目にすることを意識しました。またスウィングマンは正義のヒーローでありつつ本作では悪役に回るキャラクターなので、ヒーローにも悪役にも見えるように描きました。お嬢様と対峙させたときに圧力があるようなシルエットにしましたね。
怪人たちは、お嬢様の思想として「怪人ってかわいいよね」という思いがあったので、可笑しくもありつつ、よくわからないような連中だと思ってもらえるようにデザインしました。
ーーまんじゅうざえもん、可愛かったです。
てぃーえー:本作の世界では、怪人は必ずしも悪さをするというわけではありません。商店街など食べ物のある場所に現れ、思うがままに食べ尽くしてしまうから人間に退治されてしまいます。もちろん人間にとって悪さをしているとは思いますが……。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
てぃーえー:『ドラえもん』や『ゲゲゲの鬼太郎』など、初めて漫画を見たときにすごく面白くて「これ本当に人間が描いたのだろうか」と思い、見よう見まねで漫画を描きはじめました。小学生の頃には自由帳に漫画や絵を描き、友人に見せると褒められ、うれしく思いました。
本格的に漫画を描きはじめたのは高校2年生のときです。原稿用紙に漫画を描き、夏休みに出版社へ持ち込みをしました。そのあと受験などで漫画制作から離れたりしましたが、大学生になってからは悩みながらも継続的に漫画を描いていました。
ーー今後の目標を教えてください。
てぃーえー:コルクマンガ専科に参加したことがきっかけで、お仕事として漫画を描く機会が増えました。これらを引き続き頑張っていきたいです。またコルクマンガ専科はじめ、これまで受講した漫画講座で学んだことを活かして漫画を制作しながら、SNSで発信したりしていきたいです。
自分に声をかけてくれたり、自分に関わってくださる人たちの利益になれるように、感謝を抱きながら漫画制作を頑張りたいと思います。また『旅バイク日和』(コルク)という旅を題材にした漫画が電子書籍で発売されたので、読んでいただけたらうれしいです。
(文・取材=あんどうまこと)
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