
理不尽なハラスメントは、いつまでも覚えているものだ。兵庫県の50代女性は、今から25年前に経験したという壮絶なハラスメント体験について投稿を寄せた。
上司に日頃から
「親の死に目にも会えないと思え。自分達も当然、死に目には会えていないのだから…」
と言われ、女性は言われるがまま働いていた。「今では考えられないほどの モラハラ、パワハラ、セクハラが当たり前のようにあった時代です」と当時を振り返るが、それにしても常軌を逸した出来事が起きたのだった。(文:天音琴葉)
「急な休みは非常識だ」忌引き申請に上司は不機嫌になる
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女性が30歳のとき、突然父が亡くなったという。
「気落ちする母は、とても喪主など出来ない、と私が喪主を務める事になりました」
父の急逝し、忌引きを申請した際の上司の反応は信じがたいものだった。
「不貞腐れたような喋り方で、 お悔やみより先に、『今日からの仕事の割り振りはどうするんだ。急な休みは非常識だ』みたいなことをくどくどと言われました」
非常識なのはどっちだと女性は言いたかったに違いない。葬儀日程を決め、半ば無理やり休暇を取得した。悲しむ間もなく喪主として通夜、葬儀を粛々と執り行い、挨拶もしっかりとやり遂げた。その葬儀には、問題の上司も参列していたという。
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「ブクブクと太って醜く、とても見れたもんじゃない。お父さんも浮かばれないね」
1週間の忌引きを終えて出勤した日のことだ。自分の部署に行く前に、理事長から順に忌引きの件で謝り、「今日からまたよろしくお願いします」と挨拶して回った。
「私の部署は、20人ほどいたのですが、その上司にも挨拶したところ、『いゃ〜今まで沢山、葬儀には行ったけれど、今回みたいに不細工な喪主は初めて見たわ! ブクブクと太って醜く、とても見れたもんじゃない。お父さんも浮かばれないね。こんな不恰好な娘が喪主で』と、事務室中に響き渡るくらいの声で言ったのです」
当時「身長163センチ、58キロ」だったという女性。標準体重で、むしろ健康的とも言える。それなのに人格を否定する悪質なハラスメントだ。故人への配慮もまったくない。突然の暴言に何も言い返せなかったという女性は、「私の事が嫌いだったのでしょうね」と推測する。
周囲の反応も冷たいものだった。
「あまりに酷い言動に悔し泣きをしてくれる友人もいました。ですが、大半の人は何のフォローも無くスルーでした」
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「今でも嫌な気持ちは残っています」
時が経ち、ハラスメントへの社会的認識が変化する中で、女性は元上司を名誉毀損で訴えることを決意した。ところが……
「準備をしていく中、元上司は死亡している事が分かり、結果、訴えは頓挫しました。でも、今でも嫌な気持ちは残っています」
法的措置は取れなかったものの、25年経った今でも、当時の怒りや悔しさは消えていない。女性は、今の自分なら当時と違う対応ができただろうと語る。
「今の私があの頃の私なら絶対に言い負けなんて有り得ないし、裁判も起こしていたかも、と思います。ハラスメントを受けている人を無視したりしないし、ハラスメントをしている人にも、感情的で無く理路整然と対峙するだろうと思います」
そして、「いつの時代もこんな奴らはいます。今はそんな奴らに、自分の人生に踏み込ませるなんて言語道断!の気持ちで過ごせています」と現在の心境を明かした。つらい経験を経て、「おかげで強くなったのかな〜」と投稿を結んだ。
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