「妻は三歩下がって歩け」古いタイプの夫との生活が息苦しい 息子のためにも耐えるべきか、全てを捨てて家を出るべきか<相談>

1

2025年04月13日 20:10  まいどなニュース

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

まいどなニュース

家父長制的な古い考えを持つ夫との生活が息苦しい

看護師、僧侶、スピリチュアルケア師、ケアマネージャー、看護教員の玉置妙憂さんのリコ活相談室。今回は、「良妻賢母」として振る舞ってきた生活に息苦しさを感じる女性からのお悩みが届きました。心の指針となる仏教の教えと共に、玉置さんが答えます。

【写真】「毎晩せめられて…」認知症の夫を介護する83歳女性、涙の訴え

【相談】全てを捨てて家を出るべきか

お見合いで結婚した夫は、「女性は夫より三歩下がって歩くべき」という古い考えを持っていて、従順で良き妻であることを求めています。結婚してから今日まで私なりに努力してきたつもりですが、女性の権利や自立がしきりに謳われる時代に、次第に息苦しさが増しています。

私は子どもが生まれてから専業主婦ですが、自立のため(自己肯定感を取り戻すためでもあるのかもしれません)、夫には知らせずに国家資格の勉強をしています。

離婚を決意したとしても、夫は名家の一人息子であり、彼と義両親が離婚に反対することは目に見えています。もし離婚が叶ったとしても、きっと息子の親権は夫に渡せと言われるでしょう。それだけは避けたいと思う一方で、私立小学校に通う息子の将来を考えると、夫や義両親に任せた方が良いのかもしれないという思いもあります。

母も、家庭を顧みなかった父を憎みつつ、離婚せずに結婚生活を続けています。その影響で、私も母から「耐えるべきだ」と言われ続けてきました。さらに、4つ上の姉が厳しい両親に反発して絶縁しているため、私は「理想の娘」として振る舞わなければならないと感じてしまいます。

このまま耐え続けるべきなのか、それとも全てを捨てて家を出るべきか、深く悩んでいます。仏教の教えなど、心の指針となるものがあればご教示いただければ幸いです。

(40代・女性)

【玉置さんの回答】前時代的な考え方は誰によって護られているのか

大変な思いをなさっているようですね。あなたのご年齢から推察するに、夫さんもそうご高齢ではないでしょうに、今どき「女性は夫より三歩下がって歩くべき」なんて、まるでガラパゴス諸島の稀少動物のような方との生活は、さぞ骨が折れるでしょう。

でもね、ご存知ですか。ガラパゴス諸島の珍しい生き物たちは、護られているんですよ。珍しいままで存在できるように、周りから保護されているんです。そうでなけりゃ、時流に乗らずにこの社会の中で生きていけるわけがありませんからね。つまり、夫さんも護られているんです。誰に? あなたに。 

「夫は名家のひとり息子」。私、「名家」なんて言葉、久しぶりに聞きましたよ。もっともそんなものにご縁のないところで生きていますから、聞く機会もなかったんでしょうけれど、いずれにしても、あなたは夫さんが「名家」の血筋だと認めている。そして、その家柄を大事に思っていて、息子もその血筋で生きていった方がいいのではないかと考えている。

ああ、なんか今、見えました。このまま今の生活に耐えたとしますね。いつの日か息子さんが結婚したとしましょう。そしたら、あなた、お嫁さんにあれこれ文句言いそうですよ。それこそ「うちは名家なんですから、嫁のあなたは息子より三歩下がって歩きなさい」なんてね。あら、いらんこと言いましたね。閑話休題。 

あなたのお母様も、お父様を憎みつつ結婚生活を続けてこられたとか。なんと、お母様も、家庭を顧みないお父様の保護者でいらっしゃったんですね。そして、そこに、実はアイデンティティを感じていらっしゃった。

そうでなけりゃ、本当に自分が苦労して嫌だったと思っておられるなら、我が子には「我慢してないでとっとと出なさい」って言いそうですものね。「耐えなさい」っておっしゃるということは、どこかに「名家大事」「体面第一」のお考えをお持ちで、ご自身の歩んできた道も、愚痴を言いながらも「これでよかったんだ」と思っておられるのではないかと推察いたします。あなたの「保護者性質」は、脈々と受け継がれたものなのかもしれません。

さて、このまま耐えるべきなのか、それとも全てを捨てて家を出るべきなのか、深く悩んでおられるあなたの心の指針となる仏教の教えをお知りになりたい、でしたね。

指針となるかどうかわかりませんが、「法灯明 自灯明」という言葉をお伝えしましょう。お釈迦様がいよいよお亡くなりになるとき、弟子たちは「あなたがいなくなったら、なにを頼りに生きていゆけばよいのでしょう」と嘆き悲しみました。

するとお釈迦様が「私なんかを頼りにしてはいけない。これからは法(真理)を道標とし、自分自身を灯りとして信じて生きていきなさい」と言ったんです。これが「法灯明 自灯明」です。

ね、つまり、最後は自分自身を信じて生きていくんですよ。「どうするべきなのか」ではなくて、あなた自身が「どうしたいのか」なんです。もっともっとこの世の真理を知って、しっかりご自分の足で歩いていってくださいね。あなたの無明が消えるように、毎日お祈りしておきます。

◆玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)/看護師。僧侶。二児の母。専修大学法学部卒業後、法律事務所で働く。長男が重度のアレルギーがあることがわかり、「息子専属の看護師になろう」と決意し、看護学校で学ぶ。看護師、看護教員の免許を取得。夫のがんが再発。夫は、「がんを積極的に治療しない」方針をかため、自宅での介護生活をスタートする。延命治療を望まなかったため、自宅で夫を看取るが、この際にどうしても、科学だけでは解決できない問題があることに気づく。夫の“自然死”という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。高野山にて修行をつみ高野山真言宗僧侶となる。その後、現役の看護師としてクリニックに勤めるかたわら、患者本人、家族、医療と介護に携わる方々の橋渡しとして、人の心を穏やかにするべく、スピリチュアルケアの活動を続ける。訪問スピリチュアルケアを通して、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とQOD(クオリティ・オブ・デス)の向上に努める。非営利一般社団法人「大慈学苑」をつくり、代表を務める。課題解決型マッチングメディア「リコ活」でコラムを執筆。

 ◇   ◇

「リコ活」は、夫婦問題の課題解決型メディアです。夫婦関係のトラブルや離婚で悩む人に、専門家とのマッチングの場を提供するとともに、家族のカタチが多様化する時代にあわせた最新情報を発信しています。

(まいどなニュース/リコ活)

動画・画像が表示されない場合はこちら

このニュースに関するつぶやき

  • 要約すると「好きにしなさいな」。まあ自分の人生に責任を取れるのは自分だけだしどんなエラい尼さんでもそう言うしかないわな。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(1件)

前日のランキングへ

ニュース設定