
【動画】これはおとぎ話か? それとも、社会への告発か?『ガール・ウィズ・ニードル』予告
本作は、北欧の若き鬼才マグヌス・フォン・ホーン監督が脚本も手掛け、デンマーク史上最も物議を醸した連続殺人事件を基に、人間の闇と光を描くゴシックミステリー。第97回アカデミー賞(R)のデンマーク代表作品として国際長編映画賞にノミネートされるなど、国内外で高い評価を獲得している。
物語の舞台は、社会が混乱し、多くの人が貧困に苦しんでいた第1次世界大戦後のコペンハーゲン。お針子として働くカロリーネは、工場のオーナーと恋に落ちるも、身分違いの関係は実らず、彼女は捨てられた挙句に失業してしまう。すでに妊娠していた彼女は、もぐりの養子縁組斡旋所を経営する女性ダウマと出会う。ダウマと強い絆を育んでいくカロリーネだが、しかしその果ては、想像だにしない真実が待ち受けていた…。
日本版予告編は、善からぬ事が起こる前兆のような不穏なエレクトリック音楽で幕を開け、戦地から帰らぬ夫を待ち続ける若きカロリーネの日々が描かれる。しかし突如戻った夫は、大きな負傷のため仮面をかぶり、かつての姿はそこにはない。そして、身分違いの恋人には簡単に捨てられてしまった彼女に、「ひどい世の中だ。でも、いいこともある」と、中年女性ダウマが手を差し伸べる。果たしてダウマは、すがるべき善人なのか、または、更なる地獄へと導く狂気か。
終盤は、「全てのセンスが神かがっている」(小島秀夫/ゲームクリエーター)、「最初から最後まで息を呑んで観た」(江國香織/小説家)など著名人やメディアからのコメントを挟みながら不穏な場面がたたみかけるように映し出され、最後は「その街では、よく人が消える。」というキーフレーズで幕を閉じる。
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キービジュアルは、デンマークの演技派女優ヴィクトーリア・カーメン・ソネ演じる主人公カロリーネの、未来への強い希望を感じさせる表情を捉えたもの。貧困で道徳観を見失っていく彼女の運命を暗示するかのように、その片目は覆い隠されている。
社会のなかで見捨てられ、使い捨てにされがちな人々の物語を語ってきたマグヌス・フォン・ホーン監督が描くカロリーネの未来は、おとぎ話のようなハッピーエンドか、陰惨な事件の結末か。その運命を劇場で見届けたい。
映画『ガール・ウィズ・ニードル』は、5月16日より全国公開。