※写真はイメージです。 清掃員はオフィスや病院、ジム、個人の自宅など、日々さまざまな場所を訪れる。そこで過ごす人たちの生活を覗き見することになるが、ときには、予想外の光景に出くわすことも……。
今回は、清掃中に “珍しいもの”を発見してしまったという2人のエピソードを紹介する。
◆本と本の間に挟まれていたプロポーズの言葉
小林若菜さん(仮名・20代)は、本好きなこともあり図書館の清掃員として働いていた。人手不足のため、忙しい日々だったそうだ。
ある日、本棚を整理していると、切れ端を小さくたたんだ“紙”が本と本の間に挟まっていたという。
「紙には、黒のボールペンで、アルファベットの“I”とだけ書かれていたんです。誰かが付箋代わりに使用して、忘れてしまったのだろう思いました」
すると、また同じような紙の切れ端を見つけた。その紙には……。
「love you」
と書かれていたそうだ。
「この日はバレンタインだったこともあって、粋なサプライズをしようとしたカップルによるものだと考えました。私は見なかったことにして、紙の切れ端を元の位置に戻しました」
小林さんは、紙を勝手に読んでしまったことに罪悪感を抱いたという。
◆カップルは現れず…
掃除を再開した小林さんだったが、またしても同様の紙を見つけてしまった。
「今度は見ないようにしましたが、どうしても気になって紙を開いてしまいました。そこには、“marry me”(結婚してください)と書かれていたんです」
これらの紙切れは、“プロポーズ”の意味が込められているのかもしれないと思った小林さん。
「ほかの場所も掃除しつつ、紙が挟まれていたところを観察していましたが、結局カップルが現れることはありませんでした。図書館でプロポーズするなんて聞いたことがないので、“いたずら”だったのかもしれませんね」
小林さんは、いたずらだったのかと落胆したそうだが、面白い体験ができたと振り返る。
「いつ誰が見に来るか分かりませんから、紙はそのままにしておきました」
◆“明らかに不自然な色のもの”の正体とは
町役場の清掃員をしていた北野唯さん(仮名・30代)は、「なぜこんなところに、こんなものが?」というミステリーのような経験をしたという。
「エントランスの拭き掃除をしていました。ドア付近にいつもは目にしない、“明らかに不自然な色のもの”が落ちていたんです。それは“赤いもの”でした。赤と言いますか、黒みがかかって見えましたね」
サイズは4〜5センチくらい。それはちょうどネズミの赤ちゃんくらいの……と思った瞬間。北野さんは一瞬、焦りを感じた。恐る恐る近づいてみると……。
「ネズミの赤ちゃんではなく安堵しました。しかし“赤いもの”は、なんと“タンポン”でした。女性が月経期に使う“アレ”です」
◆「地面に落ちるはずがないんですよ」と力説
目の前の光景に、しばらく固まってしまった北野さん。
“普通ならトイレの汚物入れにしかないものだが、どうしてエントランスにあるのか?”
“こんな野外でタンポンを換えた人がいるのか?”
「考えて分かることではないので、静かに“それ”を拾って、本来あるべきところへ戻しました」
この出来事を男性の清掃員に話すと、その反応にも驚いたという。
「タンポン? スルッと抜けたんでしょ」
男性は、装着していたタンポンがスルッと地面に落ちたというのだ。「使用したことがないからそんな想像ができるんでしょうかね」と北野さん。
「人間ならだいたいパンツを履いているので、タンポンが抜けたところでパンツが受け止めてくれるんですよ。地面に落ちるはずがないんです」
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。