※画像はイメージです コロナ禍だった数年前までは、ほぼ全員が外出時に必ず着用していたマスク。
しかし、その後は着けない人が増え、3月にクロス・マーケティング社が発表した『マスクに関する調査(2025)』によると、普段の着用状況について「着ける日が多い」と答えた人は56.8%で、「着けない日が多い」が17.3%、「ほとんど着けない」が25.9%となっている。
未だ半数以上の方がマスクを着けていることなるが、なかでも着用する人の割合が多い印象を受けるのは、電車やバスなどの公共交通機関。場所が場所だけにノーマスクでせき込んでいる人がいると、気になってしまう人が多いようだ。
◆発車間際の特急列車、座るなり激しくせき込む男性を見て警戒
「1回、2回ならともかく、何度もゴホッゴホッってやられると、気になってチラ見してしまいます。それ以上のことは何もしませんが、ノーマスクだったら『マスクしろよ!』とは思いますけどね」
そう語るのは、コンサルティング会社に勤める金丸秀太さん(仮名・43歳)。地方にもクライアントがいることから日頃から出張が多いそうで、車内でマスクをせずにせき込む人を見かけたのは一度や二度ではない。
ただし、昨シーズンの冬、出張先に向かう特急列車の車内で遭遇した時の出来事は、今でもはっきりと覚えているという。
「せき込んでいたのは、通路を挟んで通路を挟んで反対側の2列後ろの窓側に座っていた私とほぼ同世代くらいの男性。お互い始発駅から乗車したのですが、発車間際に入ってきた彼は、席に座るなり何度もせきをしていました。
まだマスクをしていればよかったのですが、向こうはせき込む際に手を口に当てるだけ。コロナはひと段落していましたが感染者は出てしましたし、季節的にインフルエンザも流行っていました。
なにより冬場なので風邪をひいている人も多いじゃないですか。この時、私は缶コーヒーを飲んでいたのでマスクはあごにかけていましたが、すぐに飲み干して着け直しました。そこまで神経質なタイプではないのですが、座席が比較的近かったから嫌じゃないですか」
◆本人は周囲の乗客から嫌がられていることに気づいていない?
その後、金丸さんはノートパソコンを開いて仕事をしていたが、男性は相変わらず時折せき込んでいる。
すると、金丸さんの後ろに座る年配の女性が立ち上がって男性に近付いて、「これ使ってください」とマスクを渡そうとしたとか。ところが、このせっかくの申し出を断ってしまったそうだ。
「そこは素直に好意を受けるべきですし、お願いだからマスクを着けてくれ、と遠回しに言ってるわけじゃないですか。彼もスーツ姿だったので出張だったのかもしれませんが、あまりの鈍感さに引きました。営業マンだったら失格だろうなって(苦笑)」
ここで察してカバンからマスクを取り出して着けるならいいが、一向にその気配は見られない。この間もせきを繰り返していたため、これに業を煮やしたのか今度は男性の1つの前の列に座っていた旅行者らしき若い男性がかける。
それも先ほどの老婦人とは違って、「申し訳ないですが、そこまでせき込むならマスクを着けてもらえませんか?うつされたくないんですよ」とハッキリと、それもトゲのある言い方をしたそうだ。
「よくここまで面と向かって言えるなと思いました。私なら相手が逆ギレしてトラブルになったらどうしようと思ってしまうし、いくら嫌だと感じても面倒事には首を突っ込みたくないですから」
◆翌日、男性の体調に異変が
なお、若者からのストレートな物言いに対し、ノーマスク男性は少々気まずそうに「マスクは持ってなくて……」と一言。すると、若者は自分の荷物から取り出したマスクを渡すと、今度は何度も頭を下げて受けった。
「けど、だったらさっき素直に貰っておけばよかったんですよ。体調が優れないのは仕方ないですし、簡単に仕事を休めないことも理解できます。
だとしても電車のような空間では、複数の人に感染させてしまう可能性だってあるわけです。ほかの人にうつさないためにマスクは着けるべきだし、自分も体調が悪い時は絶対に着けるようにしようと改めて思いました。
実は、この出来事が原因かはわかりませんが、翌日からちょっと風邪っぽかったので(苦笑)」
体調に何の問題もなければマスク着用の有無は個人の自由だが、せきが出るような場合は話が別。いつでも使えるようにマスクも常に荷物の中に入れておいたほうがいいかもしれない。
<TEXT/トシタカマサ>
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。