「女が男を買うなんてとんでもない」? 女性向け風俗が“エステや美容院の延長線上”になる日は来るのか<インタビュー>

0

2025年04月11日 15:50  女子SPA!

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

女子SPA!

漫画『真・女性に風俗って必要ですか?』作者のヤチナツさん(左)と、女性用風俗店「東京秘密基地」のセラピスト・ミツルさん(右)
 人気コミック『真・女性に風俗って必要ですか?〜女性用風俗店の裏方やったら人生いろいろ変わった件〜』(ヤチナツ著/新潮社刊)が、『ジョフウ〜女性に××××って必要ですか?〜』(火曜深夜0時30分〜ほか、テレ東系)としてドラマ化されて話題になっている。

 ひょんなことから女性用風俗店(女風/ジョフウ)の裏方として働くことになったアカリを通して、セラピストや客の人間模様、さらには人生を考えるよすがとなるドラマが描かれている。

 そこで、原作者のヤチナツさんと、大手女性用風俗店「東京秘密基地」のセラピスト・MITSURU(ミツル)さんに、女風とは何か、女性はなにを求めて女風にやってくるのかなどを対談してもらった。

◆集中力を研ぎ澄まして、その人の気持ちと体に向き合う

──女性用風俗のセラピストさんがスキルを磨くって、具体的にはどういうことをするんですか。

ミツル:本を読んだり講習を受けたり、できることはたくさんあります。僕は今、5年半ほどセラピストをしているんですが、最初のころはそれなりに売れて、調子に乗ってたんですよ。だけど1年くらいで、若いセラピストも増えて僕は売れなくなって挫折した。そのときにスキルを磨こうと自分を見つめ直したんです。

 ひとりひとりの大事な体を扱うわけですから、集中力を研ぎ澄まして、その人の気持ちと体に向き合わなければいけない。1回ずつ経験するたびレベルを上げていきたいと思いましたね。結局、情報と経験値、あとは表現方法などを身につけていくことでしょうね。

◆美容院のように誰もが行くようになれば

ヤチナツ:女性側から言うと、自分の体なのに、どう触れられたら気持ちがいいかとか、そういうことにあまり頓着(とんちゃく)していない女性も多いみたいなんですよ。だから恋人や夫との関係でも、自分が何を望んでいるか、どう触れられたいかという根本的なところがわかっていない。女風に行くと、たぶんそれがわかるようになるから、それを恋人や夫にフィードバックすることができる。

──ここをこうしてほしいとか、要望を出すことができるようになるわけですね。

ミツル:みんな女風を利用すればいいと思うんです。美容院のように誰もが行くようになれば、性的な感度が上がるじゃないですか。僕らはプロだから。そうしたら今度はその恋人や夫である一般男性にとっては死活問題ですよね。エッチが下手だったら捨てられるという危機感がある。そうなったら男たちは必死でがんばると思いますよ。だから僕は、ここでこうしているときだけじゃなくて、恋人にも「こうしてほしい」って伝えることが重要ですよとお客さんに言いますよ。

ヤチナツ:それは大事なことですよね。

◆女風と聞いて拒絶するのは「知らないから」

──気軽に女風を利用できないのは、やはり性的なことにお金を払う行為への抵抗感なんでしょうか。

ミツル:昔から男女の間でお金を払うのは男という認識が強いからでしょうかね。「女が男を買うなんてとんでもない」と思う人もいるんでしょう。でも僕らはスキルとサービスを売っているのであって、別に体を売っているわけではない。今、社会は変わりつつあると思うんです。100年たったら、女風なんて当たり前という時代になっているかもしれない。

ヤチナツ:女風と聞いて拒絶するのは、知らないからだと思います。エステの延長線上にあるような感覚が一般的になるといいですよね。中には、「お金を払ってサービスを受けるのだから、別に浮気でも不倫でもない」と言う女性もいます。逆に、「行ったことがないけど行ってはまっちゃったらどうしよう」と言う女性もいる。

◆75歳の女性が女風を利用したエピソード

──原作の中に、75歳の女性が利用する話があります。大学に通う彼女は、最初は若い人となにを話したらいいかわからないから、おしゃべりの練習をさせてというけど、最終的には性感マッサージも受けるようになる。あのときセラピストと抱き合って「温かい」というのが印象的でした。

ヤチナツ:ご本人に取材はできなかったんですが、いい話ですよね。ひとり暮らしなどで人のぬくもりを忘れてしまった高齢女性たちにも、女風はニーズがあるんじゃないかと思います。

◆気持ちの揺れまで含めて楽しむのが女風なのかも

──そういう大人の利用のしかたができるといいですよね。でもやはり、色恋沙汰になってしまうのが怖いという声もあるし。

ミツル:僕は沼らせないタイプですが、期せずしてはまっちゃうということもあるとは思います。そんなときはお店に相談してみるといいと思います。女風って、店にもよると思うけど、女性たちの気持ちを本当に大事にしていますから。

ヤチナツ:多くの女性たちは、対価を払った上で上手に利用していると思うんです。ただ、人間だから、まれに自分でもコントロールできない感情に陥ることもある。もしかしたら、その気持ちの揺れまで含めて楽しむのが女風なのかもしれません。
<取材・文/亀山早苗 撮影/山川修一 漫画/ヤチナツ>

【亀山早苗】
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio

    ニュース設定