シャンソン歌手・クミコ、25周年&古希を記念したベストアルバム 名曲「INORI〜祈り」ほか松本隆作品や新録も収録

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2025年04月17日 12:00  ORICON NEWS

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ベストアルバム『シャンソンティックな歌たち』をリリースするクミコ
 シャンソン歌手・クミコが、ベストアルバム『シャンソンティックな歌たち』を6月25日に発売することが決定した。

【写真】圧巻のステージで魅了!『ニッポン・シャンソン・フェスティバル2024』で歌唱したクミコ

 今年は、作詞家・松本隆のプロデュースアルバム『AURA』で“クミコ”として再デビューしてから25周年を迎え、自身も古希を迎えるメモリアルイヤーとなる。同作は、クミコが70年の人生を振り返り、歌手人生で出会ったシャンソンや松本、湯川れい子などの作詞家と生み出したオリジナル作品の中から楽曲を選出し、珠玉の13曲を収録したベストアルバムとなる。

 アルバムには5曲の新録音が収録されるが、2010年に紅白歌合戦に初出場した際に歌唱して話題となった代表曲「INORI〜祈り」は15年ぶりの新録となる。同曲は、広島平和記念公園にある原爆の子の像のモデルとなった佐々木禎子さんの生涯をつづった歌で、甥である佐々木祐滋氏が楽曲制作をした。

 当時クミコは、被爆者や広島に縁がないことでこの歌を歌うことをためらったが、被爆2世である祐滋氏がクミコに「僕たちが抱えている生きる不安や平和への想いを歌で伝えてほしい」という願いを託され、「自分が歌うことで悲劇を伝えていけるならば」と「INORI〜祈り〜」と向き合う決心をした経緯がある。

 そして、今年は戦後80年となるが、今でもウクライナ侵攻やイスラエル・パレスチナ紛争など争いが続いている世界を憂い、平和への想いとともに「INORI〜祈り〜」を再びレコーディングし発売することを決心した。

 また、同アルバムには、松本が作詞した薬師丸ひろ子の名曲「Woman“Wの悲劇”より」のカバー、阿川佐和子が作詞し、クミコとのデュエットも披露している「無口なお月さま」、シャンソンの名曲「人生は美しい」などが新録音で収録される。

 今年は松本も作詞活動55周年の節目の年を迎えるが、昨年開催した松本とのトーク&ライブイベントで初めて披露した「Woman“Wの悲劇”より」は、オリジナルよりさらに抑制されたアレンジで、70歳のクミコならではの深みのある表現になっている。また、阿川とのデュエット曲「無口なお月さま」は、阿川にとって初の歌レコーディングとなる注目の楽曲だ。

 そして、クミコとしての真骨頂とも言える楽曲が「人生は美しい」だ。美輪明宏、金子由香利、戸川昌子などを輩出し、クミコがデビューした伝説のシャンソン喫茶「銀巴里」では、フランスの歌であるシャンソンの美しいメロディに惹かれた多くの作詞家たちが訳した日本語詞によるシャンソンが、“日本の歌”として現在まで歌い継がれている。

 これらの作詞家のひとりである古賀力が訳詞をした「人生は美しい」はシャンソンの名曲。幼少時代に長崎・佐世保の大空襲に遭い一命を取り留めた古賀はこの経験をもとに、シャンソン「人生は美しい」を訳詞した。悲惨な戦争体験であるにもかかわらず、平和への想いを織り込みながら人生の素晴らしさ、美しさを作り上げた作詞になっている。

 アルバム収録曲には、松本が全作詞をしたアルバム『デラシネ』から「しゃくり泣き」、湯川れい子作詞、つんくプロデュースで生まれた「うまれてきてくれてありがとう」、14年からクミコが歌唱しロングヒットを記録しているスコットランド民謡「広い河の岸辺〜The Water Is Wide〜」、美空ひばりの平和ソング「一本の鉛筆」、20年来の親交があり7月に開催されるクミコのコンサートにも出演が決定している“ミュージカル界のプリンス”こと井上芳雄と14年に発表した、デュエット曲「車輪」などが収録されている。

■クミコ コメント
私の歌い手人生は、多くの「出逢い」によって支えられてきました。

2000年には、作詞家松本隆さんとの出逢い。
クミコという名前にしての再デビューで、大人の女性をイメージした楽曲をたくさん歌うことができました。
アルバムはこの年の『AURA』と2017年の『デラシネ』の二枚。

2010年には、広島平和公園の「原爆の子の像」のモデル、佐々木禎子ちゃんを取り上げた「INORI〜祈り」。
曲を作られた甥御さんの佐々木祐滋さんから、歌ってほしいと託されました。
(この歌で、紅白初出場)
今回、戦後80年の節目の年の新録音で、改めてこの歌と向き合うことになりました。

そういう意味での出逢いもありました。
歌手協会理事で歌手で作家でもある合田道人さんが作曲、ご自身でも歌われている「僕は唱歌が下手でした」は、南の地で法務死をされた佐藤源治さんの残された詩です。
今だからこそ、歌っておきたい作品です。
2015年には、当時日本子守唄協会理事の湯川れい子さんの、平和への願いを込めた「生まれてきてくれてありがとう」。
作曲は病後の初仕事として、つんくさんが加わってくださいました。
シャンソンからは、「銀巴里」の大先輩、古賀力さん訳詞の「人生は美しい」。
佐世保空襲で一命をとりとめた戦争経験者ならではの、明日への希望に満ちた歌です。

松本隆さんつながりでお会いし、その後ご一緒する機会の多い阿川佐和子さん。
昨年のコンサートでデュエットした「無口なお月さま」も。ご本人の詞にピアニストの大貫さんが作曲。

デュエットでは、ミュージカルの井上芳雄さんとの「車輪」。
私の歌を歌ってくださっているとのことから長いご縁の続く芳雄さん。
二人舞台で歌ったこの歌は、三木たかしさんの晩年の作品です。

「出逢い」に関してのあれこれ。
このように、皆さまとの出逢いが、今の私の歌い手人生を作ってくれています。

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