※画像は『Top Gun』の公式インスタグラムより 世界的ヒットを記録した『トップガン』などで知られる俳優ヴァル・キルマーが死去した。享年65歳。映画で共演した大物俳優トム・クルーズは、出席したイベントの壇上で、大勢の観衆を前に亡き友人を追悼した。
◆親愛なる友人ヴァル・キルマーに黙とうを
トムは今月3日(現地時間)、ラスベガスで開催された劇場主向けイベント「シネマコン」に出席。自身の最新主演作でシリーズ第8弾となる『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(日本公開予定5月23日)を紹介するため、ステージ上に登場した。
登壇したトムは、作品紹介にうつる前に、今月1日に亡くなった盟友ヴァルについて言及。会場に集まった大勢の劇場主や関係者にこう呼び掛けたという。
「親愛なる友人ヴァル・キルマーに敬意を表したいと思います」
「私がどれほど彼の仕事をすばらしいと思っているか。彼が『トップガン』に出演し、『トップガン マーヴェリック』に戻ってきてくれたことに、どれだけ感謝し、光栄に感じていたか。言葉で言い表すことはできません」
「皆さんとともに黙とうを捧げたい。なぜなら彼は映画を愛し、私たちに多くのものをもたらしてくれたからです」
「ありがとう、ヴァル。次の旅でも幸運でありますように」
◆がんを克服し復帰。今月にはレッドカーペットに登場予定だった
ロサンゼルスで生まれたヴァルは、17歳の時に史上最年少でニューヨークの名門ジュリアード音楽院の演劇科に入学。舞台で活躍後、映画デビューし、1986年公開の『トップガン』で一躍有名になった。
その後も、伝記映画『ドアーズ』(1991年)や『バットマン フォーエヴァー』(1995年)などの話題作に出演。スター街道をひた走っていたが、いつしか表舞台から姿を消し、健康状態について憶測が飛び交うようになった。
2017年には、喉頭がんで闘病生活を続けていることを公表したが、治療を受けて回復。俳優復帰も果たした。ただ、がんは克服したものの、ここ数年は体調が良くなかったとも伝えられている。
米誌『People』によると、ヴァルが最後に公の場に姿を現したのは、俳優で娘のメルセデス・キルマーとレッドカーペットに登場した2019年。実は、今月1日に開催されたビバリーヒルズ映画祭のレッドカーペットに久々登場する予定だったという。
ヴァルは今月1日、肺炎のため死去。娘のメルセデスが米ニューヨーク・タイムズ紙に明かした。
◆AI技術で声を復元。奇跡の復帰を果たす
ヴァルの最後の映画出演は2022年の『トップガン マーヴェリック』。1986年の『トップガン』でアイスマン役を演じた彼は、咽頭がんにより声が出しづらい状態ではあったものの、続編となる本作に出演することを強く希望したという。
『トップガン』では、米海軍の戦闘機パイロット養成所に通う破天荒な主人公マーヴェリックの良きライバルとして、圧倒的な存在感を放っていたアイスマン。マーヴェリック役を演じたトム・クルーズも、アイスマンを演じるヴァルの出演を熱望し、続編を製作する条件の1つとしてあげていたといわれている。
かつてトップの座を競い合ったマーヴェリックとアイスマンの再会シーンでは、AI技術を使用してヴァルの声を復元。トムやプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーをはじめとした制作スタッフが、ヴァルの参加を全面的にバックアップしたことで、アイスマンは『トップガン マーヴェリック』で奇跡の復帰を果たすことができた。
なお、トップガンシリーズは今後も続くとされており、現在『トップガン3(仮題)』の製作や脚本の準備が進められていると報じられている。第3弾でも、トムをはじめ主要キャストやスタッフたちが続投する見通しとのことだ。
今後製作される新作で、ヴァルが演じる姿を見られないのは寂しい限りだが、彼が残してくれたアイスマンというキャラクターはこれからもずっとファンの記憶に生き続ける。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>