妊婦(写真はイメージ) 寒い時期に妊娠した場合、生まれた子は成人後、太りにくい傾向にあることが東北大などの研究チームの調査で分かった。生活習慣病の新しい予防法の確立につながることが期待され、成果は8日付で国際科学誌ネイチャー・メタボリズムの電子版に掲載された。
脂肪にはエネルギーを蓄積する「白色脂肪」と、消費して熱を生み出す「褐色脂肪」がある。褐色脂肪は体温が下がると活性化する特徴があり、活発だと脂肪が燃焼しやすくなる。
研究チームは、18〜29歳の男性356人の褐色脂肪を、母親が妊娠した時期で分けて分析。妊娠時期が寒かったグループは、暖かかったグループより活性化しやすいことが分かった。妊娠時の母親の居住地や当時の気象データを精査したところ、活性化には、受精前の外気温の低さや、1日の寒暖差が大きいことも関連していた。
別の20〜78歳の男女286人の調査でも、寒い時期の方が褐色脂肪が活性化しやすい傾向がみられた。肥満度を示す体格指数(BMI)が低く、内臓脂肪量も少なかったという。
東北大の米代武司准教授は「寒冷地で生きるための適応反応とみられ、肥満防止に役立つのでは」と話している。