
「悠仁親王は昨年18歳となり、成年を迎えました。小さいときから甥として成長を見守ってきましたが、近頃は、都内や地方への訪問であったり、外国の方々との交流であったり、皇室の一員としての務めを果たしてくれていることを頼もしく思います。
会ったときには、地方や都内への訪問に関する話題のほかにも、関心を持って取り組んでいるトンボ、野菜の栽培、バドミントンなどについて生き生きと話してくれますので、充実した日々を送っているのではないかと思います」
天皇陛下が語る悠仁さまの成長
秋篠宮家の次女、佳子さまの伯父にあたる天皇陛下は、今年2月23日、65歳の誕生日を迎えた。誕生日を前に皇居・宮殿で記者会見が行われ、成年となった悠仁さまの成長ぶりや最近の印象に残った会話をこのように紹介した。
さらに自分の学習院大学時代を振り返りながら、陛下はこう続けた。
「先日、悠仁親王の大学の進学先が決まり、うれしく思っています。私自身の大学時代を振り返ってみると、専門の日本史の研究や部活動としてのオーケストラでの練習などを通じて、年齢の幅もあるさまざまな人と出会うことができたと思います。
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そして、さまざまな背景や関心を持った先生方や友人たちから多くのことを学びました。高校時代までの友達も大切ですが、大学で知り合った人々との交流も続けています。
研究面でも、大学時代に研究した日本中世の瀬戸内海の水上交通の研究は、オックスフォード大学でのテムズ川の水上交通史の研究へとつながり、現在も取り組んでいる、より広い分野の『水』問題へと発展していったように思います。
悠仁親王には、大学生活を通して、本当に自分がやりたいことを見つけるとともに、さまざまな人と出会い、自身の将来をしっかりと見つめつつ、実り多い学生生活を送ってほしいと願っております」
さまざまな先生や友人たちとの出会いから多くを学んだことを具体的かつ丁寧に話すなど、悠仁さまに対する愛情の深さが感じられた。
悠仁さまは、3月3日に行われた成年の記者会見で、天皇陛下から多くのことを学んでいると、次のように答えている。
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「公的な活動についてですが、大学在学中は学業を優先させていただきながらにはなりますが、少しずつ携わっていくことになると思います。周りの方々からご助言を頂きながら、一つひとつに丁寧に取り組み、成年皇族としての自覚を持ち、皇室の一員としての役割をしっかりと果たしていきたいと思っております。
これまで天皇、皇后両陛下や上皇、上皇后両陛下が、公的なお務めにお心を込めて取り組まれているお姿を拝見し、また、お話を伺う機会もあり、大切なことを学ばせていただいてまいりました。(中略)
象徴天皇の存在につきましては、上皇陛下がお考えになってこられ、天皇陛下が先日の記者会見でおっしゃっていましたように、常に国民を思い、国民に寄り添う姿なのではないかと思います。
また、皇室のあり方につきましても、天皇陛下のお考えのもと、人々の暮らしや社会の状況に目を向け続けていくことが重要であると思います。そして、出会いを大切にして、人々の幸せを願い、気持ちに寄り添い続けることが重要であると思います」
伯父と甥との交流
天皇、皇后両陛下は悠仁さまに対して、「落ち着いてお答えになっていて良い記者会見だった」と、側近を通じて感想を伝えたという。いずれ天皇陛下となる悠仁さまの将来を見据えながら、伯父と甥との交流がこれからますます増えていくのではなかろうか。私は期待している。
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「弟につきましては、私は幼いころから弟か妹が欲しいと思っておりましたので、弟が生まれたときは非常にうれしかったことをよく覚えております。年は離れておりますが、ケンカをしたり一緒に遊んだりしております。最近は姉が海外にいて、また、両親も仕事で家にいないことが多かったため、二人で折り紙をしたり本を読んだりして過ごす時間もございました」
以前、この連載で紹介したが、佳子さまは成年会見の折、悠仁さまについてこのように語っている。また、国際基督教大学(ICU)を卒業する際の文書回答では、
「弟とは、姉と同じように日常の会話をしたり、一緒にテレビを見たり、遊んだりしています。姉と弟と3人で話をしていると、非常に楽しく、たわいもないことで笑いが止まらなくなることもあります。(中略)
今年の春から中学生になる弟へのメッセージですが、楽しく充実した日々を過ごしてほしいと思います」
などと綴っている。秋篠宮家の姉弟は、「非常に楽しく、たわいもないことで笑いが止まらなくなる」という間柄であり、とても仲が良いことが伝わってくる。
天皇陛下と秋篠宮さまは兄弟であり、両親である上皇ご夫妻と長年、一つ屋根の下で、仲良く暮らしてきた。1984年4月、上皇ご夫妻は結婚25周年を迎えたが、その折の記者会見で上皇さまは次のように、家庭の大切さなどについて話している。
《家庭作りについては、孟子の中に『国のもとは家にあり』という言葉がありますけれども、家族という身近なものの気持ちを十分に理解することによって、はじめて遠いところにある国民の気持ちを実感して理解できるのではないかと思っています。子供たちに対しても家庭を大切にするように教えてきたつもりです》
《皇族の場合、親を理解することは、特に大切だと思っています。皇族が成人して、皇族のつとめを果たしていく時、親と苦楽をともにしてきた経験は、さまざまな面で生きていくのではないかと思っています。私自身、葉山(御用邸、筆者注)などで陛下(昭和天皇、筆者注)とご一緒に過ごした時に学んだことは大変、多かったと思っています》(文春文庫『新天皇家の自画像』より)
悠仁さまは18年以上、両親や佳子さまたちと一緒に暮らし、楽しい時期、つらかった時期を共に経験してきた。そして、家族からたくさんのことを学び、吸収している。
皇室を一つの大きな家族と捉えれば、悠仁さまは、これからも天皇陛下や皇后さまから皇族としての務めなど多くのことを習得していくであろう。しかし、何よりも頼りになるのは、いちばん身近な存在である、佳子さまに違いない。
<文/江森敬治>
えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など