※写真はイメージです。 移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
今回は、電車のマナーを守れない人に対して“ムカついた”という2人のエピソードを紹介する。
◆ドア付近で“頑なに動こうとしない”男性
太田雄一さん(仮名・40代)は、いつものように満員電車に乗っていた。混雑する中、なんとかつり革につかまっていたという。
「ドア付近に立つ40代くらいの男性が目に入りました。降りる人たちが押し寄せる中でも“頑なに動こうとせず”、邪魔になっていたんです」
男性はスマートフォンを手に、周りを気にすることなくドア付近に立ち続けた。
「乗り降りする人たちは、男性を避けるしかありません。みんな不快に思っているようでしたが、誰も何も言えないまま、ただ男性を一瞥するだけでした」
さらに男性は、ぶつかってしまった女性に対して“舌打ち”をしたのだとか。
ドア付近では立ち止まらず、いったん電車を降りて再乗車することがマナーのはずだが……。
「男性を見ていると、周りが見えていないのか、それとも単に無神経なのか……。疑問に思ってしまいました」
その後も、降りる駅が近づくまで動かずに立ち続ける男性。降りる際も、他の乗客に配慮する素振りも見せず、何事もなかったように降りていったそうだ。
「確かに、ドア付近で立ち止まってはいけないというルールはないかもしれません。でも、車内アナウンスでマナーとして呼びかけられていることですし、人を不快にする行動に、朝からムカついた出来事でした」
◆電車内に響く男女の笑い声
夕方の帰宅ラッシュ、高村華さん(仮名・20代)は大きな声で会話をする2人組の男女に出会った。
「私以外にも、社会人や学生、お年寄りなど、多くの人が乗っていました。仕事が終わってホッと一息をつき、座席に座ることができたんです」
そんな中、大きな笑い声が電車内に響いたという。
「これやっぱり、いつ見てもおもしろいわ」と男性が言うと、「だよね。てか、早く続きが読みたいんだけど」と女性の声が続いた。その後も……。
「確か、更新されていたから見れるけど見る?」
「まじ! 見る見る!」
「どうやら、動画を見て笑っているようでした。笑い声だけでなく、話し声と動画の音量も大きかったんです。周りの人はその2人に視線を向けていて、迷惑そうに顔をしかめていました」
さらに、彼らの座っている席は“優先席”。その前には1人の女性が立っていた。
◆「よい年してマナーもわからないのか」とイライラ
「女性のカバンには“マタニティーマーク”のキーホルダーがつけられていました。気づいていない可能性もありましたが、優先席に座るということは、本来必要としている人が乗ってきたときには、譲るのが当たり前ではないでしょうか」
高村さんの席からは少し距離があり、席を立ってもその間に誰かが座ることもあるため、「どう行動すればよいのか」を考えていたという。
その間も、2人の声は電車内に響いていた。
「よい年してマナーもわからないなんて、イライラが募っていきましたね。おそらく同世代(20代)だと思いますが、こういう行動をする人がいるから、私たちの世代のイメージが悪くなるのに……」
注意してもトラブルになることを避けるため、車掌さんに伝えようと高村さんは席を立った。しかし、その瞬間、2人も席を立ち、電車を降りたという。
「少しモヤモヤが残りましたが、私が降りる駅の駅員さんにこの出来事を伝えました」
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
―[乗り物で腹が立った話]―
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。