
岡山県倉敷市出身の映画監督、平松恵美子さん(58)が監督・脚本を担当し全編倉敷ロケした映画「蔵のある街」が完成し、地元でのお披露目となる試写会が3月に開かれた。会場では高校生役でダブル主演の山時聡真さん(19)と中島瑠菜さん(18)が舞台あいさつ。「高校生の本気が大人の心を動かし、大きな希望へと広がる。頑張る人を応援する物語で倉敷の魅力と踏み出す勇気を全国に届けたい」とPRした。映画は8月に全国公開される。
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自閉症の兄を世話するヤングケアラーで絵を学ぶ夢をあきらめようとする紅子(中島)。そんな彼女を勇気づけようと、幼なじみの蒼(山時)が倉敷の街に花火を打ち上げようと奔走する。新型コロナウイルス禍で日本を勇気づけた「サプライズ花火」の逸話を基に、伝統的な街並みや自然を背景に家族や友人、地域の絆を描く。
山時さんは5歳から芸能活動を開始し、スタジオジブリのアニメ映画「君たちはどう生きるか」(2023年)では主人公の少年の声を担当した。中島さんはNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重(つたじゅう)栄華(えいが)乃(の)夢噺(ゆめばなし)〜」に出演し、映画は初主演。
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自身の役どころについて、山時さんは「少し軽薄な印象があるものの好きな人のために全力を尽くす姿に、見てる人は応援したくなるはず」、中島さんは「一見大人に見えるが、それは周りを思って努力した姿。暗い表情から少しずつ心を解放させていく様子は演技しがいがあった」と話す。初共演の2人だが息はぴったりで「こちらの演技を巧みに受け止める技術の高さに驚かされた」(山時さん)、「人柄と真摯(しんし)な思いが伝わる表情が良かった」(中島さん)と互いを評価し合う。
そんな2人を悩ませたのが岡山弁だ。「約束じゃ。今度夜に、ここで打上花火を見せちゃる」「あんたらなんか、ただの大うそつきの詐欺師じゃ」―。アクセントやイントネーションに苦戦し、「語尾の『じゃろ』とか難しかった。特に『おえん』とか、なじみがなさすぎて…」と苦笑する山時さん。中島さんは「頂いた音声を何度も聞き直し練習した。平松監督直々の指導もあり、温かな印象でしゃべれたはず」と、2人の自然な岡山弁も見どころと推す。
撮影の合間、地域への理解を深めようと倉敷市内を巡った。山時さんのお気に入りは児島地区特産のデニム製品がそろう倉敷デニムストリートで「すてきな服が並び、また訪れたい」と笑顔。中島さんは夜の美観地区をお忍びで歩き、癒やされた。「演技で感情を爆発させた後に、包み込むような優しさで落ち着かせてくれた」
「蔵のある街」には、俳優のMEGUMIさんや前野朋哉さん、フィギュアスケート元世界王者の高橋大輔さん(いずれも倉敷市出身)らも出演。7月25日からMOVIX倉敷(同市水江)で先行上映し、全国公開は8月22日から。
(まいどなニュース/山陽新聞)
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