
元保護猫の女の子「ココロ」ちゃん。生後推定2カ月のとき、飼い主のXユーザー・ここべさん(@b9vqnfDqqh5hHY4)のおうちへやって来ました。その出会いは、過酷な暮らしを案じた母猫から託されたものだったといいます。
【写真】決定的瞬間!「この子をお願い」母猫が子猫をくわえてやって来ました
母猫が残していった小さな命
飼い主さんは、時折見かける外猫が裏山に子猫を連れてきて、虫を捕ったり毛づくろいをしたりする様子を、よく目にするようになりました。
そんなある日、ふと気づくと、家の室外機の上にちょこんと座った子猫が、ひとりぼっちでこちらをじっと見つめていたそうです。
「まただ!」――飼い主さんは、そう直感したといいます。
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「ちょうど1年前にも、同じ外猫が子猫を1匹、同じように置いていったことがあったんです。そのときも、子猫は室外機の上でひとり、こちらをじっと見つめていて……。それが、今は家族の一員になったオータです」
すでに6匹の先住猫がいたため、迎えるかどうか迷っていたものの、子猫のある行動が決め手になりました。
「突然、大きな音が。見ると、子猫が網戸をよじ登っていたのです。その姿を見て迎え入れることを決めました。その子が、当時推定2カ月だったココロです」
母猫が託した2匹目の命。こうしてココロちゃんは、オータくんのあとを追うようにして、ここべさんの家族となりました。
初日から自然に溶け込んだ妹と、頼もしい兄の関係
ココロちゃんは、新しい環境にもすぐに慣れ、手がかからない穏やかな子だったそうです。また、迎え入れ初日から、思いがけない絆も芽生えました。
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「窓から一部始終を見ていたオータが、ココロのことを自分の妹だと認識したこと。ずっとそばでお世話をし始めました」
まるで母猫のようにココロちゃんを導いてくれたオータくんは、驚くほど面倒見がよかったといいます。
「ココロが少しでも危ないところにいくと、母猫がするように首根っこを咥えて移動。トイレや水の場所や他の先住猫と引き合わせたのもオータでした」
かつて同じように迎えられたオータくんが、まるで自分の経験を伝えるかのように、ココロちゃんが家での生活に慣れるよう導いてくれたことは、運命を感じさせるエピソードです。
優しさに包まれ、穏やかに年を重ねていく日々
現在、ココロちゃんは8歳になりました。飼い主さんのおうちで、のびのびと暮らしています。
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「比較的もの静かで、他の猫たちと争うこともありません。しばらく末っ子として甘やかしていたため、新たに猫を迎えたときは寂しそうにしていましたが、すんなりと受け入れてくれました。これからも元気でいてほしいと願っています」
ココロちゃんを迎えて3カ月ほど経ったころ、思いがけない再会がありました。瀕死の状態となった母猫が裏山に現れたのです。
「私たちは驚いて水や液状おやつを与えて命を繋ごうとしましたが叶わず…。助けてほしくて来たのか、最後にオータとココロ、我が子に会いたくて来たのか、それとも私たちに子どもたちをよろしく、あるいはありがとうと伝えに来たのか…いろいろ考えました」
母猫は、オータくんとココロちゃんの姿が見える場所に埋葬されました。その思いは今も、ここべさんの心に深く刻まれています。
「私が自身のXで長いこと固定ツイートを外さないのは、時に母猫は、自分の子を本気で人間に託すことがあることを知ってほしいからです」
母猫の勇気と優しさ、そしてそれを受け取った人の愛情がつないだ命。静かで温かな絆が、今も静かに息づいています。
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)