「1000万人以上に影響」森永卓郎さん長男が解説、『トランプ関税』でやっぱり家計が苦しくなる理屈

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2025年04月17日 05:00  週刊女性PRIME

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世界中を混乱に陥れているトランプ大統領

 4月2日、アメリカのトランプ大統領によって発表された「相互関税」。貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて自国の関税を引き上げる「相互関税」として、日本には24%を課すことを明らかにした。

トランプ関税に振り回される各国

 他にも個別の関税率を示していないすべての国や地域を対象に一律で最低10%の関税を課すことを発表。1週間後の9日に発動したものの、13時間後には方向転換し、世界各国を対象にした相互関税の一部を90日間停止、日本に対する税率を10%に引き下げるとの発表が。落ち着かない「トランプ関税」に世界が大きく振り回される4月初旬となった。

 そんな「トランプ関税」が、実際に私たちの生活、家計にどのような影響を及ぼしていくのか。株式会社マネネ代表で経済アナリストの森永康平さんに聞いた。

 まずトランプ大統領の政策の背景について、

「経済大国のアメリカは各国からモノを輸入する金額のほうが自国のモノを輸出する金額より多く、貿易赤字に。これを解消するために世界各国に関税をかけて輸入を抑え、貿易赤字を減らそうという考え方で、そこに非関税障壁という各国独自の社会制度や経済構造を考慮して上乗せして算出した税率が今回の相互関税です」(森永さん、以下同)

 日本にはどのような影響が?

「日本からアメリカに輸出するモノに対してかかる関税なので、国民の家計に大きな影響はすぐには表れないだろうと考えています。今後の交渉次第では為替が円高方向に動く可能性もあり、トランプ大統領の今回の発表後に原油価格も下がったので、短期的にはむしろ物価が下がる可能性は十分に考えられます」

トランプ関税が日本に及ぼす影響

 では、物価高にはならないと考えてよいのだろうか?

「日本は食品のなかでも肉、穀物などをアメリカから輸入しています。ただ、アメリカもこれらを生産するための飼料などは他国から輸入しているケースもあり、当然コストが上がる可能性があるので、日本でも米国から輸入する肉や小麦、大豆など穀物の価格が高騰することもありえます。また現段階では何とも言えませんが、日本も報復関税をするとなれば、医薬品も多く輸入しているので薬の値段も上がるかもしれません」

 さらに懸念されるのは、アメリカに多くの車や部品を輸出する日本の自動車産業だと森永さん。

「自動車を1台つくるのに約3万点の部品が必要です。もし日本の自動車の輸出が減ると、メーカーだけでなく部品製造など業界に勤める約560万人、家族なども合わせて1120万人以上が直接、影響を受けることに。 

 さらに、生活していくうえで必要な産業などへの波及も考えると、日本のGDPの1%くらい押し下げてもおかしくはない状況です。最近は賃上げなどの明るい話もありましたがその波は止まるでしょうし、景気が悪くなっていく中で、肉や穀物など生活に関わるものの値段が上がっていく形になり、物価高騰の数字以上に体感的には生活が苦しくなるのでは」

 石破首相はトランプ氏とどのような交渉を行うのか、目が離せない状況が続きそうだ。

取材・文/住田幸子

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