
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。CIAのデスクワーカーが、妻の復讐のため立ち上がる!
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『アマチュア』評点:★3点(5点満点)
必死さより悲しみが前面に出てしまった
ロバート・リテルの小説をジョン・サヴェージ主演で映画化した1981年のカナダ映画『ザ・アマチュア』(誤植ではなく本当にそういう邦題)のリメイクで、物語も大筋において同じである。
CIAの暗号部門で勤務する技術者の妻がテロ事件に巻き込まれて死に、復讐を誓った彼は犯人を自分の手で殺したいと願う。だがもともとコンピューター相手の地味な仕事をしている主人公にそのような権限はない。
そこで彼は上層部がひた隠す機密情報を人質にとって無理を通し、スパイとしての訓練を受け、新たなアイデンティティを得て犯人探しに旅立つ。一方CIAは機密情報のありかを探り、もしそれが見つかれば主人公を消すことも厭わないという立場で動き始める。
「ずぶの素人が慣れないスパイ活動、殺し屋活動に精を出す」ところに面白みがあり、たとえば「錠前をピッキングするときにYouTubeの解説動画を参考にする」など現代的な味付けも楽しい。
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が、素人殺し屋の必死さや、それゆえの残酷さは前作の方が勝っているように感じられるが、それは主演のラミ・マレックが悲しみを丁寧に表現している一方、あまり追い詰められたようには見えないせいかもしれない。
STORY:CIA本部でサイバー捜査官として働くチャーリーは内気な愛妻家。ある日、無差別テロ事件で妻を失い、テロリストへの復讐を決意。CIAの協力すら得られない中、チャーリーは彼ならではの方法でテロリストを追い詰める
監督:ジェームズ・ホーズ
出演:ラミ・マレック、ローレンス・フィッシュバーンほか
上映時間:123分
全国公開中
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