
登山を続けている中で強く記憶に残っているのが「登るのが大変だった山」。急登続きで心が折れかけたり、体力の限界を感じたりと、まさに自分との戦いです。そんな経験をしたからこそ、登頂したときの景色や達成感は何ものにも代えがたい宝物になります。
この記事では、山好きライターが実際に登って「これはキツかった!」と感じた山トップ3をご紹介。難易度の高い登山で使える、おすすめのギアもあわせて紹介するのでぜひ参考にしてみてください。
●登るのが大変だった山:笠ヶ岳(岐阜県)
北アルプスの奥地にそびえる、標高約2898mの「笠ヶ岳(かさがたけ)」。筆者は笠新道を歩く一般的なルートを選び、テント泊装備で挑戦しました。標高差は1900m、コースタイムは10時間ほどあります。
|
|
歩きはじめてすぐに、終わりの見えない急登が続きます。高い段差が続く登山道を、トレッキングポールに頼りながら一歩一歩踏みしめて登りました。気温はそれほど高くないはずなのに汗は止まらず、何度も足を止めてはこまめに水分補給。
ようやくたどり着いた杓子平では、目の前に現れたカール地形と笠ヶ岳の圧倒的な存在感に、思わず息をのみました。そこから先は風が気持ちいい稜線歩き。雲海を見下ろしながらの山行は、まさにご褒美の時間です。
ハードな行程ではありますが、それだけに連休中でもひどい混雑には巻き込まれず、静かに山と向き合えたのも良い思い出です。
●登るのが大変だった山:燧ヶ岳(福島県)
「燧ヶ岳(ひうちがたけ)」は、福島県の最高峰にして尾瀬を象徴する存在ともいえる名峰です。筆者が登ったのは御池登山口からのルート。最初は穏やかな道を歩く気持ちの良いスタートですが、やがてぬかるみと岩場が連続する急登へと変わり、天候次第では足元に苦戦を強いられます。
|
|
とくに雨上がりのぬかるみでは、靴が泥に沈み、岩に足を取られる場面も。筆者が歩いたのは気温が高い7月の雨の日で、蒸し暑さとの戦いだったからこそ、大変だった山行として思い出に残っています。
とはいえ、広沢田代に差し掛かると一気に視界が開け、池塘(ちとう)と高山植物が広がる尾瀬ならではの絶景が気分を一新させてくれました。さらに熊沢田代から仰ぎ見る燧ヶ岳の姿は、思わず立ち止まってしまうほどの美しさがあります。
山頂からは至仏山や尾瀬ヶ原を一望でき、登ってきた苦労がすべて報われるような360度の大パノラマが待っています。足元の不安定さや暑さには要注意ですが、その先にある景色は格別です。
●登るのが大変だった山:白馬岳(長野県・富山県・新潟県)
標高約2932mの「白馬岳(しろうまだけ)」は、後立山連峰の主峰として名高い日本百名山。筆者が歩いた猿倉ルートは人気が高く、夏は多くの人でにぎわうコースですが、標高差1700m以上、コースタイム10時間という長丁場です。
|
|
特に名物の大雪渓を登りきったあとに待ち構える急登が、体力的に最も堪えました。ようやく見えてきた山小屋からさらに登りが続くという「メンタルへの追い打ち」もあり、気力を試される場面が何度もありました。
それでも真夏の大雪渓は圧巻で、雪を踏む音や冷気に包まれる感覚は、疲れを忘れるほど。チェーンスパイクで安定して歩けましたが、落石やクレバスには注意が必要です。
後半には高山植物のお花畑が広がり、視界が開けるたびに景色が変化していくのも魅力のひとつ。山頂からは剱岳や北アルプスの峰々がぐるりと見渡せ、達成感もひとしお。苦しさの先に待つ絶景に背中を押されながら、歩き切った一座です。
●難易度の高い登山におすすめのギア
グレゴリー「バルトロ65」
高地でのテント泊山行にもおすすめ。重い荷物を担いでも体に負担がかかりにくい設計です。
スポルティバ「トラバースX5 GTX」
ゴアテックスを使用した防水トレッキングシューズ。ソールが固く、岩場も歩きやすいです。
プラティパス「ボトル ホーサー」
ハードな登山で、休憩のたびにザックからボトルを取り出して水分補給するのは大変。ハイドレーションパックがあればスムーズに給水できます。