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「侍タイムスリッパ−」の安田淳一監督(58)と主演の山口馬木也(52)が15日、都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。
質疑応答では、京都で米作り農家を営みながら映画製作を続ける安田監督に、日本国内で高騰が続く米に関する質問が飛んだ。同監督は「日本のお米は、すごく今、状況が厳しい。米を1袋、作るたびに1000円近い、赤字が出る。映画がヒットしなかったら両立できない」と率直な思いを吐露。23年に父が亡くなり、実家の米作り農家を継いでおり「父、おじいちゃん、祖先が頑張ってきた。自分たちが残さないと、日本の米は守れない。農家の自助努力では何ともならない。国の政策が大転換しないと」などと語り、涙した。
質疑応答では「農業と映画作りの両立…お米を植えている間に、アイデアが湧いてくることはあるのか?」と質問が出た。安田監督は、愛車まで売り払い2600万円もの製作費を捻出し、自主映画として時代劇を製作したことを踏まえ「映画は自費で、たくさんのお金をかけて自費で作りましたが、もしもヒットしなかったら、農業も辞めるピンチ。何とか、あと何年かは安心して米作りができるなと思っています」と口にした。その上で17年の前作「ごはん」を引き合いに「米農家全体で言うと、重たい問題が横たわったまま。過去作の『ごはん』は、大規模の小作農を継ぐことになった女の子の戦いを描いた。映画も農家の方も、丁寧に真心を込めて、手を抜かずジックリといいものを作るところは似ている気がします」と語った。
さらに、質疑応答では「日本では米の高騰が続く。政府が備蓄米を出しても、まだ高い。米農家の立場で、この状況をどう思うか。何があれば、この状況が変わるのか、米農家としての見解を」と質問が出た。安田監督は「まず、お米の値段が高いと言われていますが、実際には30年前の値段に戻っただけであります」と説明。「国の政策によって、日本の米作り農家は振り回されてきた結果、こういう状況がある。農家の自助努力だけでは何ともし難い状況。政策が何らかの大転換が国政において行われないと、日本農家はやっていけない」と訴えた。
さらに「『ごはん』でも描いたことですが、今、日本の米農家は、時給で言うと1〜12円の間。僕は1・5ヘクタール、米を作っていますけど、うちでも年間数十万円の赤字」と明かし「日本の主食を担う現場が、すべからくこういう状況」と訴えた。
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「ごはん」では、父が頑張っていた姿を見て、子供が農家を継いで頑張る姿を描いた。そのことを踏まえ「僕自身も父、おじいちゃんが一生懸命、頑張ってきた米作りをやっていきたい…」と口にすると、涙声になった。そして「映画がヒットして、自分の米作りが何年かできるのは、個人的には百姓一揆が成功したような気がしていますて。百姓のせがれが、侍をネタにして、まんまと自分の領地を守った気持ちもある」と語った。【村上幸将】
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