マッスルオペラちゃん 「去年の4月までは、死んだような顔でバイトばかりしていました」
そう語るのは、『ぐるナイ年越しおもしろ荘』に出演したピン芸人のマッスルオペラちゃん(27歳)だ。彼女のネタを簡単に説明すると、オペラをBGMに、鍛えられた筋肉を見せつけながら、フリップで筋肉ネタを披露するというもの。これが大いにウケ、爪痕を残すことに成功。放送以降、芸歴1年目ながら仕事が急増したという。
まさにブレイク待ったなしの状況なわけだが、どのようにして今の芸風にたどり着いたのだろうか。というか、そもそも一体何者なのか……。本人の口からこれまでのキャリアを語ってもらった。
◆フリーター生活が1年で激変
ーー『おもしろ荘』への出演、反響は大きかったですか?
マッスルオペラちゃん:SNSのフォロワーが合計で5000人くらい増えてびっくりしました。ずっとテレビで見てきた方々から「一緒にトレーニングしよう」と声をかけてもらったりして。嬉しいですね。
ーー芸能界に入ったという実感が持てそうですね。
マッスルオペラちゃん:去年の4月まで、死んだような顔でバイトだけをしていて。どうしようもないフリーターだったんですが、環境も精神面も全て変わりましたね。
◆仕事量は10倍に。街で声をかけられることも
ーーバイトも辞められるくらいお仕事の量も一気に増えたんですか?
マッスルオペラちゃん:実家暮らしだったため、家賃がかからないというのは大きかったのですが……。もともと芸人としての仕事はほぼありませんでしたが、10倍くらいになったと思います。テレビへの出演にくわえ、トレーニング系のイベントにお声がけいただけるようになりました。
ーー芸人さんは「顔をさされる」と言いますが、街で声をかけられることも増えましたか?
マッスルオペラちゃん:つい3日前に池袋のボーリング場で、人生ではじめて「マッスルオペラちゃんですよね」と顔をさされたんですよ!
ーーどんな気持ちでしたか?
マッスルオペラちゃん:嬉しいけど、ビビりましたね。「もう悪いことできないな」とか「優先席はもう一生座れないな」とか(笑)。
◆筋トレにハマったきっかけは…
ーー筋肉を鍛えようと思ったきっかけはなんですか?
マッスルオペラちゃん:数年前、兄が友達からもらってきた『リングフィットアドベンチャー』(任天堂)にハマったのがきっかけです。
ーー運動は好きだったんですか?
マッスルオペラちゃん:運動経験はまったくなくて、体育の成績もほとんど「1」でした。でも、ゲームでレベルが上がっていくのが楽しくなってきて、自分の体の変化も嬉しくなってきたんです。
ーーゲームから、「本気で鍛えよう」と思った経緯を教えてください。
マッスルオペラちゃん:難易度の高いレベルまで進められたのが自信になったんです。「今後、飽きることはなさそうだな」と思えて、本格的なパーソナルトレーニングジムに通い始めました。
ーーパーソナルだと、金額的にも安くはないですよね。
マッスルオペラちゃん:30万円くらいかけて始めました。パーソナルのほかに、普通のジムにも通い始めましたし、自宅にもジムを作ったので、週5〜6日は筋トレしてますね。家族は誰も筋トレに興味がないので、大不評ですけど(笑)。平均すると1日2時間くらいかけて、肩・腕・胸・背中・足と部位ごとに日を分けて追い込んでいます。
ーー運動が苦手なところから、今はどのくらいできるようになりましたか?
マッスルオペラちゃん:ベンチプレスはちょっと苦手で50キロくらい。スクワットの方が得意で、100キロくらいのバーベルをあげられるようになりましたね。
◆なぜ「オペラ」なのか
ーーオペラについては、どんな経歴があるんですか?
マッスルオペラちゃん:母が音楽大学の声楽科出身で、その影響ですね。学校から帰ると、母がリビングでオペラを歌っていたりする環境。日曜日には教会に行って母と賛美歌を歌っていましたから、幼少期からなじみ深いものではありました。でも、オペラができるわけではありません。
ーーしかし、SNSにアップされている歌っている様子はとても上手ですが。
マッスルオペラちゃん:試しに歌ってみたら、他の友達より低い声が出ることがわかってから、なんだか楽しくなっちゃって(笑)。友達からも「すごいね」と褒められて嬉しさも感じるようになってからは、どんどん歌うようになりました。
◆お笑い芸人になった理由は?
ーー芸人になって、筋トレとオペラという武器が使えるとわかったような流れですか?
マッスルオペラちゃん:いえ、逆ですね。自分の得意なことを生かすには芸人になるのが一番適していたからです。失礼かもしれませんが、好きを表現するための「手段」が芸人だったという感じです。
ーーもともと、お笑いも好きだったんですか?
マッスルオペラちゃん:世代的には、『エンタの神様』とか『爆笑!レッドカーペット』ですね。ただ、有吉弘行さんがとにかく大好きです。兄が好きだった影響を受けて私も。面白さはもちろんですが、あれだけの地位にいるのに謙虚だし貪欲な部分を大尊敬しています! はじめてお会いできた時は泣きました。
◆グレープカンパニーに応募したのは運命かも
ーーだからこそ、芸人が選択肢に出てきたんですね。
マッスルオペラちゃん:親から、「バイトばっかりしてないで、25歳までに就職するか、お金持ちと結婚しなさい」と言われていました(笑)。それで、後がなくなったのもあります。
ーー有吉さんに憧れるなら、太田プロのような気もしますが、なぜグレープカンパニーに入ったんですか?
マッスルオペラちゃん:芸人になろうと決めた次の日に、Twitter(現:X)を見ていたら、グレープカンパニーのオーディションの投稿が流れてきたんですよ。そこに、マッチョ芸人としても知られる東京ホテイソンのショーゴさんが、「ご応募お待ちしてマッスル」と言っている画像が添付されていました。それを目にして「ここしかないじゃん!」と、勝手に運命を感じて(笑)。
ーーその話、ショーゴさんにはされました?
マッスルオペラちゃん:かわいがってくれる先輩なんですが、実はまだ話せていません……。
◆英語力を身につけるために、外国人の男性と…
ーー最終的な野望を教えてください。
マッスルオペラちゃん:高校生の頃からの夢が『アメリカズ・ゴット・タレント』(米NBCネットワーク)に出ることです!人生の目標ですね。
ーー目標のためにやっていることはありますか?
マッスルオペラちゃん:英語力が必要だと思って、マッチングアプリで探した外国人の男性とデートしまくってます(笑)。
ーー英会話を習いに行くのではなく?(笑)
マッスルオペラちゃん:机に向かって勉強をするのが苦手なので、「英語を話す友達や彼氏を作れば早いじゃん!」って(笑)。ネタも書かずにデートばかりしてます(笑)。3日前も一昨日も、それぞれ別の外国人男性とデートしてました。
ーー彼氏が英語話者だと、確かに英語力は上がりそうです。
マッスルオペラちゃん:3日前にデートしたアメリカ人男性が素敵で逃したくなかったので、自分を大きく見せようと「私は日本の有名なスターだよ」と言っていました。嘘なので、もちろん何度言っても信じてくれなくて「Are you liar?(あなたは、虚言癖?)とまで言われました。でも、デートで行った池袋のボウリング場で、隣のレーンにいた女子高生が「マッスルオペラちゃんですよね?」と声をかけてくれたんです。
ーーえ!? 先ほど話していた、はじめて顔をさされた経験がそれですか!?
マッスルオペラちゃん:そうなんです!それを見て、アメリカ人の男性が、「本当にスターなんだ!」と信じ込んでくれたんですよ(笑)。
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筋肉を鍛える人は、思い描いた“なりたい身体”を目指して、日々のトレーニングに励むわけだ。成功に向け、逆算する癖があるからこそ、マッスルオペラちゃんの今がある気がしてならない。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。