『デビルズ・バス』 © 2024 Ulrich Seidl Filmproduktion双子の少年と母親を巡る異様な恐怖を描き、世界中のホラー映画ファンを震撼させた『グッドナイト・マミー』のヴェロニカ・フランツ&ゼヴリン・フィアラ監督の最新作『デビルズ・バス』(英題:THE DEVIL'S BATH)が、5月23日(金)より日本公開決定。キービジュアルと予告映像が解禁された。
監督は、シッチェス・カタロニア国際映画祭ほか世界各地の映画祭を席巻し、第88回アカデミー賞外国語映画賞のオーストリア代表作品に選出された2014年の映画『グッドナイト・マミー』のヴェロニカ・フランツ&ゼヴリン・フィアラ。
最新作となる本作で描くのは、世界との不和を理由に、この世から消え去ってしまいたいと願う女性が、宗教上自死することも許されず、やがて驚くべき行動に出てしまう、陰惨な物語。実際の裁判記録を元に、宗教とタブーに支配された歴史の暗部がいまなお響く痛みとして現代に蘇る。
容赦ないストーリーテリングと、美しくも残酷な映像表現が評価され、2024年の第74回ベルリン国際映画祭では銀熊賞(芸術貢献賞)、さらに第57回シッチェス・カタロニア国際映画祭でも最優秀作品賞を受賞するという快挙を達成している。
今回到着したキービジュアルに描かれているのは、動物の死体が異様に祭られた小屋の前に、静かに横たわる主人公アグネス(アーニャ・プラシュク)の姿。
穏やかに眠っているかのようにも見える彼女とは対照的に、小屋を取り巻く空気は不気味に歪み、アグネスが生きる村(=世界)のいびつさ、そして彼女自身との、決して埋まらない深い断絶が浮かび上がる。
さらに、「私が、壊れていく。」というコピーからも、彼女が辿る悲しく、容赦のない運命を予感させている。
併せて解禁となる本予告映像は、冒頭、女性が赤ん坊を滝の上から投げ落とす――という悪夢のような衝撃映像で幕を開ける。
続いて描かれるのは、閉鎖的な小さな村に嫁ぎ、精神的に追い詰められていくアグネスの姿。周囲は子どもを授かることを強く望み、その重圧が彼女の心を蝕んでいく。やがてアグネスは、夜ごと暴力を受ける村人や、首を失った死体を目撃し、村に根づく不穏な習慣を肌で感じ取るようになる。
次第に現実と幻想の境界が曖昧になり、錯乱状態に陥ったアグネス。しかし、信心深い村人たちは、彼女を“悪魔に憑かれた存在”として忌み嫌う。自らの死を覚悟し、髪を毟り取るアグネスの姿も。その後、次第に現実と悪夢のあわいを漂い始める。
狂っているのは、村か、アグネス自身か。本作は歪んだ史実に封じられた、禁断の悲劇を暴き出す。
『デビルズ・バス』は5月23日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)